先輩くんへのお誘い
インターハイ予選を十日後に控えたこの日、ついに対戦表が発表された。
インターハイ予選はトーナメント戦。一度でも負ければ最後だ。
男子バスケ部昨年の優勝校のためシード権があり、初戦が二回戦目なのだが、恐らく勝ち上がってくると予想される高校が、以前の練習試合で大敗した開地高校だった。
まぁ、ほぼ百パーセント負けるだろう。
勝ち目はない。
これも運命だ。ざまぁみろ。
なんて思っていたのだが……
「律!バスケ部に助っ人できてくれ「やだ!」
組み合わせが発表されて以来、毎日のように俺にバスケ部の助っ人で試合に出て欲しいと懇願してくる友人の蓮と颯太。
俺はそれを断固拒否している。
そんなに負けたくないのなら俺に頼んでいないで練習をしろと言いたいが、そんなことをしたところで勝てない相手だと分かっているんだろう。
「潔く大敗しとけ」
「そんなぁ……県の弧豪がぁ……」
一応、うちの高校は全国でもかなりの強豪校、そんな高校が県予選で名の知れぬ高校に負けたとなると、いい笑い物だろう。
俺に人情などない。
そんなこんなで、インターハイが始まろうとしていた。
きゅっ、きゅっと体育館に音が鳴る。
懐かしくて、思い出が詰まっている音。
毎日必死に練習をするあおを見て、俺は何を思うだろう。
こんなに練習をしているんだ、報われなくちゃ、神様が意地悪過ぎる。
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