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63話 デジャビュ!?

 次郎衛門達の前ではスケルトン達が見事なDOGEZA☆ を繰り出している。


「お願いしますホネ。

 我々は、ほねっこではないので齧っても美味しくないホネ。

 どうか食べないで下さいホネ」

「誰が食うか!

 何だよ!

 ほねっこって!

 俺達は犬じゃねぇ!」

「食べないホネ?」

「ああ」

 

 恐る恐る次郎衛門の顔色を伺っていたスケルトン達は漸く安堵したようだ。


「食べるつもりもないのに襲ってくるとか、最近の冒険者は物騒になったものだホネ……

 犠牲になってしまったエリザベート2世が浮かばれないホネ」

「いや、襲ってきたのお前等の方だからな?」


 色々な意味で無茶苦茶な事を口走り始めるスケルトン。

 勝手に勘違いして襲って来たのもスケルトン達だし、それ以前に世の中の冒険者は食べる前提でスケルトンと戦ったりはしない。

 次郎衛門に倒された唯一のスケルトン側の犠牲者の名前が、エリザベート2世と妙にエレガントな名前だとか、浮かばれてないのは一度死んだのにアンデッドとしてこの世に残り続けているお前達の方じゃないのかとか、もう何だか色々とツッコミどころが多くて酷すぎである。

 だが、既にカオスな状態だというのに、更にカオスな方向に事態は動き始める。


「心配御無用ですわ。

 私ならここに居ます!」


 その声に視線を向けてみれば。

 そこには縦ロール髪のお嬢様騎士と言った風体の半透明の幽霊がいたのだ。


「まさかエリザベート2世ホネ!?

 生きていたのかホネ!

 良かったホネ!」

「その通りですわ!

 ホネの体から解き放たれた事によって、私本来の姿をとる事が出来たのですわ!

 しかも、美白スリムボディをも超える、透ける様な肌を手に入れる事にも成功してしまったのですわ!」


 どうやら、次郎衛門によって燃やされたスケルトンが幽霊化したらしい。

 しかも、生前の姿をとる事が出来たのが嬉しいらしい。

 御機嫌である。

 一応付け加えておくが、幽霊なので生きていない。

 間違いなく死んでいる。

 

「透ける様な肌ってか、完全に透き通ってるからな!?

 入手とか言っちゃってるけど、どっちかと言えば、お前は色々失っちゃったからそんな姿になってんだぞ!?」


 思わず突っ込む次郎衛門。

 脇役の癖にグイグイ前に出てくる上にボケ倒すので、次郎衛門がツッコミに回らないとボケの無法地帯になりかねないのだ。


「細かいところに拘る男ですわね」

「うるせぇよ!

 大体、お前等はこの先どうするつもりなんだよ。

 ここの主倒したら、国の連中がここにドカドカ乗り込んでくるんだぞ?」


 そうなのだ。

 次郎衛門が降伏を認めたから、彼らは助かったに過ぎない。

 ここの主が討伐されたのなら、間違いなく国の息の懸かった連中が送り込まれてくるだろう。

 その場合、スケルトン達は絶対に見逃して貰えないだろう。

 死んだ場所に縛られているアンデッドでは逃げる事も叶わない。

 何か手を打たなければ、彼らは滅ぶしか道がないのである。


「それなら大丈夫ですわ!

 私は貴方達に憑いて行く事が出来そうですの。

 皆さんも骨の体を捨てて幽霊になれば問題解決ですわ!」

「それは名案だホネ!」

「名案な訳あるか!

 俺達は4人しか居ないんだぞ?

 1人頭5~6人に憑かれるとか、どんな罰ゲームだよ!

 いや、待てよ……」


 エリザベートの出した名案? を却下した次郎衛門だったが、何かを閃きそうなのかブツブツと呟きながら考え込み始める。

 考える事数十秒、何とか考えが纏まった様だ。


「良し!

 ダメ元で試してみるか!」


 そう言うなり、ゴソゴソとアイテムボックスへと手を伸ばす次郎衛門。

 引っ張り出したのは毎度御馴染みのマンドラゴーレム。

 エリザベートやスケルトン達は突如現れた邪悪な外見のマンドラゴーレムにぎょっとした様子だったが、流石に元ドルアーク最強を自認していただけはある。

 マンドラゴーレムの精神攻撃も耐えることが出来たようだ。

 次郎衛門はツカツカとエリザベートに歩みよると、ガシッとエリザベートの顔を鷲掴みにした。


「キャァ!

 痛いですわ!

 一体何ですの!?

 何で私に触れますの!?

 イヤァァ!

 犯されるぅ!」

「人聞きの悪い事を言うんじゃねぇよ!

 ちょっとした実験だっての」


 必死に暴れるエリザベートをマンドラゴーレムに押し付け始める。

 ちなみに何故次郎衛門が幽霊に触れるのかというと、幽体は魔力の塊でもあるので、魔力の波長を調節すれば触れる事が出来るのだ。


「ちょっと本当に何ですの!?

 こんな汚らわしいのに押し付けないで!」

「クハハハ!

 抵抗しても無駄だっての。

 もうちょっとで全部入っちゃうぜ!

 ほ~らずっぽりと全部入った!

 そして封印っと」


 結局、力づくでエリザベートをマンドラゴーレムへと押し込み、何やら御札を貼り付ける次郎衛門。

 台詞がちょっと如何わしいのは、恐らくわざとだと思われる。


「何かこの光景にデジャビュを感じるんだけど、気のせいかしら?」

「そうかい?」

「ホント、あんたってゲスいわよね。

 ま、私に害がないならどうでも良いけど」


 フィリアが少し遠い目をしながら呟く。

 確実に気のせいではないのだが、次郎衛門に気にした様子はない。

 フィリアとしても、今回は自分に被害がなさそうなので、深く追求する気はないらしい。

 そんなやり取りをしていると、エリザベートを詰め込んだマンドラゴーレムが動き出す。


「うう……

 何ですの?

 折角手に入れた透明感溢れるお肌だったのに!

 こんな血色の悪い体に詰め込むとか、貴方正気でして!?」

「おう!

 正気だぞ。

 どうやら予想通り、上手く行ったみたいだな。

 魔力操作によって変なオーラも出なくなった辺り、流石エリートだっただけはあるな」

「さ、流石とか褒めても何もでませんわよ!」


 マンドラゴーレムの元となったマンドラゴラ? は、普通の植物が次郎衛門の規格外な魔力を吸収しすぎて変な進化をしてまったものである。

 常に噴出していたどす黒いオーラは、次郎衛門から吸収した魔力が漏れ出していたのもなのだ。

 つまり、マンドラゴーレムが魔力を操作出来れば、噴出すオーラの問題を解決出来るの筈だったのだが、そこまで細かい命令は与える事が出来なかった為に、ここで研究がストップしていた。

 だが、次郎衛門は元エリートであるエリザベートの幽霊を見て閃いたのだ。

 幽霊に憑依させて魔力を操作させれば、問題が解決するんじゃね? と。

 そして、その閃きはどうやら正解だったようである。


「さて、それじゃ、あと29体サクっと片しちゃいますか!」


 スケルトンの頭蓋骨を鷲掴みすると、無理やり幽体を引っぺがし始める次郎衛門。


「ギャァアァァァホネ!

 痛いホネ!

 無理無理無理ホネ!

 死ぬホネ!」

「ギャアギャア騒ぐなっての。

 どうせもう死んでるんだから、大した事じゃないだろ?」


 無理やり幽体を引き剥がされるという事は相当な苦痛を伴うようである。

 だが、次郎衛門はお構いなしに引っぺがしては押し込んでいく。


「悪魔だホネ!

 悪魔がいるホネ!

 逃げるホネー!」


 仲間達のあまりの絶叫っぷりに、恐れをなしたスケルトン達は逃走を図る。

 だがしかし。


「なんだホネ!?

 見えない壁があるホネ!?」


 必死に見えない壁を叩くスケルトン。

 そんなスケルトンの頭を部分転移した次郎衛門の腕が鷲掴む。


「ぎゃああああホメ!?

 怖いホネ!

 怖いホネー!?」

「甘いっての!

 既にこの周囲の空間は封鎖済みだ!

 お前達に逃げ場はない!」


 喚き暴れるスケルトンの体から、ずるりと幽体のみを引きずり出すと新たなマンドラゴーレムへと押し込んでいく。 

 こうして、スケルトン達は次郎衛門によって、強制的にスケルトンからゴーレムへと、ジョブチェンジさせられてしまったのであった。




 

  

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