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後輩ティータイム  作者: ゆめ
第1章 先輩くんは振り回される
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後輩ちゃんデビュー戦


約束から九日、結局あの後も何度も「来てください」とせがまれたので午前十一時、第二体育館へと訪れた。


体育館の二階の細い通路、(ギャラリー・キャットウォークと言うらしい)には十何人か観客がいて、そのほとんどが部活のついでのおまけで見に来た生徒が多い。


二階の通路で見るのもありだと思ったが、あそこにいては確実にあお以外の部員にも見つかってしまうので、風通しを良くするために空いている、小入り口から眺めることにした。


 ほどなくして試合が開始された。

 体育館は二面コートに分かれており、片面でレギュラーメンバ―の試合、もう片面であおが出場している、一年生メンバ―の試合が行われていた。


 一年生が五人しか居ないというので、当然あおもスタメン出場していた。


 一年生らしく慌ただしい試合になるかと思いきや、意外と両校のメンバ―の一年生は冷静で、特に何人かの選手は、三年生を相手にしても十分な実力を持っている選手もいた。


 そんななか、あおにボールが渡る。

 素早くドリブルを突き、ゴール前へ切り込む。

 しかしあおはまだ素人。

 あっけなくカットされてしまった。


 悔しそうに頬を膨れさせてから、ディフェンスに戻っていった。


「楽しそうだな」


 小さくつぶやく。


 素人はうまくいくかないことが多くて、投げ出したくなることが多い。

 それでも頑張っている姿は、学校のアイドルにふさわしい姿だった。





 結局、試合後半までこれと言った見せ場はなかった。


 しかし、試合終了一分前。


 敵のパスをカットしたあおは、そのままカウンターを出す。


 (いけっ!)


 あおは練習熱心な子だ。デビュー戦の最後の最後に、シュートを決めてほしい。


 何より必死に頑張っている姿は、とても応援したくなった。


 そのまま追いつかれることなく、レイアップシュート。

 ふわりと浮かんだボールは、ゆっくりとリングの中に沈んでいった。


 「やったっ!」


 思わず小さく叫ぶ。


 シュートを決めたあおは意外と冷静で、キョロキョロと体育館を見渡していた。


 そして、小入り口に居る俺と目が合う。


 その瞬間、花が咲いたような笑顔を浮かべ、ピースサインを向ける姿は、間違いなく、コートで一番輝いていた。


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