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7話 正座から始まる冒険者ライフ!?

 夕方、依頼を終えた冒険者達で俄かに活気づくギルドホール。

 その冒険者達の注目を集めている1人の受付嬢と、正座させられている2人組みの姿があった。

 当然の事ながら、受付嬢はサラで、正座組は次郎衛門とフィリアである。


「済みません。

 サラ様、調子に乗り過ぎました。

 許してください。もう足が限界なんです」

「ジローが悪いのにで何で私まで怒られ…… 

 いえ、何でもないです。サラさんごめんなさい許してください。」

「いーえ。ダメです。まだ反省したとは思えません!」


 尻尾をピンと立てて、プンスカ怒っているサラの姿は結構可愛く、周りで傍観してる冒険者はなんだかほっこりしているようだ。

 叱られている二人は、本当に足が限界にきているらしく、微妙に体を動かしなんとか苦痛を紛らわそうとしているのが、周りにはバレバレだった。

 それを面白がった数人の冒険者達が次郎衛門達に話し掛ける。


「お前ら新人か?

 サラちゃん怒らすなんて一体なにやらかしたんだ?

 しかしあれだな、こういう状況みるとやっぱ(つつ)きたくなるよな」


 等と言いつつ、冒険者達は、2人の足を(つつ)き始める。


「ぐああああああ。や、やめろおおおおお!」

「いやああああ、ちょっとやめないさいよ! この変態ども!」

「わはははは、こいつら良いリアクションするぞ!

 もっとやってやれえええ!」


 冒険者達はドンドン調子に乗って突きまくるが……

 そこはやはり彼らも男である。

 次第に次郎衛門はほったらかしになり、フィリアにばかり群がっていく。

 次郎衛門は最初の方こそ、ぐああああ。などと大袈裟にリアクションを取っていたのだが、今じゃ、誰にも見向きもされず若干寂しそうな気配だ。

 最早この場は、説教どころではなく、ただのセクハラ大会である。


「はーい! 皆さんそこまで!

 ジローさん! フィリアさん!

 今日のところは許しますから、ちゃんと反省してくださいね!」


 既に説教の雰囲気ではなくなってしまったいる状況だ。

 結局仕方なく、許す事にしたサラなのであった。


「それでは、明日から2週間がFランクの様子見期間になります。

 この期間の間に最低3件は頑張ってランク不問の任務こなしてくださいね!

 それとジローさんは、ステータスを判断する為に、最終日に試験を行う事になると思います」


 両手をぎゅっと握り締めて、応援するようなポーズをとりながらいうサラ。

 あざとくはあるがかなり愛らしい。


「ほーい。頑張るよんっと。

 ところでサラちゃん、どっかにいい宿って知らんかな?」

「それなら、ギルドを出て東へ行ってすぐのところに、ご飯も出してくれる宿がありますよ」

「おー。ありがとん。んじゃ、フィリアたん、そこに行ってみるか」

「ハア…… なんだか今日は疲れたわね……

 早く行って休みましょ」

「そだな。んじゃ、サラちゃんまたねー」


 あっさりとみみずく亭という宿を見つける次郎衛門。

 周囲に宿らしき建物がない以上、恐らくこの宿が、サラの言っていた宿なのだろう。


「いかにもって感じの宿屋だな。

 宿屋初体験ってのもちょっとワクワクするな!」

「そお? こんなの何処も同じじゃないの?

 何でも良いからさっさと部屋とって食事にしましょ」

「確かに腹減ったなぁ。すんませーん。部屋開いてるかなぁ?」

「っいらっしゃい! 一緒の部屋で良いのかい?」


 人相が悪い為に、押し込み強盗と間違われる事も少なくない次郎衛門。

 だが、女将さんらしき人は、ほんの一瞬警戒したような表情を浮かべたものの、直ぐに愛想よく笑みを浮かべ元気よく返事をしてくれる。


「もちろん! …… 二部屋お願いします……」


 ここぞとばかりに、同じ部屋にしようとした次郎衛門であったが、一瞬でフィリアの絶対零度の視線に負ける。

 結局二部屋頼む次郎衛門。

 そんな様子を見ていた女将は苦笑しながら言う。


「少しだけ料金上乗せになるが、夕食と朝食もセットでつけるかい?

 もちろん普通に食べるよりは安くあがるよ!」

「んじゃ、それでお願い。今すぐ大丈夫かな?」

「あいよ! 適当に座って待ってておくれ」


 女将はそう言うと奥に引っ込んで行く。

 座って待つ間に、明日からの事について、相談し始める次郎衛門とフィリア。


「なぁ、フィリアたん。明日からの予定はどうしよ?」

「そうね。先ずはやっぱり買出しじゃない?

 装備も揃えたいし、高価なのは無理でも、新人が使うくらいの装備を買うお金くらいはあるわよ」

「ほむほむ。んじゃ、朝一でギルドに顔出して、お勧めの店でも紹介してもらおうかね」

「そうね。ついでにどんな依頼があるかも確認しときましょ。

 受けるのは明後日からでしょうけど」

「買い物ってそんなに時間掛かるものなん?

 ささっと買い物終わらせて依頼受けてもよいかと思ってたんだけど」

「あんたねぇ…… 自分の命守る物買うのにささっと済むわけないでしょ?

 鑑定魔法で確認しながら、予算内でなるべく良い物買わなきゃいけないんだから、時間を惜しんでは居られないわよ」


 ここで食事が来たので食べながら会話を続ける。

 素材こそ違えど、料理自体はあまり地球のものと大差ないようだ。

 中々に旨い。


「魔法ってワードを聞いて思い出したけど、俺に魔法を教えてくれよ」

「あんた普段から無意識にでしょうけど、魔法を使ってるからコツ覚えたらある程度、自由に使えるようになりそうよね。

 毎日依頼を受けるわけではないし、時間が有るときにでも練習しましょ」

「クハハ。それは楽しみすぎるな。今日眠れるかなぁ」

「休める時に休むのが冒険者よ。しっかり寝なさい。

 夜這いに来たりしたらもぐからね?」

「うひっ怖っ! フィリアたんってば、まじでやりそうだよな」

「無断で部屋に入ろうとした時点で、やるから精々気をつけなさい」


 そして明日に向けて、それぞれの部屋に向かう2人なのであった。



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