同級生ちゃんはすごい人
あおたちの試合が終わったので帰ろうかと思ったのだが、何となく、もう片面で行われているレギュラーメンバーの試合をのぞいてみる。
こっちの試合からはたびたび歓声が上がっていた。
その歓声を巻き起こしているのは一人の選手。
一人、また一人と抜き去って、最後は後ろに飛びながらシュート、放たれたボールはリングにかすりもせずに得点となる。
再び歓声。
うちの女バスのエース、山本なつきだった。
彼女は二年生にもかかわらず、他校の三年生エースを圧倒する強さを誇っている。
そして、歓声の理由は彼女の実力が凄いからだけではない。
身長百六十七センチ、男子高校生並みの伸長に、短く切られた黒のショートヘア。
真っ白な白い肌と長い手足。
そして何より、イケメンだ。
女子生徒にもかかわらず、女子生徒からの人気が高いのは彼女は「かわいい」や「美人」ではなく「美男子」と言われることが多いからだ。
再びなつきが得点する。
昔のこともあるからなのか、異彩を放つ彼女からは目が離せなかった。
「頑張ってるな……」
そんな声が漏れてしまった。
どれくらいたっただろうか、ただぼうっと試合を眺めていた。
だから気づかなかった。
時刻が十二時を過ぎていることに。
「おい、てめぇが何しに来てるんだよ。」
背中から、声がした
この作品が少しでもいいなと思ったら、☆とブックマーク、感想をよろしくお願いします