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お短編

雨よ、あの日を

作者: gaction9969

  こどもって、雨が好きだ。


 傘を差すのがまず楽しくて仕方ない風だし、目についた水溜まりには長靴で入らないと絶対気が済まないようだし。濡れるのだってお構いなしだ。


 昔の写真を整理していた時に飛び込んできた、目を引く一枚。鮮やかな黄緑色がサムネイルの枠を埋めている。


 カエルのポンチョを纏った、三歳くらいの娘の姿がそこにあった。かぶったフードにはカエルの目がふたつ飛び出していて、何というか、かわいらしい。


 でも娘は真剣な表情で、何かを唱えているかのように口を開いている。両手も広げているのでポンチョの裾は広がっているが、その姿が、何か、雨ごいをしてるようなたたずまいであって、何とも言えない厳かな雰囲気が画面を覆っていた。いや、でも雨はもう降ってるけど。


 そんな事もあったよなぁ、と夕食の時に娘に話しかけたら、なにこいつキモ、と目を合わせないまま呟かれてそれで会話は終わった。


 俺の心に雨が降った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 小さい頃は私も雨が好きでした。 何だか特別な感じがして良いですよね。 オチが上手いと感じました。
[良い点] すごく微笑ましくほのぼのと始まって、懐かしい思い出に感傷的な気分に浸ったところで、心を貫く刃が! 現実を突きつけられたお父さんの寂しさ、悲哀が短い中に見事に描かれていると思いました。 最後…
[一言] せつないですね。 こちらが思い入れあっても相手が何とも思っていない(貴作の場合は血肉を分けた娘であって、照れとか年頃特有の感性などがあるのかもしれませんが)場合も往々としてありますよね。 …
感想一覧
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