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第一話「オタクのタクオ」

「…てやぁっ!」

少女の手にする剣から繰り出された一閃突きが、目の前の怪物の身体に命中した。

その攻撃が致命傷となり、怪物は大きな咆哮を上げ、跡形もなく消滅した。


「ふぅ…終了っと…」

言いながら、怪物の返り血がついた剣を鞘にしまう。

──私の名前は野原拓男。ピチピチの十代である。

ギルドから依頼されていた怪物の討伐を終わらせた帰路の途中で別の怪物に遭遇してしまったが、こんな雑魚にやられる私ではない。たとえ何百体来ようとも撃破は容易である。

以前、自分の身の丈の五倍以上はあろうかという程の巨大な怪物を一人で討伐した事だってあるのだ。

数々の死線をくぐり抜け、星の数ほどの激闘を繰り広げ、最上級の装備を身に纏う私にもはや敵はいない。

だが、そんな無敵な私にも弱点はある。それは───

「拓男!いつまで寝てるの!早く学校行きなさい!」

そこで、不意に扉の向こうから聞こえてきた母の鬼のような怒号が聞こえ、現実に帰る。

「はぁ…もう、今いいところだったのに…」 

私は一つ大きな溜め息をつき、手に握りしめていた携帯ゲーム機の電源を切った。

それを机の上に置き、クローゼットから制服を出し、急いで着替えを済ませる。

準備を終え、元気のない声で私は「いってきまーす…」と言った。

母の「いってらっしゃい」と見送る声を背中で受け、玄関の重い扉を開き、外へ出た。


私の弱点、それは────現実…そして、学校である。

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