同級生ちゃんの告白
「え、ええと………」
何が起きたのか一瞬理解できなかった。
だって、なつきはもう俺の事はもう何とも思っていないかと思っていたから。
俺の気持ちは、一方通行だと思っていたから。
それはここ最近の態度でも感じれることで、なつきが俺に好意を寄せている様子は見えなかった。
それが、なんで突然……
一瞬、なつきはまだ昔の俺と、今の俺を一緒に見ているのだと思った。
なつきが好きなのは、バスケ部に居た時の俺であって、今の俺ではない。
「なつき……君が好きなのは、俺じゃない。君はいつまでも昔の俺に捕らわれっぱなしなんだよ。……確かに昔の俺は君に愛されていたかもしれないけど、今の俺はなつきに愛されるほどの人じゃない」
少し冷たく、そう言い離した。
しかし、なつきの視線は痛くて、俺を真っすぐ見つめていた。
「違うよ。私は今の律が好きなんだよ。確かに昔の律も好きだよ。今でも大好き。でも今の律だって私は大好き」
一瞬、絶望したような、辛そうな顔をしたけれど、説得するように、俺に言葉を投げかける。
その言葉が本心だという事はすぐに分かって、だからこそ俺は弱ってしまった。
「だから私と、恋人になってください」
なつきはもう一度、俺にそう告げた。
確か前に付き合った時は、俺から告白したっけ。
人から告白されるって、こんな気持ちになるんだ。
それも突然だから、俺は逃げたい気持ちになった。
「返事、してよ」
居心地悪そうに、なつきはそう言う。
俺は一瞬弱気になって、「今返事しなきゃダメ?」とか格好悪い事を聞きそうになった。
でもその先回りで、なつきは俺に強気で言う。
「今、返事をください」
ぐいっと、顔を寄せてそう言った。
もう頭の中はなつきの事でいっぱいだ。
告白を、受けるしかないだろう。
だって俺はなつきの事がずっと好きで、もう好かれていないとしまい込んだ気持ちを、今呼び起こされていて、しかもそのなつき本人から好きと言ってもらえたんだ。
告白を受ける理由は、十分にある。
じゃあ、告白を断る理由は…?
そう考えた時、なぜか、あいつの顔が浮かんだ。
………いいや、なぜかでは無いのかもしれない。
「ごめん、意地悪した」
そんな時、なつきはうつむいてそう言った。
真っ赤な顔を下に向けて、なつきは手を放した。
「返事は三日目の自由時間の時に教えて」
そう言って、旅館へと入っていくなつき。
俺は一人、体から力が抜けるような思いで、そしてとても弱くて。
いますぐにでも自分の気持ちを明確に数値化できる方法を知りたくなった。
三日目の自由時間で、全部が決まる。
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