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キューブ  作者: あおまめ
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クエスト

 誠は現在ギルドの登録の説明を、別室で受けていた。ホールの奥にあるいくつかの部屋。その中の一つで、先ほどの受付嬢が説明を行っている。テーブルと椅子があるだけの小さな部屋だが、外の音が一切せず先ほどの場所よりだいぶましだった。

 ギストンとの決闘の後、ホールは歓声に包まれた。圧倒的な勝利を勝ち取った誠、いや実際に戦ったのは白だったが、その戦いを見ていた人達の間で勧誘合戦が勃発した。幾人もの人が手を取ろうと話をしようと寄ってくる中、見かねた受付嬢の手で個室まで案内された。もちろん白も一緒にだ。

「で、ギルドについて説明するけど良い?」

 部屋に案内されるや否や早速受付嬢が、説明を始める。それを誠と白は黙って聞いた。

「我々ルストン・エギールド、通称ギルドは基本的に登録を行った者とそれを必要とする者の仲介役となります。基本的に料金は依頼をされた方から頂きますので、実際あなたたちが払うお金はありません。ギルド内でもほぼルールはなく、ギルドに迷惑を掛けない限りは問題ありません。こちらで問題があると判断した場合は、賞金を懸けた後に永久追放といった形になりますのであしからず」

 その話を聞いて、さっきの決闘のような事はどうなのだろうとふと誠の考えによぎる。ギルドへの迷惑あれも結構なものだが、あれ自体彼女が最終的に決定を下したのであれは大丈夫なのだろう。となるとよほどの事をしない限りにおいて、ほぼ自由なのではないだろうか。そう考えながら話を聞く。

「こちらから提供する物は主に三つとなります。一つが依頼です。俗にクエストとも言います。これは基本的にこちらで依頼主から依頼を受け、それを登録している方たちにクエストしてお知らせします。クエストは誰かが受けている場合は、他の方はそのクエストを受注する事は出来ません。基本的に早い者勝ちですね。二つ目は情報です。クエストに関する情報は基本的に無償で開示いたします。クエスト以外の情報はその情報に見合う金額を頂きます。こちらにも情報収集の限界がありますのでご承知を。最後になりましたが、三つ目に武器や装備の提供です。武器と言いましてもこの世界の兵器と呼ばれる神が作ったとされる武器ではなく、一般に売っている武器などです。以上がこちらで提供できる物となります」

 その言葉を誠は必至で追いかけた。聞き間違いや疑問に思う事などを考えたが、今思いつく限り疑問はない。と思っていた誠の横で白が口を開く。

「一つ質問。クエスト失敗のそちらの基準は?」

 主人を守るのが武器の務め。それがどんな些細な事でも、主人の役に立たなければならない。そのためにどのような情報ですら逃す事はできない。彼女は、考える武器であり、意思のある武器でもある。

「その辺りは、後ほどの登録と関係があります。キューブに登録するのは私とあなたです。ギルド自体をキューブに登録することは出来ません。また、ギルドの方でもそのような物を開発できていません。私のキューブとあなたのキューブで登録を行い、私がギルドとの窓口としてあなたにクエストやその他情報を提供していきます。そして、キューブには登録している者が死ねとその登録が抹消される機能がありますので、それとこちらの定めた期間内にクリアできなければ失敗となります」

 その後も、白は疑問に思う事を聞いていきそれに答えるといった押し問答がいくつか続いたのち説明が終わった。正直、隣に白が居ていくれ誠は助かった。自身が思いつかないような質問が白から出ていき、それを聞いているだけで補足として頭に入っていくのだから。

「では、今から登録に移ります。ではキューブを出してください」

 そう言われ誠はキューブを出す。お互いにキューブを出した後、お互いに相手のキューブに触れ登録を行った。簡単な物なのだが、これで登録は完了したのだ。セフィの時は、キューブを持っていなかったので一方的なものだったのだが、合流したときに登録をおこなった。なぜか、エンリとまで登録する事になったが。登録を行うと相手の位置と簡単なメールや電話のような機能が使用できるようになる。この世界の万能アイテムのようだ。

 登録を終えた誠に受付嬢が話しかける。

「では、これから私があなたの担当となります。私の名前はクラテルと言います。よろしくお願いします。早速ですが、クエストの発注も終わらせておきましょう。この世界に来て初めてという事なので、簡単なものでこの世界になれることをお勧めします。という訳で、この町近郊の遺跡でゴーレム退治などどうでしょうか?期間は一週間、周辺の遺跡でゴーレムを20体程倒していただければ達成です」

 登録を終えた後、怒涛の勢いで話しかけるクラテル。それに誠は、はいはいと頷くことしか出来なかった。そんな、誠をいつも通り無表情で見つめる白。白に幻滅されてしまっているかもと、誠は内心何もできない自分を恥ずかしく思う。

「では、ゴーレム退治でいいですね?」

 最後の確認の言葉、ここで誠は思い出したかのように尋ねる。

「ゴーレムて、ブラックナイトの事ですか?」

 誠は、ゴレーム種の中でブラックナイトしか見た事がない。なので自分たちが相手にするのはブラックナイトなのではと疑問に思うのは当然だ。あれを倒せるのがこの世界の普通なのではと思うと背筋が凍る。そんな誠の質問にクラテルは、何を冗談をと思いながら答える。

「いえ、ゴーレムと言えば基本的に土塊でできた二メートルのモンスターです。動きも遅いですし、パワーにだけ気を付けていただければ大丈夫でしょう。ブラックナイトは確かにゴーレム種ではありますが、熟練の手練れがパーティを組んで倒しに行くのが普通です。新人のあなたに頼むような相手ではないので、出会うことはまずないでしょう」

 この説明を聞き、誠は安堵したと同時にあれと戦ったエンリや白は恐ろしく強いのだと、尊敬したのだ。ともあれあんな化け物と戦わないでいいのは、嬉しい事だ。

「では、以上でよろしいでしょうか。クエストの内容については後で、キューブの方に転送しておきますので」

 そんな感じで、説明を終えてこの世界で初めてのクエストへと取り掛かるのだった。




 個室から外に出ると、意外と静かになっていた。こちらを見る者はいるが、少し前の様に話しかける者は誰もいない。幾人かが怪我をしていたり、争った跡があるが気のせいだろう。気のせいにするのが一番だ。なんせ今から誠が向かうテーブルに誰一人目を向けようとする者はいない。それどころか、背を向け震えている者が何人もいる。だから、これ以上詮索するのはよそうと思い彼女たちの待つテーブルに向かう。

「お疲れ、誠。どうだった?やっぱりクエスト受けたりしたのか」

「うん、この町近郊のゴーレム退治を受けて来た。20体は多いかなと思ってるだけど、一週間で終わるものなのかな」

「ああ、誠なら大丈夫だろう。私も行くし」

 そう言ってもらい、誠は少し安心する。初のクエストで、モンスター退治。正直、不安しかなかった。だから、誰かが着いて来るのは非常にありがたい。

「それでしたら、私も誠さんと一緒に行きます。その前にご飯でも食べませんか?こちらに来て食事をされていないのでは」

「なんであんたが一緒に来るわけ。ここまでの案内て話だったと思ってたのだけど」

 エンリの言葉に、セフィが答える。町に来る前や、町でよく見た光景だ。なんだか少し重荷が取れたような気がする。そんな誠の腕を白が掴む。

「私が守りますので」

 対抗心だろうか、いつも無表情なのだがその感情は意外と激しい方なのかもしれないなと誠は思う。そして、こちらに来てすぐの自分にはもったいないぐらいの相棒だと。

「まぁ、まずご飯にしよう。エンリさんの言った通り、お腹が少し空いて来ているので。あ、でもこの世界のお金が無いや」

「ふふふふ、そこはお姉さんに任せなさい」

 そう言ってエンリが誠の手を取る。そして、ギルドから出ると一直線にどこかに向かう。別の手には白がくっ付いているので、足取りは少し遅いが。

「こら、待てぇ!」

 その後ろから、セフィが追いかけて来る。二人を連れるエンリの足取りは遅いので、すぐにセフィは追いつくのだがそこでエンリが足を止めた。

「ここです。ここでご飯にしましょう、誠さん」

 グイッと寄せてくる顔に、ビビりながら、

「はい」

 としか言えない誠であった。そんな誠を店の中に、引っ張り入れるエンリ。

「おい、ここって・・・・」

 そんなセフィの声もむなしく二人は連れ込まれ、セフィは後から入った。

「らっしゃ」

 そんな声が聞こえ、そちらを見るとこれでもかと筋肉を盛り付けた店主が睨んできた。店内もさっきのギルドと違い、荒れくれ者の集まりみたいな感じの酒場になっていた。こんな所で飯を食べるの?誠の頭に嫌な予感が過る。

「店主さん、ご飯もらえるかしら、四人分お願いしますね」

 エンリは、そう言って適当な席に案内する。その後を、セフィが着いて来ていた。その顔は、なんでこの店になんて顔をしている。

「ここは、飯を食う場所じゃねぇんだ・・・・え、コルヴィスの姉さん」

 店の店主が、大声で怒鳴ろうとしてエンリの顔を見てその顔から血の気が引いている。冷や汗でべっとりだ。エンリは、ニコッとしているが何とも言えない迫力がある。

「ご飯を・・・」

「分かりました。すぐに用意します。てめぇらしっかり働け、コルヴィスの姉さんだ」

 エンリが何か言う前に店主は大慌てで、奥の部屋に駆けて言った。て言うかコルヴィスて誰だと思ったりしているのだが。

「おい、ここて情報屋の一つじゃなかったのか」

 セフィがエンリに聞く。ギルド以外にもそんな場所があるのか、とそんな事を考えながら誠は周りを見渡した。店内は暗く、雰囲気もどちらかと言えば暗い。どこからどう見ても荒くれ者ですよて人や、顔を布で巻いて隠している者も居たりとさっきのギルドと大きく違う。

「確かにここは情報屋です。でもここの店主の作る料理は絶品ですから。見た目があんな感じなのに面白いですよね」

 とここでご飯は確定である事が決まり、誠は内心ガッカリする。それとは別に気になる事がある。それは先ほどの店主の言葉だった。

「それとコルヴィス。確かその名は、裏では有名だよな。エンリさん」

「何のことでしょうか。私はエンリですよ。店主さんが誰かと間違えたのでは」

 そんなやり取りがセフィとエンリの間であった。このやり取りに店内が騒めくが、エンリが笑顔でぐるっと見渡すとたちどころに皆下を向いた。こんな所でご飯だなんて勘弁してほしい。

 その後、エンリはキューブを取り出し高速で何かをし始めた。やっている作業的に、キューブのメール機能を使用しているのだろう。それが終わった瞬間、店内いる人達のキューブが一斉に何かを受信した。偶然は恐ろしいと誠は現実から逃げた。

 そんなやり取りが終わった少し経つと料理が運ばれてきた。鉄板に乗ったステーキ肉、ピザのような物に、お米を炊き込んだ物など見た事がありそうで少し違う感じの料理が大量にテーブルに並ぶ。

「ありがとう。下がっていいですよ」

「はい」

 エンリに頭を下げる店主、そこには入店した時の面影が無かった。そしてエンリは誠に向かって笑顔で言う。

「さぁ、食べましょう。冷めてしまうと良くないです。味は保証しますので」

「それじゃ、いただきます」

 誠はそう言って、食べる。結論すると料理はどれもおいしかった。文句を言っていたセフィですら黙って黙々と食べていたのだから、本当においしかったのだ。白は誠が食べる前から、食べていた。その食べっぷりは他の追随を許さず、まさに圧巻だった。そんなこんなで料理は全て食べ終わり、当初の目的を果たした一行は町へ出る。

 その際に会計についてエンリに聞くと、

「店主のおごりだそうです」

 と笑顔で返された。その言葉に店主もコクコクと何度もうなずいていた。エンリの正体が気になるのだが、今はあまり考えないようにしようと誠は思い目の前のクエストに集中する。

「でも、ゴーレム退治てどこに行けば?」

「この町の周辺の遺跡を探せばすぐだろう。あまり気にしなくていいと思うよ、誠」

「そうですよ。セフィさんの言う通り、すぐに終わりますよ」

 二人は当然のように言うけど、そんなに簡単な事なのだろうか。その言葉に白もコクコクとうなずいているし。不安に思うが気にしても仕方ない。そう思うと誠の足取りも軽くなった。そして、一行は町を出る。




「あれが標的だよね」

「そうそう、あれがターゲット」

「邪魔なのが二人いるけど大丈夫かな」

「大丈夫だと思うよ。あたしたち強いから」

「うん。そうだね」

 誠たちが町を出るのを眺める二人の影。ローブで全身を隠した姿に、二人の片手から鉈のような刃物が覗く。そして、二人はお互いの手を握りしめ楽しそうに喋る。

「久しぶりの依頼だから張り切らなくちゃ」

「そうだね。張り切らなくちゃ」

 その言葉を最後に二人は消えた。その場に誰かの血の跡を残して。


ジャンルをファンタジーに変更しました

モンスターが出たり、世界観が中世ぽいし、まだ全然SFぽくなかったので

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