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キューブ  作者: あおまめ
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守護者

二人の前に姿を現したのは、全身を黒い鎧で覆った漆黒の騎士だった。その大きさは三メートルはあるだろう、巨人を彷彿させる騎士が目の前に現れる。

 その数は実に五体。その全てが、自身の身長の半分はあるであろうロングソードを肩に担ぎ、左手には小盾を装備している。

 その姿に誰が恐怖しないだろうか?

 誠は、腰を抜かしその場にへたり込んでしまった。

「何だ?この大きな騎士は」

 その声は震えていた。

 この場に、来なければこんな騎士に会う事もなく、平和に暮らしていただろう。セフィに言われるがままにこの世界に来た事を後悔しながら、この騎士たちに殺されるのだろうと納得した誠とは違い、

「あれはゴーレムの一つで、ブラックナイトと呼ばれる種類です。大丈夫ですか、立てます?」

 案内人はそれが当たりまえであるかのように立っていた。それどころか、あれに背を向け誠に手を伸ばす。その手に、引き上げるように何とか誠は立ち上がる。

 そんな中、ブラックナイトの一体がロングソードを抜き戦闘態勢に入る。

「後ろ、後ろ!」

 誠が大声で叫ぶ中、一体のブラックナイトが片手で剣を構え、こちらに駆けて来る。その姿に短いであろう人生を振り返り、誠は軽い別れを告げた。

 そんな中、何をそんなに慌てているのか理解ができない案内人。いや、少し意地悪しているのだが。そろそろ自分の信用を勝ち取るために真面目にしないと彼女も戦闘態勢に入る。

 案内人は、誠に体を向けたまま片手を走って来る、一体のブラックナイトに向ける。袖が余程長いのだろう、その手は見る事ができず、長い袖が垂れている。

「4重HMG」

 案内人が呟くと、大きく垂れた裾がピンと張り、それを支えるように四本の大型機関銃の銃口がブラックナイトに向く。

「掃射」

 その言葉と共に、銃口から火が吹く。雨の様に、弾丸が、その火力がブラックナイトに叩き付けられる。

 その振動を一身に受けているはずの彼女だが、まったく動じていない。平然と立ち、片手も一切ぶれる事なく、ブラックナイトに向けられている。

 その火力を叩き付けられているものの、ブラックナイトには傷一つ付いていない。だが、先ほどの様に駆ける事は出来ず、左手の小盾を前に出し少しずつ歩みよって来る。

「ちっ!さすがに堅いですね。ではこれならどうでしょう。90mm超電磁砲」

 そう言うと、四本の機関銃は何かが切れたかのように、その銃身を地面に落とす。凄まじい音を立てるのだが、誰も相手にしない。ブラックナイトは、自身を遮る障害が消え、再び走り出そうとするが、そんな時間を案内人は与えない。

 彼女の片手から、先端が滑走路の様に伸びた大きな筒が出て来た。いや、誠には生えて来たように見えた。

「凄く、危ないので離れてて下さいね」

 不意に掛けられた言葉だが、誠は即座に行動を起こす。案内人やブラックナイトから距離を為に慌てて駆け出す。

 どう考えても、駆けているのでなく転びそうな必死な姿に案内人はクスリと笑う。そして、彼が十分に距離を取った所を確認し、叫ぶ。

「ファイヤー!」

 その声に合わせ、腹の底から震えるような音が聞こえる。それと同時にあたりを不気味な光が、まるでプラズマボールの電気の様に飛び散り、案内人の片手が輝く。筒身の奥が光り輝いたと思った瞬間、一本の赤い線が凄まじい衝撃と共に飛び出した。

 その線が向かう先には、先ほどのブラックナイトが。

 衝突と共に凄まじい、衝撃と轟音が辺りに響き渡る。その弾丸はブラックナイトに当たってもその威力を弱めることはなく。ブラックナイトをそのまま吹き飛ばし、後ろの大きな遺跡にぶつかりその姿を消した。

 その光景に残り四体のブラックナイト達も、ロングソードを構え、戦闘態勢に入る。

「ふう、一体撃破。残り四体か、めんどくさいな」

 そう行って案内人は、四体のブラックナイト目掛けて走り出す。

 口ではそうは言っているものの、その姿はまさに強者。圧倒的な火力でブラックナイト一体を倒し、残りの四体を狩るために走り出す。その姿に誠は怯える。

 初めて見た武器を持つ者の戦い。どのような武器を使用しているかは知らないが、自分の想像していた戦いとは違う。戦いではなく、戦争だ。一人が所有して良い力ではない。

 あの案内人相手に、どの様な小細工を要す事が出来るだろうか。自分が使用としていた事がばれて怒りを買うかもしれない。そうなれば自分にはどうする事もできない。

 自分の無力感と、圧倒的な恐怖に誠が怯える中、案内人の戦いは続く。

「グラビティーインヴァリド」

 案内人が呟くと、その手があるであろう場所から光が満ちる。

 空間を満たすように広がる光は、半球を作るように広がりその中ではあらゆる物体が重力を無くしたかのように、漂う。

 まるでその場だけが、宇宙の様に重力が消えていた。もちろん、その空間に飲まれたブラックナイト達も重さを失い、バランスを崩す。

 バランスを崩した瞬間に、光は急に消え、今まで忘れていた重力が不意に戻り、ブラックナイト達を地面に叩き付けた。轟音と共に四体のブラックナイトは倒れる。

「断罪刀」

 その瞬間を見逃すはずも無く、案内人は倒れた一体に飛び掛かる。

 その手には何も持っていないように見えたのだが、何かを振るう動作をする。振るった瞬間、ブラックナイトと同じ大きさがあろう巨大な鉈が出現し、一体の首を吹き飛ばした。出現した鉈をそのまま放置し、案内人は辺りを警戒する。

 残りの三体とも、一体を倒している間に態勢を整えているものだと考えていた案内人の前には二体のブラックナイトが立ち塞がる。

「あれ、一体足りなくない?」

 その言葉に誠も辺りを見渡す。

 すると、一体が戦線を迂回するように、走っていた。いや、案内人を避け、誠に向かって迫っていた。

「な!」

 それ以上の言葉が口から出ない。今だ、武器を所有していない誠が立ち向かえる相手ではない。

 その光景に、案内人は走り出すが、その眼前にロングソードが振り下ろされる。慌てて回避したものの、これでは誠を助けることは叶わない。

「チッ!雑魚の癖してめんどくさい事してくれるね」

 と言いつつ、案内人は笑っていた。

 こんな演出があったのかと。

 初めてこの世界を訪れた者には必ず、武器が与えられる。それに一部の例外もない。案内人は薄々気づいていたのだ。これが、武器を与えるための儀式のようなものであると。

 だから、誠の心配はしない。ただ、この騎士たちは自分を全力で排除しに来るだろう。武器を手に入れに来た、正当な者ではない自分に対して。

 まるで、宝を守る守護者だ。それでも、誠よりも先に武器に触れないと。いや、手に入れた後でも良い。とにかく、触れる事が大事なのだ。

 言い聞かせ、目の前の障害を排除するために、案内人は動き出す。

「火力で押し切る!」

 そう言うと、案内人に袖から無数の銃口が姿を見せる。幾重にも重なり、どれだけの量が袖から覗いているか分からない。

 それを二体のブラックナイトに向けて放つ。様々な種類の銃器が、火を噴き二体を襲う。

 ある弾丸は、その体にはじかれ、ある弾丸はその体に刺さり爆発する。どれだけの弾丸が、二体を襲ったのだろう目の前にはただの鉄屑が出来上がっていた。

「あの子は?」

 案内人が誠を確認すると、そこにはブラックナイトがロングソードを振り下ろした姿があった。が、そのロングソードは誠に当たる事はなく、そのすぐそばに突き刺さる。

 それが合図だったかのように、地面が割れ、誠とブラックナイトはその穴へと、闇の中に落ちて行った。

「あそこか」

 案内人は確信のようなものを感じていた。あの先に、武器があるのだと。

 案内人がその穴に向かおうとすると、ふと頭上が暗くなる。自身のセンサーが、けたたましい警報を鳴らし、その場を回避すると同時にそいつは落ちて来た。

 土煙と共に、風が案内人のフードをめくる。

 眼前には一体のブラックナイトが、いやブラックナイトではない。その体は、ブラックナイトより一回り大きく、六本の腕を要し、その腕全てに武器を持っている。

「あら、阿修羅じゃない。本当にめんどくさいのが来たね」

 騎士のヘルムは、異様に裂け、まるで獰猛な肉食獣の口の様な牙の生えた口を持ち、また体を守る鎧からもところどころ奇妙な肉のようなものが飛び出ている。先ほどのブラックナイトが、騎士の様な見た目に対し、装備は同じような感じなのに、

「バサーカーと呼んだ方が、しっくりきそうな感じね」

 と感想を述べる。その化け物を目の前に彼女は大きく笑みを浮かべていた。

 その眼には怪しい光を浮かべながら、案内人は駆け出した。目の前の獲物を狩るために。



 

 案内人が戦っている間に、誠に向かって一体のブラックナイトが駆けて来る。

 自分ではどうしようもないが、死にたい訳ではない。その剣を見てかわすのだと、今はブラックナイトを正面に捉える。

 今までの行動を見ていて、その巨体から繰り出すであろう攻撃は脅威だが、決して速い攻撃ではない。ならば、死なないようにかわし、案内人が来る時間を稼ごうと覚悟を決めた。

 そして、その剣をかわそうと構えていると不思議なことに気付いた。

「へ?」

 その剣は自分がいる場所とは違う場所に、勢いよく突き刺さる。

 何故だと考えている間に、そこから亀裂が走り、あっという間に誠の足元にまで及ぶ。気づいた時には遅く、浮遊感が全身を襲い、闇の中に飲まれていった。

 地面に叩き付けられた感覚と全身の痛みが、襲ったのはそのすぐ後であった。それほどの距離を落ちていないのだろう。だが、痛い。

 それと同時に、一緒にブラックナイトが落ちていた事に気づき辺りを見渡す。

 そこは祭壇のような場所になっていて、自分が落ちた場所はまさに生け贄を捧げる場所のようになっていた。だが、それ以外は瓦礫に埋もれてどの様になっているのか窺うことは出来ない。

「一体ここは?」

 上を見上げると、光が見えている。あの場所から落ちて来たのかと。その距離が思ったより深く、よくこの程度助かったと思いながら、ブラックナイトの脅威から逃れた訳ではない事を思い出し、もう一度辺りを見渡そうとした時、いきなり辺りが光り出した。

 それは、ある規則性を持った光であり。いくつもの回路の様に祭壇から伸びていく。瓦礫に埋もれた下からも光が伸びている。

「なんだ一体?」

 その不思議な光景に、驚いていると瓦礫の一角が吹き飛んだ。

 ブラックナイトが現れたと思い、ビクンと体を震わした誠だが、目に飛び込んできたのは白い女性であった。

 その姿は、まるで天使のようであった。髪は純白であり、服も白で統一されたウエディングドレスの様なものを纏っていた。肌も全体的に白く、青い瞳だけがその白の中で異様な光を放つ。そして、一つの芸術品の様に完成された顔を誠に向けていた。

「誰、君?」

 その問いに彼女は感情の見せない顔で、平坦と答える。

「私は、第三世代近接戦闘用兵器。機体名をヴァイス・ロード。気軽に(しろ)と及び下さい。ご主人様」

「え?」

 それが白との出会いであり、誠が兵器を手に入れた時であった。

武器を守る、ガーディアンといった感じで書いたのですがそれっぽく書けてないような気が・・・

ついに武器が手に入りました。ここからですね。

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