後輩ちゃんは振られた
部活が終わったので、更衣室で着替える。
この後先輩との約束があるので、しっかりと汗を拭く。シーブリーズは必需品だ。
部活が終わると、さっきまでいた先輩はいなくなっていた。
なぜかなつき先輩とまどか先輩もいなくなってるし…………………。
まさか二人と遊びに行ってないよね!?私との放課後の約束は!?
着替え終わったので、さっそく先輩の元に行こうと、メールアプリを開く。
すると先輩からすでに一通のメールが来ていた。
内容は、
「すまん、先輩貧血で倒れたわ。今日なしで。埋め合わせは今度する。」
ってなにこれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!??????
え!?貧血!大丈夫なの???って今日なしってどういうことですか!!楽しみにしてたのに!てか絶対そこなつき先輩たちいますよね!!!
思考がぐちゃぐちゃになって追いつかない。
とりあえず返信しないと……………。
「『貧血大丈夫ですか?』・・・・・なんか違う。『ドタキャンなんてひどいですよ!』、いや貧血だから仕方ないじゃん………。『なつき先輩たちと一体どういう関係なんですか⁉』、あれ?なんでこうなった・・・・・・」
あぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!なんて返信すればいいのぉぉぉぉぉぉ!!!!
「どったのあおちゃん、唸りだしちゃって」
「わわっ!な、なんでもないよ!」
急に携帯を除かれてびっくりした。
声をかけてきたのはバスケ部の同級生の朱里。
挙動不審な私を見て、一瞬不審に思った様子を見せるが、すぐに笑顔になる。
「一緒に帰ろ!ほかの子ら男とデートとか友達と遊びに行くってー。振られちゃった」
そう言って笑う朱里。
いつもは一年生全員で駅まで一緒に帰るのだが、他の子たちはほかの用があるらしい。
まぁ、私も用事あったのにドタキャンされたんですけどね………………。
炎天下の道のりを一緒に並んで歩きだす。
途中でコンビニに寄ったのでアイスを買った。
「そういえばさ、あおちゃんって今日部活見に来てたあの男の先輩と知り合いなの?」
急な質問にアイスを落としそうになる。
果歩と沙紀には恋人と嘘をついているが、一応ほかの人には他人のふりをする先輩との約束だ。
「んや、知らないよ」
アイスをぱくりとくわえながら言う。
このアイス、前に先輩におごってもらったやつなんだよね。先輩おねだりに弱いからなー。
ただ道を歩くだけでも、先輩とのいろんな思い出に満ち溢れている。
出会ってからまだ四カ月くらいだけど、私の中で先輩は大きな存在になっていた。
「多分あの先輩、噂の人じゃない?」
朱里の含みのある言い方に疑問を抱く。
え、噂の人って何!?先輩実はモテてるの!?私噂とか疎いからなー。全然知らなかったよー。
勝手にショックを受けていた私だが、次の朱里の言葉に衝撃を受ける。
「暴力事件起こしたって噂」
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