年下ちゃんのの決意
試合が始まった。
そして開始早々、俺はその外国人選手とマッチアップする。
次の瞬間察した。
「あっ、これ止めれんわ」
相手がやったのはただのジャンプシュート。
ただそれだけなのに、あまりの打点の高さに、俺の身長では届きようがない。
これは困った。
相手が止められないのならば、こっちも取り返すしかなくなる。
試合始まって早々、タフな勝負になるな。と俺は気合を入れ直した。
奈々視点
私が最初に律さんのプレイを見た時、衝撃を受けた。
律さんはかなりの有名選手で、近くの体育館で大会があると聞いて見に行った。
中学になって周りがみんな身長が伸びていく中、私だけちんちくりんのままで、それが辛くてバスケを辞めたいと思っていた時に、律さんのプレイを見てしまった。
そんなものを見てしまえば、憧れてしまうに決まっているだろうに。
律さんを大会で見かけなくなっても私のあこがれの人はNBA選手ではなく、律さんだけだった。
だからこそあの時、たまたま律さんを見かけた時は凄くうれしくてつい声をかけてしまったし、その後バスケを教えてもらえると言われた時は凄くうれしかった。
文化祭の時、私は律さんにバスケをするように言ったが、あれは律さんの気持ちを諭したのではなく、単純に私がまた律さんにバスケをして欲しいというわがままだ。
それから律さんとはたくさんの思い出を作った。
私は律さんに、何を返せばいいんだろう。
この一週間、私は誰よりも一番近くで律さんを見てきた。それは私にとってとても幸せな事だった。
人はあんなにも頑張れるんだって思った。
きっと、昔の律さんでもこんなにかんばる事はできなかっただろう。
そんな律さんに、どうしようもなく憧れている。
私にできたこと、それはこの一週間、一番近くで律さんを支える事。
そして、律さんの肩がとっくに限界が来ていることを、見て見ぬふりをする事。




