夏祭り2
「人多すぎませんかねぇ………」
「だねぇ…」
早速屋台が並ぶ通りに来たのだが、かなりの人で賑わっていた。
特に人混みが苦手という訳ではないが、人の熱気と夏の暑さのせいで少しくらくらする。
「だね!すっごくテンション上がる!」
人の多さに圧倒される俺となつきだが、まどかは元気そうだ。
こういったイベントごとでは、まどかは凄く気分が上がるタイプだ。
「私と律はあんまりテンション上がらないかな…」
なつきは失笑する。
「いや、何を言っている。俺はテンション爆上がりだぞ。見ろ、あの綺麗なお姉さん。ちょっと待ってろ。早速ナンパしてくる」
「私たちがいるのに他の子見ないでよ!」
こういった人の多いところではやはり美人か多い。
と言っても、今日は横に美少女が二人いるのだから特に目移りはしないのだが。
……………………前言撤回。あっ、あの人も可愛い。
「去年もこんな感じだったよね…………」
呆れるまどかの言葉に去年の事を思い出す。
去年もこんな感じで三人で祭りに来て、騒いだ思い出だ。
しばらくなつきとまどかとは距離ができていたが、またこうして三人で祭りに来れていることがとてもうれしい。
とりあえず暑いのでかき氷を食べることにした。
「何味にしようかなー」
かき氷のシロップの味はどれも同じという都市伝説もあるが、こういうのは雰囲気が大切だ。
たくさんあるシロップを眺める。
(きっと、あおならブルーハワイを選ぶんだろうな。俺の奢りで)
ふと、小生意気な後輩を思い浮かべる。
「どれにしよう………律くんの奢りだし、練乳も付けようかなー」
おっと、ここにも小生意気な人がいるようだ。
「奢らないぞ」
本気で俺のお財布に頼ろうとしてくるので(去年の祭りでは奢らされた)あらかじめ釘をさしておく。
「なつきは何味にする?」
「私知覚過敏だからかき氷はいいや」
「おばちゃんかよ」
「じゃあ、買うのはあたしと律くんだけだね」
「おう。俺は買うの決めたぞ」
「あたしもー」
「「おじさん」」
「メロン味ください」
「イチゴください」
同時に注文したが、意見が分かれた。
「あたしたちってなかなか意見合わないよね」
「確かに」
まどかとは意見が合う事はあまりない。
たまに言い争いになることもあるが、なつきが仲裁に入って、結局なつきの意見を尊重することが多い。
店員のおじさんからかき氷を受け取り、(結局俺が奢らされた)屋台を後にする。
そこになつきが話しかけてきた。
「もう、遅いよ」
先ほどから姿が見えなかったなつきだが、手にはチョコバナナが握られている。
「それ、どうしたの?」
俺が尋ねると、なつきは不機嫌そうに、
「二人が遅いから、我慢できなくて買っちゃったんだよ。太ったらどうするの?お詫びにたこ焼きは奢ってもらうから」
「太るぞ」
「さいてー!イカ焼きも追加で」
そう言って、チョコバナナを頬張るなつき。
運動しているのでスタイルはいいが、この三人で一番大食いなのはなつきだ。
むしゃむしゃとチョコバナナを食べるなつきを、まどかと一緒に、じいっと眺める。
「………………」
「………………」
「ねぇ、律くん。思ってること、同時に言わない?」
「あぁ、いいぜ」
「「エッッッロ」」
「…………………初めて、意見があったね」
「…………………だな」
なつきはえろい!
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