後輩ちゃんは頭が良い?
「先輩って彼女いないんですか?」
突然だった。
現在は月曜の放課後。
今週いっぱいのテスト期間中は、部活動か停止となり、放課後は図書室などで勉強をする生徒が多いのだが、あおが静かに勉強なんてできるわけがないという事と、人気者のあおが、俺といると変な噂が立ちそうなことから、二年の俺の教室で向き合ってノートを開いていたのだが、
「おいどうした、勉強は。」
呆れた口調で返すと、
「いやだって先輩ほんとに放課後勉強見てくれるって言ってるんですもん。赤点ギリギリの生徒と優等生以外の生徒のほとんどが部活ないから遊びに行くじゃないですか。だから彼女いない可愛そうな人なのかなって。」
自分から無理やり放課後に付き合わせといて何を言ってるんだ…
それに今の話の内容だと「彼女いないんですか?」じゃなくて、「友達いないんですか?」になるだろ。
後者だとなおムカつくけど。
「いねぇよ、俺みたいな性格曲がった人間好きになるやついるかよ。」
男のプライドなんて無く、もはや清々しいまでの発言だった。
俺の身長は170センチ、高くも無く低くも無く、目にかかったボサボサ前髪で顔の印象はかなり暗い。
見た目だけならまだしも、友達は少数。
自分から他人に積極的に話しかける訳でも無く、ただただ仲の良い友人たちとだけ学校生活を過ごす日々だ。
「まぁ、でしょうね。」
と半笑いで返すあお。
自分から聞いておいて、こういう反応をされるとムカつく。
しかもこんな奴が学校一とも呼ばれるアイドルで、モテモテなのだから勘弁して欲しい。
「ほらほら、さっさとやるぞ。数Aからな」
早く話題を変えたかったので、勉強に戻る。
「これはAとBに含まれる集合だから…」
俺が「授業全部寝てました!」と言っていた範囲と説明していると、意外にも大人しくあおは俺の話を聞いていた。
「あっなるほど、これはこうなるんですね!」
問題がわかっので、元気な声をあげるあお。
俺がした説明はほとんど教科書に載っていることばかりで、あおは真面目にやらないだけで、飲み込みはいいらしく、つまずくことなくテスト範囲をこなしていった。
「疲れました…。」
下校時刻になり、空も暗くなったので、電車通いの蒼を駅まで送る帰り道、あおがうんと伸びをしながら呟く。
「てかさ、お前授業聞いてないだけで、で別に俺が勉強見なくても点数取れるだろ。」
勉強を見て思ったのだが、あおはやらないだけで頭はいいのだ。
俺なんかに偉そうに教えられるよりも、自分で勉強したほうがいいはずだ。
「んーそうですね。先輩はー…監視役?私がサボらないように。ほら、人に教えてもらってると頑張らないと申し訳ないっていうか、頑張らざるを得ないというか…」
うざいけど根はいい子なんだよな。
「それに家にいるとボール触っちゃって。最近ボール回しできるようになったんですよ!まだまだ素人だけとすごく楽しいです!」
「……そうか。」
俺の小さな声の返答に一瞬あおは顔をひねらせるが、すぐさま笑顔になる。
「あ、もう駅すぐそこなんでここでいいですよ。今日はありがとうございました。」
律儀にお礼するあおは見て、やっぱり根はいい子だと思う。
右手を振って、トコトコと歩いていくあおを見送る。
少し蒼が小さく見えた事、突然あおが振り返った。
「私がもし試験で学年で10番以内に入ったら、先輩とデートに行きたいでーす!!」
周囲の人にも聞こえる声で言ったあおは、今日一番の笑みをニコッとうかべ、帰っていった。
…………。さすがに10位は無いよな。
この作品が少しでもいいなと思ったら
☆をぜひよろしくお願いします!