先輩くんのルーティン
みなさん初めまして
これが初めて書く作品となります。
素人ですので暖かい目で見てください
第二体育館の裏側、少し隠れた位置にある自販機に、今日も彼女はいた。
この学校の3つある自販機のうちの一つであるこの自販機は、体育館のすぐ側ということから部活中の放課後には大変人気だが、昼休憩は、校舎から離れていることから、全く人が寄り付かない。
そんな時の人な自販機に、今日も渡辺 律は訪れた。
教室での食事を終えて、いつもこの自販機でミルクティーを飲む。
学校内にある自販機ではなく、わざわざ遠い体育館の自販機を利用しているのは、この70円のミルクティーがお気に入りだからだ。
そんな昼休憩のルーティンを、高校に入学してから1年間続けてきたわけだが、最近はさらに、このルーティンに一つ、追加されたことがある。
「ん…、んっ…」
自販機の先客の女子生徒が、ミルクティーのボタンを強く押す。
自販機の置き場所が重ねられたコンクリートブロックの上ということもあり、かなり高い位置に設定された最上段のボタンに必死に手を伸ばす姿は、応援したくなる愛くるしさがあった。
しかし、ミルクティーは落ちてこない。
後ろにいる律のことは全く気付いていないようで、ただ1人、唸り声を上げていた。
無理もない。
この自販機は、長年使われているうえ、全く整備がされておらず、ボタンの感度がかなり悪くなっており、全体重をかけて長押しをしないと商品が出てこない厄介者だ。
身長と筋力の無い女子生徒では、最上段にあるミルクティーを強い力で長押しするのは難易度が高い。
しばらく観察してから、女子生徒の後ろからミルクティーのボタンを力強くおす。
ぼとりと音がしてミルクティーが、自販機の取り出し口に落ちる。
女子生徒はミルクティーを取り出し、少しむくれた様子で、振り向きながら言った。
「もー先輩。今日は行けそうな気がしたので見守っててくださいよー。」
これが俺の新しいルーティン。
昼休みの至福のひとときは、後輩、一ノ瀬 あおとのティータイムになっていた。