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31話 専用おっぱい!?

 とある建物の中。

 次郎衛門と幽霊がフィリアに正座させられていた。


「あの……フィリアたん?

 何で俺まで正座させられてるん?」

「五月蝿いわね!

 幽霊のパンツ見て喜んでる奴は、黙って正座しときなさいよ!

 それよりそっちの幽霊!

 あんたも死んでまで、他人に迷惑掛けてんじゃないわよ!」

「ううっ、ごめんなさい……」


 怒涛の勢いで幽霊に説教するフィリア。

 ひたすら泣きながら謝る幽霊。

 パンツ見た罪で正座させられる次郎衛門。

 そんな次郎衛門の痺れつつある足を突いて反応を楽しむアイリィ。

 そして目の前で繰り広げられている光景に、軽く現実逃避している不動産屋の店員。

 この場は中々のカオスっぷりである。


「それで幽霊ちゃんは、何でこの家に来る人を追い出してたん?」


 相変わらず正座させられたまま、質問する次郎衛門。


「私は200年程前に死んじゃって、何故か成仏出来なかったんですよぉ。

 それであちこち彷徨っていたんですけど……

 十数年前にこの街に流れ着いて空家だったこの家に居たら、いつの間にかこの家から出れなくってしまいまして。

 最初は脅かしたり、追い出したりするつもりは無かったんです!

 新しい入居者の方に姿を見られてしまったら、大騒ぎになってしまって…… 

 あっという間に、幽霊屋敷と呼ばれるようになって。

 そしたら、怖いもの見たさで人が訪れる心霊スポットになって。

 それで……」


 幽霊ちゃんはそこまで言うと気まずそうに口篭る。

 勿論こちらも正座したままの状態である。


「見にきた連中の期待に応えようとしている内に、調子乗ったのね?」

「ううっ。ずっと独りぼっちで寂しかったんですよぉ……」


 どうやら幽霊ちゃんは訪れる人々の期待に応え続ける内に、一部のマニアには適度に怖い心霊スポットの美少女幽霊として人気者になってしまったらしい。


「幽霊ちゃんがこの家に居る理由は分ったけど、どうしたもんかな。

 俺が思いつく案としては大まかに3つかな?

 1、フィリアたんにターンアンデットで成仏させて貰う。

 2、この屋敷に幽霊ちゃんを縛りつけている原因を見つけて出て行けるようにする。

 3、一緒に暮らす。

 

 俺としては面白そうだから、一緒に暮らすって案を押したいところだな。

 皆の意見は?」

「私は1ね。2は面倒だし、3は論外よ、得体の知れない幽霊と同居なんてごめんだわ」


 フィリアは力づくでも成仏させたいようだ。

 問題解決という観点で考えるならばこれが一番だろう。

 それに一緒に暮らして一体何のメリットがあるのかという疑問もある。

 そういった意味でも、禍根を断つという意味でも、強制的にでも成仏させた方が無難であるっぽい。


「パパと同じにするー!」


 アイリィは次郎衛門の意見に異論はないようだ。

 ぶっちゃけアイリィは、次郎衛門にベッタリなので、他の意見になりようがないのだが。


「んで、幽霊ちゃんはどうしたい?

 やっぱ成仏したいのか?

 それとも一緒に暮らしてみるかい?」

「え?」


 自分の意見も聞いて貰えるとは思ってなかったらしい。

 ビックリしたような顔をする幽霊ちゃん。

 しばらく呆けた顔をしていた幽霊ちゃんだったが、真剣な表情で語り出す。


「私は…… 

 何時かは成仏もしたいし、また外にも出てみたいですけど、出来るなら皆さんと一緒に生活してみたいです!

 死んでしまってから、今まで本当に寂しかったから!」


 一緒に暮らしたいと主張する幽霊ちゃん。

 まぁ、200年もぼっち生活してたら人恋しくなるのも当たり前なのかも知れない。


「と、幽霊ちゃんが申しております。

 別に成仏させるのも、何時でも良いんじゃないかい?」

「ハァ…… 仕方ないわね。

 でも何かあったら、即成仏させるから、覚悟しときなさいよ!」

「有難うございます!

 ある程度の物なら、自由に動かせますから家事は任せてください!

 私、頑張りますから!」

「おお。思わぬところでメイドさんゲット。

 これから、宜しくな。

 そして俺専用おっぱいもゲット!」


 幽霊ちゃんと握手すると見せかけて、おっぱいを揉みしだく次郎衛門。

 不意打ちである。

 そしてセクハラでもある。


「キャアァァアァァ!!

 何するんですか!?」


 咄嗟に幽霊ちゃんが、次郎衛門を突き飛ばそうとするが。

 その手は無情にも次郎衛門の体をすり抜けてしまう。

 何故、次郎衛門だけが一方的に触れると言う理不尽さ。

 幽霊ちゃんは次郎衛門におっぱいを蹂躙されるだけの、おっぱい揉まれポジションに内定しそうな気配すらある。

 何て嫌なポジションだろうか。

 それでも次郎衛門の毒がから逃れようと必死な幽霊ちゃん。


「クハハハ。無駄無駄ぁ!

 慎ましくも柔らかい……

 しかし弾力も充分で触り心地は絶品。

 これは素晴しい!!」


 抵抗する事が出来ないという恐怖。

 そんな恐怖に慄き、涙を浮かべる幽霊ちゃん。

 幽霊ちゃんのおっぱいを揉みながら、一端の評論家のような事言い出し始める次郎衛門。

 しかし幽霊ちゃんに救世主現る。


「何が素晴しいよ!

 死ね!

 この性犯罪者がぁぁぁ!!」

「うぎゃああああああああ!」


 フィリアだ。

 この女がセクハラ三昧な次郎衛門の悪行を見逃す筈はないのだ。

 ちなみに女神としての正義感ではなく、単純に見ていて不愉快だという個人的な理由だったりする。

 動機はどうあれ、次郎衛門は張り倒され、結果的にフィリアに救われる幽霊ちゃん。

 そんな次郎衛門達の様子を見て、ペタペタと不思議そうに自分の真っ平らな胸を触ってみるアイリィ。

 この子がキチンとした大人になれるのか、非常に不安である。

 というか、不安しか感じられない。


「ぐすっ…… 何でジローさんはすり抜けずに私に触れるんでしょう?

 人と触れ合ったのは、死んでしまって以来始めてなんですけど」

「それはだな。実体を持たない幽霊でも魔力を帯びた攻撃なら倒せるらしいって点に着目したんだよな。

 そこから幽霊ちゃんって、ある意味では魔力の塊でもあるんじゃないかと予想した訳だ。

 んで、魔力の質を幽霊ちゃんと同質に変化させて身に纏ったらいけるんじゃないかと思って試してみたら、ばっちり上手く行ったっぽいんだな、これが」


 幽霊ちゃんの疑問はもっともである。

 そんな幽霊ちゃんに対して、ひょっこり起き上がって答える次郎衛門。

 フィリアの全力ビンタだった筈なのだが、大してダメージを受けてないっぽい。

 ちょっとモミジが頬に浮かんでいるくらいで、元気一杯である。

 

「勘違いしちゃダメよ。

 ジローが異常なだけなんだから。

 どうせこの変態は、幽霊相手なら多少行き過ぎたセクハラでも罪にならないとかそんな理由で実行してみたんでしょうけど、普通の人は魔力の質をそこまで繊細に調整出来ないわ。

 自在に幽霊に触れるのはジロー独自のスキルって所ね」


 次郎衛門だけが特殊なのだからと過剰な期待をしないように忠告するフィリア。

 そんなフィリアの言葉に驚きの表情を浮かべる次郎衛門。


「え、マジで?

 そんなに難しくないと思うけどな。

 俺が、おっぱい揉んだ時みたいに、手だけ調整とかは無理でもさ。

 全身なら出来ると思うぞ。

 ダメ元で時間が有るときにでも幽霊ちゃんも練習してみたら良いんじゃないか?

 このままだと、ずっと俺専用のおっぱいになっちゃうぜ?」

「ひぃっ! 全力で頑張ります!!」


 それでも可能性はゼロじゃないからと練習を勧める次郎衛門。

 幽霊ちゃんは引きつった顔で返事をする。

 言うほど簡単な事ではないだろうが、どうやら幽霊ちゃんが必死になるだけの理由は出来たようである。


「おう! 頑張れ!」 


 今度は普通に幽霊ちゃんの頭を撫でる次郎衛門。

 やはり200年ぶりのふれ合いと言うのは嬉しいらしい。

 照れくさそうだが、そのまま撫でられる幽霊ちゃんなのであった。


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