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まちおこし!   作者: 二郎
第一章
6/6

 ☆ ☆ ☆


「へ~『まちおこし対策本部』ねえ」

 昼休み、伊東と三島に加え、昼飯を一緒に食べに来た義樹の4人で弁当をつつく。今は俺達が新しく部活を立ち上げたことを義樹に伝えたところだ。

「そう、私たちでこのまちを変えてあげるわ」

「なんか面白そうなことやってんな~」

「お前も入るか?」

 今の、三島と伊東に俺という構図は精神衛生上よろしくない。主にストレス的な意味で。やはり義樹を引き入れて男女を同数にしておくべきだろう。そうすれば被害は分散するはず。

「いや、サッカー部が忙しいからな。遠慮しとく」

 ちぃ、役に立たない奴め。思い通りにはいかないものである。

「でもあいちゃん、今日から始めるって言ってたけど何をするの?」

 確かに、いきなりまちを変えると言われても何から始めればいいのか分からない。

「何かを変えようとするなら、まずは現状を把握しないといけないわ」

 ふむ。

「だからこのまちを変えたいなら、このまちの現状を知らないといけないわけよ」

 なるほど。

「つまり、最初にやらなければいけないことは…まちあるきよ!」

「つまりこのまちを散策するってこと?」

「そう。私は転校してきて少し歩いてみたけどまだまだ把握は現状の把握はて出来てないし、晴海はこのまちの住人じゃないしね」

 伊東は少し離れたまちから電車で通っている。確かにまちあるきは最初に行っておかなければならないな。

「ちゃんと考えてるな」

「私がやるって言ったんだからそりゃちゃんと考えるわよ」

 さすが大きなことを言うだけはあるな。

「あとは…そうね、このまちの人口とかの数値的なデータは藤枝先生に頼んでおこうかしら」

「…は~、なんか本格的だね~」

 伊東が感心したようにつぶやく。

「まあ要はこのまちを盛り上げるために何をするかを考えればいいだけよ」

「よし!頑張ろうね!まずはまちあるきか~なんだか遠足みたいで楽しそうだね!」

「私も晴海もこのまちにはまだなれてないんだから案内は頼むわよ」

 そう言って俺を見る三島。

「まあ、構わんが」

 しかし、案内か。どこを案内すればいいのだろうか。まあ俺の行きつけのコロッケ屋は外せないが。

「いいな健、両手に花じゃないか」

 言われてちょっと嫌な顔をしてしまう。確かに外から見れば、男子には羨ましい光景だろう。三島はかなり可愛いし、伊東も並な女子より可愛いと言える。まあ、妬まれても仕方ないかもしれない。

 しかし、実態を見れば三島は人をいじり倒してにやにやしているような奴だし、伊東はアホの子だ。まあたまにそのアホさ加減がツボに入る時はあるが三島と組み合わせると途端にたちが悪くなる。

「両手に蕀の間違いだろ」

「どういう意味よ」

「どういう意味かな~清水君」

 ほら怖い。三島は鋭い眼光でにらみをきかせてくるし、伊東は笑ってはいるが目だけ笑ってない。伊東ってそんな顔出来るんだ~知りたくなかったな…

「俺にもったいないってことですよお二方」

「ふんっ、分かってるじゃないの」

「あははっ」

 まあでも、こんな空気も悪くはないかな。

 放課後が楽しみだ。


 ☆ ☆ ☆


 放課後、俺達はすでに正門の前に集まっていた。

「じゃあそろそろ出発しましょうか」

「オッケー!」

「そうだな」

 まあそんなに時間もあるわけでもないし、さっそく行きますか。

「行き先はあんたに任せるけどなるべく全域を回れるようにお願いね」

 全域か…

「細かく見ていくつもりなら今日だけでは回りきれないぞ」

「じゃあとりあえずはあんたの好きなように回りましょ。回りきれなかったらまた明日続きをやればいいわ」

 了解、と返事をしてとりあえず歩きだす。

「で?最初はどこに行くの?」

 最初にいく場所と言ったら一つしかないだろう。


「最初の目的地は…ここだ!」

「まあ予想通りね」

「えーと、にくや『むらまさ』?」

「そうだ!とりあえず…おばちゃ~ん!」

「はいよ~」

 と返事が聞こえ、店の中からこの店の店主のまさ子さんが出てくる。

「ケンちゃんかい、いつものでいいのかい?」

「うん!でも今日は3つでお願い」

「分かったよ」

 と言ってまさ子さんは店の中へ入っていった。

「ね~清水君、なんでここが最初なの?」

 伊東が不思議そうに聞いてくる。そんなの決まってるだろうが!

「ここはな、俺の行きつけのコロッケ屋さんだ!」

「え?肉屋さんじゃないの?」

「いやまあ肉屋だけど…コロッケも売ってんの!」

 さすが伊東さんだぜ…質問のレベルが低い!

「絶対最初はコロッケの店だと思ってたわ。まあ私も気になってたからいいけど」

 まずこのコロッケを食べないとこのまちは語れない、俺はそう思ってる。

「まあ一回食べてみろってうまいから」

「ふ~ん、まあそこまで推すなら食べてみたいな」

「そうね、この男がこんなに熱くなるほど美味しいのかしら」

 フッ、見てろよ二人とも。かならずギャフンと言わせてやるぜ!


 待つこと数分、揚げたてのコロッケが運ばれてきた。

「はいよケンちゃん、コロッケ3つ」

「ありがとおばちゃん!」

「わ~熱々だね!美味しそう!」

「さて、味はどれ程のものかしらね」

 二人に一つずつ渡す。

「よし、じゃあ…」

「「「いただきます」」」

 全員で同時に食べる!

「~~~うまい!」

「すごい!美味しい!」

「…ふむ」

 こら三島!そこは素直にリアクションしろよ!

 いやでもやっぱりうまい!

「衣はカリカリで、それでいて厚すぎず、中のジャガイモのホクホク感とマッチして…美味しいわね…」

 料理評論家か!

「こんな美味しいコロッケ初めて食べたよ~!」

 そうだろうそうだろう!この店のコロッケはこのまちに数あるコロッケ屋の中でも俺のイチオシだからな!

 夢中でパクつき全員見事に完食しました。ごちそうさまでした。

「…ちょっと店員さんに聞きたいことがあるんだけど呼んでくれるかしら」

「ん?ああいいぞ。おばちゃ~んちょっといい?」

「なんだ~い?」

「ちょっと話を聞きたいんだってさ~ちょっと時間とれる~?」

「はいよ~今いくから待ってな~」

 でも、三島の聞きたいことって何だろうか?

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