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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第1章 先輩くんは振り回される
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先輩くんは強い

「あらら」


 隣にいるまどかから声が漏れる。


 なぜかというと、シュートを決めたあおちゃんが謎のキメポーズをとった後、すっころんでしまったからだ。


 でもなんで急にキメポーズなんて……。


 あおちゃんの目線の先を見る。


「あらら」


 同じ方向を見たまどかからも声が漏れた。


 律が居たのだ。


 バスケ部を辞めてからバスケ部には関わろうとしなかったのにそんなに彼女が見たいのかよ。


 なんだかすごく、イライラした。


 気づけば試合は終わって、私たちの番になっていた。


 律はあおちゃんに見とれている様子。


 気に入らない。すごく気に入らない!


 あおちゃんなんかより、私のほうを向けせてやるんだから。


 それからの私は、リングしか見えなかった。





「なつき気合入ってるねー。律がいるから?」


 まどかの問いかけにぎくりとなってしまう。


「ま、まあね」


 なんだかちょっと恥ずかしい。


 まぁなんにせよ、大活躍だったのには違いない。


 これできっと私を見てくれたはず……………………。


 そう思い、小入り口を見るが、律の姿はなかった。



「おい、何やってんだ」


 試合の途中だというのに、声がかかる。


 もうちょっと見たかったな。


「こんにちは」

 上級生ですから。しっかり挨拶はしましょう。


「こんにちは」

 ほら、笹山先輩もしっかり挨拶返してくれた。

 

 一分もたたないうちに、殴り合いは終わりを迎えようとしていた。


 助かったことと言えば、いつもの取り巻きが居なかったことだろう。

 人数は笹山ともう一人の先輩の2人だけ。


 二人とも地面に突っ伏していたが、笹山の頭をつかみ、顔に膝蹴りを入れる。

 前歯が膝に刺さってこっちが痛かった。


 結局喧嘩は根性なのかもしれない。


 二対一で、体格のいい二人だ。本来なら今頃立ってるのは俺ではなかったはずだ。


 でも実際、笹山は痛みで起き上がることはできないが、何倍も殴られて傷だらけの俺は立っている。


 意外と俺喧嘩強いのかも…………


 そんなことを考えてるうちに笹山は帰っていった。


 なんか捨て台詞行ってたような気がするけど聞いてなかった。


 立ち眩みがするのでその場に座る。


 あぁ、また大人数で仕返しされるのかな………もう何回目だよこれ。


 あいつタイマンで勝てないからって大人数で来るからな・・・。


 頭がくらくらする。口が血の味でいっぱいだ。


 やばい、ほんとにつらいかも。


 どんどん意識が遠のいていく。


 気絶するまで喧嘩とか、なんか青春っぽくていいなぁ。


 そんな間向けなことを考えながらおれの意識は遠のいた。





 と、思った。








 ぼふぅ











「まどかより張りがあって揉み心地、いや、うまり心地がある」

 俺の感想は素直な感想を述べた。


 あまりの素敵な感触に、意識もはっきりした。


「何言ってんの………もう」


 震える声でなつきは言った。少し怒ってる。


 座っていた態勢から倒れそうになったところを、なつきが受け止めてくれた。


 顔がおっぱいに埋もれるラッキースケベ付きだ。


「泣くなって。ほら」


 そう言いながらなつきの背中をトントンと叩く。


 顔を見なくても、声だけで、触れているだけでなつきの事がよくわかる。


「ごめん…………ごめん、ごめん」


 何度も謝りながら涙を流すなつき。


 別になつきが悪いわけではない。俺が勝手に喧嘩しただけだ。


「まどかこいつ何とかしていたたたたたたた!!!!!」


 どうせ近くにいるだろうと思ってまどかに救済を求めたが、脇腹をつねられた。

 いや、笹山のパンチより痛ぇよ。


「ごめん……」


 つねる力が弱まったと思ったら、まどかまでしゃがんで泣いている。


 こいつまでなぜか謝りだした。


 ほんとに訳が分かんないなと思いながらも、これからは喧嘩はなつき達に見つからないところでしようと痛感した。


 


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