後輩ちゃんとスポーツ
「ふぇんぬ!!」
ぶん、どす。
野球のバッティングで空振りをしたあおが大きく尻もちをつく。
かわいい。
球に対しての恐怖心は無いようだが、これがまたびっくりするほど当たらない。
「もー!なんで当たらないんですか!!」
「知らねぇよ……」
「むぅ…次行きますよ!!」
「先輩、あれやってくださいよ」
「ロデオか……」
目の前には凶暴な見た目をした牛の乗り物。
ゲームが開始されてから、どれだけの時間あの牛の背中に乗り続けることができるかと言うものだ。
正直、恐怖しかない。
何かの動画で見たことがあるが、あれは到底人が乗っていい乗り物ではない。
下手をすれば骨が折れてしまうのではないだろうか。
「嫌だ……」
俺は断ろうと思った。
「さぁ!先輩かっこいいところを見せてください!」
しかし、既に俺にヘルメットと防具を差し出しだされては断ることもできず。
「大丈夫大丈夫……………うわわわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「先輩っ!あははは!!」
十秒ももたなかった
「先輩、離さないでくださいよ……」
「え、それフリなの?」
「フリじゃないです!ガチの方です!!」
次に訪れたのは、ローラースケート場。
俺は少し経験があったので問題なく進めるのだが、あおは初めてのようで、足取りが危ない。
生まれたばかりの小鹿のようになっている。
「先輩もっと支えてください!」
「いや、これ以上は俺がコケる」
今でさえも、もはや抱き着いている状態だというのに。
頭ぐりぐりしないで、凄い良い匂いしてるけど、さっきから何回も顎頭突きされて痛いから。
「わわぁ!」
「ちょっ!え⁉」
油断していると、あおが倒れ掛かってきた。
二人揃って転倒する。
あおが俺にもたれるように、密着している。
何ともベタな展開だ。
「えへへ。ごめんなさい」
「これで勝ったほうが飲み物奢りですからね!」
「分かったよ!」
と言いつつも、どんな結果であっても奢るのは俺なのだろう。
次はソフトテニス。
一年の選択授業でお互いに経験があったので、それなりにいい勝負だ。
しかし、現役のバスケット部員と、運動を全くしていない男。
次第に俺の体力は無くなっていく。
そして………
「ぜぇぜぇ………」
「やりました!私の勝ちですね!」
接戦の末、負けた。
これでも元はスポーツマン。勝負で負ければ悔しいという感情は、しっかりと残っていた。
にしても、テニスをしている時のあおはかっこよかった。
通りすがりの人の視線も集めていたし、何より、俺もあおに釘付けであった。
あおはテニスが良く似合う。
なんでバスケしてるんだろう……
「もう、ヘロヘロじゃないですか。……ちょっと待っててください」
しっとりと汗をかいているあおは、駆け足でどこかへ向かって行く。
そして、数分後。
「はい、先輩。今日は私が奢ります。いつもお世話になっているので」
スポーツドリンクを差しだすあおは、どこかのCMの女優かと思うくらいに、理想の後輩だ。
本作もこれで100話目となります。
昨年から投稿を始め、一時期休載期間が入りましたが、復帰依頼毎日投稿を続けてきました。
1話ごとが大変短いので、ちょっとずるした100話ですね。
本作はこれから急速に展開が進んでいくはずですが、作者の私自身、作品の展開を決めきれてないです。
毎日投稿は続けていきたいと考えていますが、まだこの先の展開を決めきれてないので、すこし話が間延びしたり、1話が短くなるかもしれません。ご了承ください。
改めて、100話までご覧になってくださった方に感謝を。
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