後輩ちゃんは有無を聞かない
「先輩先輩!」
今日も体育館裏でのティータイムを楽しんでいると、元気なあおが絡んでくる。
「なんだい後輩。」
「勉強を教えてください!」
うわ、めんどくさ。
「うわ、めんどくさ。」
「ちょっと!声に出てますってば!」
「えー、だってめんどいじゃん。それにお前みたいなタイプって、スポーツも勉強も完璧にこなすタイプだろ。」
漫画とかではこういう美少女系にはありがちなタイプだ。
「いや、普通にバカですけど。」
いや、馬鹿なのね。
うん。お前のそういうさっぱりとしたとこ、先輩好きだぞ。
「高校入ったはいいけど最近全然勉強してなかったし…」
現在は5月。
ゴールデンウィークも過ぎ、二週間後に俺たち学生を待ち構えるのは中間試験だ。
何故か高校生からバスケットを始めたあおは忙しかったこともあり、全く対策をしてなかったらしい。
「お母さんにも、部活やるなら、勉強もしなさいって怒られちゃいましたし…」
たしかに、ついこの前まで受験だった彼女が、入学してすぐにまた試験となるとやる気が出ないのも頷ける。
「てかなんで俺なの?他のやつに教えてもらえよ。俺そんな頭よくないし。」
俺の素朴な疑問に対してあおは、
「いや、先輩暇そうだし。」
こいつぶっ飛ばしてやろうか。
だがしかし、暇なことは事実だ。
「という訳で来週から放課後、勉強教えてくださいね!それじゃ!」
返答に迷っていると、有無を言わさぬ感じで言い切り、いつのまにかミルクティーを飲み干していたあおは、紙パックをゴミ箱に投げ捨て、颯爽と逃げて行った。
いや、俺もテスト勉強したいんだけど。
展開が早いのは素人だから仕方がない……
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