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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第1章 先輩くんは振り回される
36/216

先輩くんの過去1

久しぶりの投稿です。

これから投稿を再開しようと思うので、よろしくお願いいたします

 二年前、俺が入学する前年度、うちの高校はインターハイベスト8、ウインターカップベスト4を達成した。

 しかし、この結果に満足している部員は一人もおらず、次こそは全国制覇を達成するつもりだった。


 その中でもひと際やる気に満ち溢れていたのは俺が入学当時三年の成田先輩。

 この人は二年生エースとして全国大会でも注目されていた選手で、大学からのスカウトも何校も来ているほどの実力の持ち主だ。


 バスケ以外はガサツで荒っぽい性格だが、バスケの事となると誰よりも真剣で、居残り練習は毎日欠かさずやっていたし、後輩にも丁寧にアドバイスをしていた。


 あとイケメン。


 そんな先輩は皆からの信頼も厚く、エースはこの人しかいないと確信していた。


 俺が来るまでは。


 入学直後の練習試合、俺は成田先輩と対戦して、圧勝し、その試合四十得点を挙げた。


 それからチームはがらりと変わった。

 作戦は成田先輩中心の物から俺中心の物になったし、ポジションが同じだった成田先輩は、別のポジションへのコンバートを余儀なくされた。


 それ以降、成田先輩はより一層練習に打ち込んだ。


 早朝から練習し、誰よりも遅く居残り。オーバーワークも気にする様子は無かった。


 もちろんがむしゃらに練習しているので、怪我が重なり、夏に入る頃には成田先輩は完全に調子を落としていた。


 俺の事を気に食わないのか、距離を置く先輩もちらほらいたが、実力がなによりのエース争いなので、直接文句を言ってくる人はいなかった。


 そして夏休み。

 インターハイの本選、俺は全試合平均三十点をあげ、エースとしての活躍を見せた。

 しかし成田先輩の調子は戻らず、全国決勝戦、ついにベンチに下げられてしまった。


 その試合は俺が徹底マークされ、結局ほとんど何もできず敗北。


 成田先輩を尊敬している部員は多く、決勝戦で成田先輩をベンチに下げた監督の采配に苛立ちを覚えている人がほとんどだった。


 そのうちの一人が、笹山だった。


 さらに笹山は、俺の事をどうにも気に入っていないようだった。


 それからは笹山から嫌がらせを受ける日々だった。


 「一年生の仕事」「俺は可愛がってあげてる」が笹山のお気に入りのセリフで、様々な雑用をやらされ、時には練習に参加出来ないような用事を作ってやらされたこともあった。


 インターハイの悔しさを晴らす為にも、ウインターカップは全国制覇をしたいので、少しでも練習がしたかった。


 ある日の放課後、居残り練習を終え、体育館の外で涼もうと外に出ると、そこには夏に恋人となった、なつきと笹山がいた。


 何やただならぬ雰囲気を感じ、身をひそめる。


「もう律をいじめないでください」


 そう言ってなつきは頭を下げた。


 最近の笹山の嫌がらせは度が過ぎていた。それを見かねたなつきが笹山に言ってくれたのだろう。


 しかし笹山はにやりと笑って、口を開く。


「何言ってんだよ、俺は一番あいつを可愛がってあげてるんだぜ?いじめてねぇよ」


 それを聞いたなつきは怒りに顔を染めるが、何と言っていいか分からず、戸惑っている。


 泣きそうになっている自分の彼女を見て、イライラした。


 物陰から姿を出し、笹山に対して面と向かって言ってやった。


「成田先輩より俺のほうが上手い、それに成田先輩は最近怪我ばっかりで何もできてないじゃないですか。そんな人、試合じゃ使えませんよ」


 ひどい事を言っているが、これも事実だ。


 成田先輩が調子を落とした原因が俺なのは明らかだ。でも、そんなもの実力至上主義のバスケには関係ない。

 ただ成田先輩が勝手に壊れた。それだけの話だ。


「お前、なめてるだろ?」


 笹山の顔は怒りに満ちていた。


 でも俺はひるまない。


「別に俺に嫌がらせしても、成田先輩が上手くなるわけじゃないですからね。それに、こんな嫌がらせ、何とも思わないですし」


 そう言って、俺は体育館を去った。


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