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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第1章 先輩くんは振り回される
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先輩くんの弱点

「なつきはそんなんしないんじゃねえの。あいつバスケ馬鹿だし。」


 必死に取り繕って話す。


 もちろん嘘である。

 付き合っているときなんてなつきから求めることのほうが多くて………ってこの話はもうやめよう。


「まぁですよね。なつき先輩がそんなことするような人には見えませんし。」


 どこか詰まんなそうにミニトマトとパクリと食べるあお。


 いかにしてこの手の話題を終わらせようか迷っていると、廊下の遠いところから声が聞こえる。


 おおかた空き教室でカップルでご飯を食べに来たのだろう。


 声がどんどん近づいてきて、俺らの教室の前で止まる。


 この教室の扉の小窓は曇って見える、凹凸ガラスになっていて、あちらからは中に俺たちが居るのが分からないのだろう。


 そのまま扉が開かれる。


 そこにいたのは、先ほどまで話題だった、山本なつきだった。


「それでね……って。」


 友人と話していたなつきの声が止まる。


 不自然に思ったのかその友人も教室の中をのぞく。


 扉からひょっこりと顔をのぞかせたのはなつきと同じく女バスの二年生レギュラーの、椿 まどか。

 前髪を上げておでこ丸出し、しかしそれがよく似合う可愛らしい顔。身長は平均程度で、性格はめちゃくちゃ優しくて面倒見がよく、なつきとは大の親友だ。


「どったの?ってあらら……。」


 少し驚いた様子のまどかだったがすぐにニマニマと笑みを浮かべる。


「こっこんにちは!」


 驚いた様子だったが、急いであおが席を立ちあいさつをする。


 一応同じ部活なのであいさつはしっかりするようだ。


「あっ、うん。こんにちは。」


 なつきも驚いた様子で、あいさつを返すも、ぼーっとしている。


「ええとー……こんなところで二人で何してるの?もしかして付き合ってたり?」


 爆弾を投下したのはまどかだった。


 こいつ……わざと言ってやがるな………。


 なつきと親友であるまどかなら、元々俺となつきが付き合っていたことも当然知っているわけで、それを知っているうえで、あえて言ってきたのだ。


 キッとまどかを睨んでやる。


 横のなつきは少し困った様子だった。


 まあ、二人で飯を食っていたらそういわれても仕方ないかと、「付き合ってない」と言おうとすると、俺の正面の声がそれを遮る。


「つ、つ、付き合ってないです!!」


 リンゴみたいに顔を真っ赤にして、大声であおが言う。


 いや、そこまで必死に否定しなくてもいいじゃんと思っがまあ仕方がない。


 なつきたちもだいぶ面食らったようで、少し驚いている。


「そっか、にしても珍しい二人だね。あおちゃん、律にバスケ教えてもらってるの?」


 なにかに納得した様子のまどかが話を切り出す。


 それを聞いたまどかが、

「え、先輩バスケできるんですか?」

と驚いた様子で尋ねる。


 うう、これはまずい。


 訳あってバスケの話はしたくはない。

「少しだけね。」

 と、無理やり笑みを浮かべて答える。


 あおも何かを察したのか微妙な表情を浮かべた。


 どことなく重い空気が流れる。


「いっつもここで食べてるんだけど二人がいるからびっくりしちゃったよ。私ら今日は別のところで食べるね。じゃ、あおちゃん、また部活でね。」


 沈黙を破ったのはなつきだった。


 そのまますぐさま手を振りながら去っていき、慌ててまどかもついていく。


 取り残された俺たちは、そのまま中身のない会話をしながら残りの昼食をとった。


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