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キューブ  作者: あおまめ
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純白の少女

 突然現れた彼女、白に戸惑う誠。それを知ってか知らずか、白はそのまま誠いる場所まで歩み寄る。瓦礫の中を、さっそうと駆けて行き、あっという間に誠の目の前に立つ。

 改めてその姿に、誠は息を呑む。顔は凄まじく綺麗であり、この世の物とは思えない美貌に不気味さを感じるぐらいに。また、全身をドレスのような物で着飾り、どこかの姫のような印象を与える。身長は自分と同じぐらいなのだが、その輝きから自分が小さく感じる。挙げていけば、星の数ほど出て来る程、その印象は強烈である。

 そんな白が、誠の前に立っている。ブラックナイトの脅威など忘れ、そのまま見入っていたが彼女の言葉で我に返る。

「どうしましたか?ご主人様」

 まるで、使える主を心配する様にその様子を窺う白。その顔が無表情なのでその真意は、理解できないが。その言葉に我を取り戻した誠は、彼女が先ほど述べた言葉を思い出す。

「兵器、君が?」

 誠の言葉からは疑問符しか出て来なかった。

 確かに、彼女は先ほど自身の事を兵器と、正しくは第三世代近接用兵器と言っていた。誠が想像していたのは、剣や銃、弓矢その他諸々の形のある暴力を想像していた。しかし、自分の目の前に現れたのは兵器を名乗る少女である。戸惑う誠に、白は答える。

「はい、私はご主人様を守る、剣であり、槍であり、斧であります」

 やけに攻撃的であり、守ると言うより、殲滅といった感じだったがそこは気にしない。自分を守ると言う、彼女がどうしても兵器に見えなかった。それに今は、戦闘の真っ最中であり、ブラックナイトが何時襲って来るか分からない状況で、これ以上は時間が惜しい。

「今、ここは危ないんだ。一緒に出よう」

 一先ず、全てを置いてここから出ようと誠は思う。その為に、ためらいはしたものの白の手を取り、出口を探そうと辺りを探る。そんな彼に、白は声を掛ける。

「危機とはどの様なものでしょうか。ご主人様?」

「その、むず痒い呼び方はやめてよ。俺は成瀬誠て言うんだ。誠でいいよ」

 自分を呼ぶ、その言葉にむず痒さを覚え訂正を入れた誠は、自分の置かれた状況を説明する。

 まず、この世界に初めて来た事。武器を手に入れる為に、この遺跡をさまよっていた事。その途中、案内人を名乗る略奪者に会い、また現在黒い騎士の化け物に追われている事を。

 白は真剣に、誠には無表情の彼女がどのように聞いているか分からないが、最後まで聞いてくれた。何も口を挟むこともなく。そして、話を聞き終え白は結論を出す。

「何も問題ないと思いますよ、誠様。私が居る限り万事解決です」

 何故、そうなるのだろうか。ポカンと口を開けた誠を、白は見つめる。彼女にとってその程度、まったく問題にならないと思うのだが、自らの主がどういう訳か固まっている。そんな彼を不思議そうに見つめる。無表情なので少し不気味に見える光景だが。

 そして、彼女は思いついたように急に行動する。

「失礼します、誠様」

 そう言うと、白は誠を抱き上げる。俗に言うお姫様抱っこと呼ばれる行為だ。

 突然の行動に、誠は着いて行けない。というかその自分よりも細い腕に抱き上げられたという衝撃がでかいだろう。

 その態勢のまま、白はジャンプする。まるで某ゲームの壁ジャンプの様に飛びながら、頭上の光に向かってジャンプし続ける。

 姿は逆だが、それはお姫様を抱える王子様のようであった。一人は無表情で、一人の顔は全てを諦めた顔をしていた。




 案内人をしていた彼女は戦っていた。それは戦いと言うより戦争だ。辺りは火薬と焦げた匂いが漂い、煙が上がっている。それとは別に、いくつもの柱が鋭利な刃物で切り裂かれた様に倒れている。そんなこの場には、一人と一体の影がある。

「ヴォォオオ!」

 一体は、この世の物とは思えないような咆哮と共に小さな影に、その六本の腕に構えた醜い刃で襲い掛かる。もう一つの小さな影は、その攻撃かわし、どこから取り出したか分からない銃火器で巨大な化け物を攻撃する。そんな攻防をどれだけ続けただろうか、時間にしてはそんなに経っていないがその攻防の激しさから時間を忘れる。

「こんな所で、こんな化け物に出会うなんてね。もう少し出し惜しみしないでいくか」

 彼女の頭の中には、既に誠の事などなかった。眼前の敵を潰す事だけに集中する。

「その醜悪な見た目が、少しはマシにまるように私が刻んでやるよ」

 そう言うと、両手の袖から一本ずつ刃が出てきた。その刃は、うっすらと白い光を放ち、小さな虫が飛んでいるかのような音が飛ぶかう。

 その刃を構えたまま、彼女は走り出す。それを六本の刃で向け打つ、化け物。

 彼女が、六本の腕の射程範囲入った瞬間に、全ての刃が彼女に迫る。

「ブースト」

 彼女が呟くと、両足のあたりから、ジェット噴射のように火が出て飛び上がる。そのまま華麗に六本の刃を交わし、二本の刃で切り裂く。

「ヴァァッァァア!」

 その刃は一つが、一本の腕を落とし、もう一つはその鎧に大きな傷を付けた。その傷に、阿修羅と呼ばれる騎士は膝をついて大きく叫ぶ。

「うるさいなぁ。さっさと殺してしまいにするかな」

 もう一度、斬りかかろうと向かおうとするが、あるものが視界に入った。

 それは、床に空いた大穴から飛び出てきた。一人は見た事がある。さっきまで自分が護衛していた男だ。それを抱えるように、一人の純白の少女が飛び出して来たのだ。

 その少女は、一級品の美術品のように整った顔、全身を純白のドレスを覆い天使のようないで立ちであった。その顔が常に無表情であるのが、拍車を掛け人外の雰囲気を彼女は感じる。彼女が勝っている所など、少女の胸くらいだろうと自分の豊かな胸を思い浮かべていると、少女から鋭い視線を感じた。しかし、気のせいだろう少女は相変わるの無表情であるのだから。

「ヴォォォォオオオオオオ!」

 忘れていたというように、一体の叫び声に、彼女は眼前の敵を思い出す。しかし、眼前の敵は案内人を向いていない。新しく入って来た、少女と少年を向いていた。

「ひぃ!」

 その見た目に、誠は小さな悲鳴を上げる。巨大な体格に、鎧と化け物を混ぜ合わせたような体をし、一本斬り落ちているものの五本の腕には醜悪な刃の武器を持っている。それが、こちらを向いてその赤い眼光で睨み、裂けた口で叫んでいるのだ。生きた心地がしない。

 白はそれを見て、誠をおろす。

「すみません、誠様。このまま戦う事は出来ませんので、少し此処で待っていて下さい。相手はこちらに敵対行動を取ろうとしています。ですので排除してきます」

 そう言うと白は、阿修羅に向かう。優雅な立ち姿は、今から戦おうといった雰囲気ではないが、確かに少女は誠の前にたち阿修羅を見据えている。

 阿修羅も完全に白を捉えていた。今なら、背後から奴の首を落とす事もできるだろう。だが、案内人は動かない。それよりも、誠を抱えて飛び出して来た少女だ。

 この世界で与えられる武器は、確認しているだけで全て三種類に分かれている。一般的に第一世代と呼ばれる、見た目で武器と分かる物。それは、刀や銃もしくは何らかの物の形をしている。威力や効果は目の見張るものがあるが、それは一般的な武器の形をしている。これがこの世界で多く、一般に知られる武器であり第一世代と呼ばれている。

 そして第二世代、これは前者と比較した場合、一番の違いは宿主に寄生する。元がどのような物であれ、宿主に寄生して身体能力の向上や、武器本来の機能を人に持たせる事ができる。数が少なく、第一世代より機能が特殊な為、かなりの希少武器となっている。

 その上にあるのが第三世代だ。それは人の姿をし、たった一つで国をおとす事ができる。と言われ、伝説のように噂される兵器。それが第三世代。噂が語られるだけで、その姿を見た者はいないとされていたのだが、まさかと案内人は思う。

 もし本当に少女が第三世代であれば、阿修羅などではどうする事も出来ないだろう。

 案内人はその真価を見極める為に、阿修羅には手を出さず、じっとその戦いが始まるのを待つ。もし、少女が第三世代だった時、自分の奪取は失敗に終わるのだが。

 無粋な女が、見ているのを少し不快に感じるがまずは、主の命を脅かすであろう目の前の敵の排除が優先だと、彼女は結論を出しその手に一本の刀を出現させる。

「白夜来なさい」

 それは、少女と同じ全てが純白の日本刀だった。鞘には入っておらず、刀身から頭に至るまで全てが純白であった。それをただ右手に持ち、阿修羅が間合いに入るのを待つ。

 決着は一瞬で決まった。

 阿修羅は、五本の刃を斬るためではなく、八つ裂きに突き刺すために、五本の刃を構え白に突撃する。その動きには出鱈目であるが、動きは早くその威力は凄まじいものだと想定できる。通常であればそのまま白が、五本の刃に刺さり、八つ裂きになっているのだが五本の刃は空を斬る。

 はたから見れば、ただすれ違っただけに見えた。白が動いたようには見えなかったし、阿修羅も自身の刃が少女を貫いていない事を不思議に思い、首を傾げる。がその時、阿修羅の体が斜めに斬れ崩れ落ちた。案内人も誠も崩れ落ちた阿修羅を見て、一瞬何が起きたのか分からなかったのだが、白がすれ違い狭間に斬ったのだと遅れて理解する。

「障害の排除終了」

 それが何でもないかのように白は、自らの主の元に向かう。

 案内人は、それを見て確信した。少女が第三世代である事を、そして自分が勝てる相手ではない事を。

 そんな案内人を白は見て、

「誠様、彼女はどうしましょうか?」

 と呟く。その瞬間、案内人は一気に熱が上がり汗が噴き出るような感覚に襲われる。さっきと立場が逆転しているのだ。誰が第三世代をゲットして来ると考えるだろう。ここに来て、自身の計画が崩れる。ならば、この場を自身の有利な方向により利益の得られる方向に持って行かないとと案内人は考える。我ながら図太い神経だ。

「別にどうこうする事はないよ」

 先に切り出したのは誠だった。これは案内人にとっては意外であった。まだ頭が着いて来ず、話に入って来ないものだと思っていたからである。

 誠はただ、誰かが死ぬ所を見たくないただそれだけの思いで先ほどの発言をしたのだが。

「そうですか。では誠様の言う通りに」

 そう言うと、白は案内人に興味を無くしたようにその顔を誠に向ける。そして、誠の腕を引っ張りどこかに案内しようする。

「「ちょっと・・・」」

 案内人がその行動を止めようと、誠はその行動に戸惑いその理由を聞こうとした時、二人の声は上空から聞こえる叫び声のような、悲鳴のような声に掻き消された。

 上空を窺う三人に、バイクに乗った赤い髪の女性が目に入る。

「え!セフィさん」

 誠だけがその人を知り、突然の登場に慌てる。

 誠の記憶が正しければ、彼女は誠の現在地をキューブで知り、後程合流する手筈であったがまさか空から降って来るだなんて誰が思うだろう。バイクに乗って。

 そんな中、バイクと共にセフィは落ちて来るが、誰一人彼女を救う為に行動を起こさない。誰がどのようにして救う事が出来ようか。

 薄情者どもと思いながら、セフィは自身の武器である刀を取り出す。刀身のない柄だけの刀を。その刀を地面に向けて大きく振るう。すると刀からいくつもの羽のような物が無数に飛び出し、十メートルぐらいの山となり、その中にセフィはバイクと共に突っ込む。まるで枕を割いたように、辺り一面に羽が舞う。

「ぷはぁ!死ぬかと思った」

 その中から、全身羽だらけのセフィが飛び出す。

「良かった」

 と呟く誠と、突然の出来事にあっけにとられる案内人、白は無表情で誠の隣りに立ち、事が終えたのを見るとまた誠の腕を引きその場を後にしようとする。

「ちょっと!」

「誠をどこにやろうとしているの」

 その行動を止めようとする案内人と見知らぬ少女を警戒するセフィ。誠はなすがままになっているのだが、この際おいて置く。

 二人の問いに白は答える。

「安全な場所まで、案内しようかと。ここはモンスターが出現しますので、危険です」

 そう言って、誠と共に立ち去ろうとする。

「「私も行く」」

 案内人は自身の利益の為に、セフィはぽっと出の少女に自身の役目を取られないように、二人を追い一人は駆け出し、一人は重たいバイク押す。その後、四人は近くの町に向かう事を決め、そこでお互いの経緯について説明する事で合意した。




 誰もいなくなった遺跡の祭壇の、ある一角が吹き飛ぶ。棺桶のような物体の蓋が吹き飛ぶ、上に乗る瓦礫が宙を舞う。その中から、漆黒の黒髪にドレスも黒で統一された少女が出て来る。肌は白いが、その為かより自身の黒が強調される。そして、赤い瞳が大きく開けられると少女は自身満々に高らかに叫ぶ。

「私は第三世代中遠距離用殲滅兵器。機体名をシュバルツ・ロード。貴様に限り私の事を、黒と呼ぶ事を許そう」

 そう言い、胸を大きく張る。

 決まった。

 内心で大きくガッツポーズを取り、目を閉じ辺りの反応を窺う。だが誰の返事も帰ってこない。流れる汗が止まらないが、万が一誰かがいた時に事だと思い、薄目を開けて辺りを窺う。

「なぁ!」

 そう言った口が塞がらない。自分が使える主がいない。いや、この暗い空間には誰もいない。

 そうこの場で一人であると認識した彼女の心の奥には、黒いものが沸々を湧いてくる。

「この腹黒天使ヤロー!」

 その場にいないであろう一人に、呪詛を吐き誓う。

 必ず自身の主の元にまでたどり着くことを。

 

段々と文章量が増えているなと思います。

誤字脱字や、句読点のミスなどが増えているかも。

あったら、すみません<(_ _)>

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