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61話 ならば、名乗らねばなるまい!?

 次郎衛門達の眼前に悠然と立ちはだかるスケルトン達。

 そのうちの一体がカタカタと言葉を紡ぎ出す。


「見たところ冒険者といったところだボーン。

 かつての我等の様に、愚かにも地位や名声を求めてここに足を踏み入れたといったところだホネ?」


 うん。


 予想は出来たものの。

 やっぱり何と言うか語尾が凄く雑である。

 スケルトン自体は、非常にシリアスな雰囲気を醸し出しているというのに色々台無しである。

 そんなスケルトンの問いに次郎衛門が口を開く。


「地位と名声も悪くはないが、それが理由って訳じゃない。

 一番の理由はここの金属生命体が作り出すという希少な金属が欲しいからだな。あと序に色々としがらみもあるしな」

「無理だボーン。

 ドルアーク最強と謳われた我等ですら、金属生命体には手も足も出なかったんだボーン」


 次郎衛門の答えはある程度予想できるものだったようだ。

 スケルトンはヤレヤレといった仕草である。


「ほむ。ドルアーク最強とな?

 そんなに強そうには見えないけどな。

 鑑定魔法を使って見て良いか?」


 どうやら、意外と話が通じるので情報を収集するつもりの様だが、相手が元人間とは言え、魔物相手に鑑定して良いかを問うとは中々の大胆っぷりである。

 その情報収集の為の鑑定魔法も、役に立ったところを見たことがない。

 掛けるだけ無駄な気もしないでもないが、どんなゴミ情報でもないよりはマシという事で、今回もダメだろうと思いつつも掛けざるを得ないのである。


「何!?

 我等を侮辱するのかマグネシウム!

 仮にも金属生命体を討伐しに来たというのに、我等の実力すら察する事が出来ないとは。

 冒険者の質も落ちたものだホネ!

 鑑定結果を良く見て、己の身の程をよく理解するボーン!」


 余裕綽々といった態度で許可を出すスケルトン。

 余程その実力に自信があるのだろう。

 そんな様子を見て、フィリアが面倒臭そうに仕方なく鑑定魔法を掛ける。

 あと、語尾がカルシウムなら何となく骨っぽい気もしないでもないが、マグネシウムとか意味不明だ。

 火を着けたら激しく燃え上がるとでもいうのだろうか。

 話が激しく脱線してしまったので、鑑定結果の話に戻そう。

 鑑定結果がこれである。



スケルトン


ランクB


 死んでしまった者が放置されアンデッドとなってしまった魔物。

 死んでしまった場所に縛られているので行動範囲は広くない。

 生前の能力をある程度引き継いでいる為、強さはピンキリである。

 だが、本当に強い者がアンデッド化する場合は、デスナイトやリッチといった魔物になるので、強いと言ってもBランク程度である。

 光や炎の魔法がかなり有効。

 物理攻撃でもダメージを与える事は可能。

 基本的にアンデッドモンスターに殺されてしまった場合。

 高確率で同種のアンデッドになってしまうので、犠牲者が出た場合は光の魔法で浄化するか火葬する等の対処が必要になる。

 肉なんて飾りですよ、生者にはそれが分らんのです。と、言わんばかりに肉を削ぎ落として軽量化していった結果、世の女性達が羨まない究極の美白スリムボディを手に入れている。


 追伸


 一度語尾を間違えてマグネシウムにしてしまったのじゃ。何か面倒になってきたからホネで統一しようと思うのじゃがどうじゃろ?

キラーバットの鑑定の件は悪気があった訳じゃないんじゃ~

 ここは素直に謝ろうと思うんじゃ。済まぬ。だから御仕置きだけは勘弁して欲しいのじゃよ~ 




「役立つ情報もあるけど、それ以上にツッコミどころ満載だな!

 面倒だから語尾を統一したいとか知らんがな!

 爺さんの匙加減次第だろう!

 肉なんて飾りですよってどこのジ○ングだよ!

 世の女性達が羨まない美白スリムボディって当たり前だろ!

 だって骨なんだもん!

 鑑定結果に、追伸で言い訳をメール感覚で送って来るんじゃねぇ!

 だが面白い!

 面白いと認めざるを得ない!

 今回の御仕置きは見逃してやろう!

 命拾いしたな!」


 鑑定結果を見るなり、怒涛の勢いで的確にツッコミ始める次郎衛門。

 鑑定魔法のウィンドウにツッコミ入れまくるその姿はかなりシュールな絵面だ。

 アイリィは一緒になって楽しそうに「なんでやねん!なんでやねん!」と連呼しまくるし、パンダロンやスケルトン達は突然の次郎衛門のツッコミ祭り開催に呆然としているし、フィリアはとても疲れた表情をしていた。

 しかし事ここに及んでまで、奇妙な鑑定結果を出してくるとか、実は御仕置きされたいドMなのではないのだうか。

 まぁ、ドMの爺さんの話を膨らめても、誰得やねんって話なのでここで止めておこうと思う。


「ふぅっ

 何だか一仕事した気分だぜ!」


 次郎衛門はとても充実した表情で言い放つ。

 だが、実際にした事と言えば、ツッコミだけである。

 お笑い芸人でもない次郎衛門の場合は、ギャラ発生訳もなく、本当に一仕事した気分になっただけだったりする。


「…… 鑑定は終わったホネ?

 我等の実力を知り狼狽える気持ちは分るが、もう少し落ち着くホネ」

「ああ。悪い悪い。

少し正気を失っていたみたいだ。

とりま、お前達が油断出来る相手ではないという事は分った。

 だが、退く訳にはいかない」

「ほう。良い戦士の目をしているホネ。

 ならば、我等も戦士として名乗らねばなるまいホネ!」


 流石は元々はドルアーク王国の最精鋭だった者達だけある。

 死して尚、誇り高い。


「我々は鉱山の平和を守る正義の戦士!

 遺骨戦隊コツレンジャー!

 我はリーダーのコツレンジャーホワイト!」

「コツレンジャー、フェザーホワイト!」

「コツレンジャー、パールホワイト!」

「コツレンジャー、アイボリーホワイト!」

「コツレンジャー、スノーホワイト!」


 等と順番に名乗りを挙げていくコツレンジャー達。

 幾ら美白スリムボディだからといっても白に拘り過ぎなのではないだろうか。

 このままだと、似たような名乗りを全員分聞く羽目になりそうだ。

 次郎衛門達は早くもどうでも良さ気に佇んでいる。


「コツレンジャーミルキーホワイト!」 

「「「「以下省略!」」」」

『全員揃ってSKT48!!』

「以下省略するのかよ!

 やり始めたのなら最後までやりきれよ! ってか、何でどこぞのアイドルグープみたいな名前になってんだよ!

 大体遺骨戦隊コツレンジャーは何処に行ったんだよ!」


 決め台詞とポーズを決めているSKT48。

 顔が骨である故に表情は読み取れないが、恐らくドヤ顔しているであろう。

 普段は突っ込まれる側の次郎衛門だが、今回はツッコミに大活躍だ。

 他のメンバーといえば、アイリィは目を輝かせ成り行きを見守っており、フィリアとパンダロンは関わる事が面倒だと言わんばかりに黙り込んでいる。


「フ……

 はっきりと言ってしまえば、我々はそんなに白の種類を知らんのだホネ」

「んじゃ、何で白に拘ろうと思ったんだよ!

 出来ないなら最初からやるんじゃねーよ!」 

「何でそんなに怒鳴ってるんだホネ?

 カルシウム足りてないんじゃないかホネ。

 ハッ!? ま、まさか―――――

 カルシウム不足をカルシウム豊富な我等の美白スリムボディで補うつもりホネ!

 恐ろしい奴だホネ!!」

「誰がそんなもん喰うか!」

「騙されないホネ!

 喰わせはせん!

 喰わせはせんホネェェ!!」


 こうしてやっぱり今回も、グダグダのままに戦闘へと突入するのであった。

 

実はカルシウム不足だと短気になるってのは特に根拠もない話らしいです。

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