後輩ちゃんの不安
「ねぇ、先輩。今日は先輩とイチャイチャしたいので、私と離れないでください」
放課後、今日は部活が無いのでいっしょに駅まで行こうとしていると、あおは俺にそう言ってくる。
「え、なに急にデレて。怖いよ」
「何言ってるんですか。私は年中無休で先輩にデレデレですよ」
「あー。はいはい。あざといあざとい」
「もう、本気なんですからね」
そういって、俺たちは電車へと乗り込む。
「で、どうしてそんなこと言いだすのさ」
結局あおと同じ方向の電車に乗り、隣に座った俺は、なんで突然そんなことを言い出したのか問う。
するとあおは俺の袖をぎゅっと握って、俺を確かめるように言う。
「その……私達、一応付き合ったわけじゃないですか」
「うん」
「先輩を幻滅させたんじゃないかって…」
電車に揺られ、あおは続ける。
「付き合っているのに、やってることは今までと変わらないし、私は今のままで満足で幸せなんですけど、先輩はつまらないのかなって……それでその……飽きられちゃったりしてないかなって……」
電車みたいに、あおの気持ちは揺れて、俺に否定して欲しいとかそんなでは無く、本当に、自信が持てなくなっている。
いつもの生意気さはどこへ行ったのやら、付き合ってから、今の関係を維持したい、という気持ちから弱気になっている気がする。
俺は周りの誰も見ていないことを確認して、本当にこっそり、一瞬、あおの頬にキスした。
「っ!」
その瞬間、あおは跳ねるようにして、身を固める。
「そんなことないよ。ちゃんと好きだから安心して」
自分で言ってて、俺はこの子よりも年上なんだなって思った。
それで、年下のあおが可愛らしいなって思った。
「っもうっ!急にするのは反則です!」
あおは抗議してくるが、その眼はまだ少し不安そうだけど、うれしそうなのは隠せていない。
「どうせなら一生愛してる、お前の子宮に俺の子種をぶち込んでやるから待っておけ、とか言ってもいいんですよ?」
「お前そんな下ネタ言うキャラだっけ?」
「知りませんよ。作者が私に下ネタを言わせたいらしいです」
「そうですかい……」
そんな話をしているうちに、あおは何時もの元気を取り戻していった気がして、近くのショッピングモールの最寄り駅に降りる頃には、不安でいるよりも、今を楽しんだ方がいいと気が付いているようだった。
「先輩、これから私の事、もっと好きになりますから、覚悟しといてくださいね」
電車を降りて、自然と手を繋いできたあおは小生意気で可愛い笑顔で俺に言った。
本当に、俺の彼女はあまりにも可愛すぎる。
あおちゃんかわええ……