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25話 ゴブリン狩りデビュー!?

 告白大会やら決闘やらで、結局ゴブリン狩りが出来なかった次郎衛門達。

 日を改めて、ゴブリンが多く出るという森に来ていた。


「ゴブリンって、そこら中にうようよ居るイメージあったけど、意外と見つからないもんなんだなぁ」

「この辺は街から近いから、天敵となるモンスターは居ないけど、ゴブリンにとっての一番の天敵は人間よ。

 だから集落はもっと奥の方に作ってるんじゃないかしら?」

「なるほろ。って事は、この辺でゴブリンが狩れるって情報は、あまり信用出来んのかな」

「食料になるモンスターは、この辺にも多いから、それらを狩りに出てくるんだと思うわ」


 などと、他愛も無い会話をしながらもゴブリンを探すのだが、ゴブリンどころか他のモンスターも出ない。

 結局は、薬草等を採集しながら、ゴブリンを探している状態である。


「折角、ゴブリン狩りする気になったってのに、全く遭遇しないってのも困ったもんだなぁ。

 そのお陰で採集は捗りまくりなのが救いではあるけど」

「何が捗りまくりよ。

 働いてるの私だけじゃないの!

 でも確かに妙ね?

 これだけ歩いてたら、何度か魔物と遭遇するものなのに、少し嫌な感じね」


 この事態にフィリアも首を傾げる。

 どうやら、偶々魔物と遭遇してないというよりは、何か異変が起きたのではないかと疑っているらしい。


「ほむ。んじゃ、仕方ない。

 もうちょい奥の方まで探索してみるか?」

「気は進まないけど、それしかなさそうね。

 でも、何か異変を感じたら直ぐに撤収するわよ。」

「ほーい、了解。」


 そんなやり取りの後、2人は森の奥の方へと探索の範囲を広げるのであった。



 探索の範囲を広げて2時間程経っただろうか。


「む? 何かの群れが移動してるな」


 やっと次郎衛門が生物の気配を感じ取ったのである。


「ジローって、意味不明にスペック高いわよね。

 女神である私ですら、何も感じ取れてないのに」

「意味不明じゃないっての!

 元々感覚は鋭い方だったんだけどさ。

 この世界に来て、若返ってから更に鋭くなったみたいなんだよ」


 本人は意味不明じゃないとか主張しているが、はっきりと理由が分からない時点で意味不明である事は間違いない。

 とりあえず、次郎衛門のスペックは上がっているっぽい。

 地球に居た頃ですら、独裁国家を制圧するだけのスペックを誇っていたらしいというのに、更にパワーアップしているとか、恐ろしい男である。

 そんな次郎衛門が、何かに気が付いたかの様に表情を一変させる。


「何? どうかしたの?」

 

 次郎衛門の様子に気が付いたフィリアは、油断なく周囲に気を配りながらも、次郎衛門へと問い掛ける。


「もしも……

 性感も鋭くなってて、早漏になってたりしたらどうしよう?

 そしたら…… 俺は……

 俺はフィリアたんを満足させる事が出来ないかも知れん!!!」


 物凄くアホな事を心配し始める次郎衛門。

 一体何事かと、話を真剣に聞いていたフィリアは盛大にコケている。

 次郎衛門の不安は分からないでもないが、少なくとも今するような心配事ではないと思う。

 せめて、フィリアの寝室に入れて貰える様になってから、するべきだろう。  

 

「全くこのバカは……

 そんな在り得ない未来の心配なんて無駄よ」

 それより群れとやらの場所を教えなさいよ」

「釣れないねぇ。とりま、気配の位置は前方六百mって所かな?」


 案の定、フィリアは呆れ顔で一刀両断である。

 まぁ、次郎衛門とて、冗談だったのだろう。

 特に引きずる事も無く、今度こそ真面目に答えている。

 慎重に接近し、次郎衛門達はその姿を捉える。

 そこには二足歩行をし、粗末な衣類を身につけている醜悪な姿の魔物が、20匹程いたのだ。


「フィリアたん、あれがゴブリン?」


 当然ながら、次郎衛門はゴブリンを見たが事ない。

 確認の為に、フィリアに問いかける次郎衛門。


「ええ。間違いないわ。

 でも、一応鑑定してみましょ」


 ゴブリンである事を確定させる為に、鑑定魔法を使い始めるフィリア、

 その鑑定結果がこれである。



ゴブリン


ランク F


この世界に於ける雑魚の代名詞。

知性もあり、独自の言語も持っている。

その容姿はブサイクであり、某7人組の後ろ4人の様なビジネスブサイクでは無く、本物のブサイクである。

人系の種族、特に女性が食べ物的な意味でも性的な意味でも大好物。

幼女から老女まで見境なく襲うので、見つけ次第討伐する事が推奨されているんじゃよ。



「本物のブサイクって…… ってか、幼女から老女までってストライクゾーンがメジャーリーグより広いな……

 雄としては敵わない気がするわ」

「何馬鹿な事を言ってるのよ。

 それはそうと、鑑定の説明文が毎回ふざけていて、緊張感の欠片もないわね」

「確かにな……

 ってか、あいつ等、何か玉っぽいの運んでるな。

 なんだろあれ?」


 フィリアが相変わらず雑な鑑定結果に文句を言っている。

 それに相槌を打っていた次郎衛門であったが、ゴブリン達が正体不明の玉を運んでいる事に気がつき疑問の声をあげる。

 その疑問にフィリアの表情が激変する。


「!? あれはドラゴンの卵!!

 何でゴブリン達があんな代物を!?」

「あれって卵なん? デカ過ぎないか?

 軽く直径1mはあるぞ!?」


 なるほど、確かに卵と言われてみれば、確かに鶏の卵を桁違いに大きくした様な形ではある。

 だが、日本で生まれ育った次郎衛門からすれば、卵と言えば鶏、もしくは鶉である。

 次郎衛門が卵だと気付けなかった事は、仕方ないのかも知れない。


「拙いわね。ゴブリンがどうやって卵を手に入れたのかは分らないけど、ここにあるって事は、親ドラゴン達が探しに来ていると見たほうが方が良いわ。

 下手したら森だけじゃなくて、ラスクの街まで巻き込まれるわよ」


 フィリア曰く。

 ドラゴンの親は孵化するまで自らの魔力を卵に供給するらしい。

 充分な魔力の供給が終わると卵は孵化をし、子ドラゴンは産まれるらしい。

 つまり親ドラゴンと卵、そして子ドラゴンは魔力的な繋がりがあるのだ。

 その魔力を辿る事によって、親ドラゴンは大まかな卵や子ドラゴンの位置を把握する事が出来るようだ。

 ちなみに卵の状態で供給された魔力によって、どんなドラゴンに成長するのかも変ってくるらしい。


「聞くだけ無駄な気がするけども、ドラゴンって強いよね?」

「亜竜であるワイバーンやレッサードラゴンですら、ランクBのモンスターなのよ?

 ましてやあの卵の魔力からして、正真正銘本物のドラゴンの卵で間違いないわ!

 ランク付けするならAランク、もしかしたらSランクの可能性すらあるわ! 」


 次郎衛門の疑問にフィリアは興奮したように言い放つ。

 ここで、モンスターのランクについて大まかな説明をしよう。

 Dランクまでのモンスターは、基本的に同ランクの冒険者1人でも対処できる。

 Cランクモンスターからは、PTでの対処が基本となり、Bランクはモンスターの種類によっては複数PTで挑む程になる。

 Aランクともなると、国や冒険者ギルドが形振り構わずに戦力をかき集め、甚大な被害を覚悟してやっと倒せるくらいなのだ。

 そしてSランクに分類されるモンスターは、歴史上で数度討伐された記録があるといった程である。

 現在の人類では、Sランクのモンスターを刺激するという事は、噴火口に自らダイブするようなものなのだ。

 はっきり言って無理ゲーである。


「厄介な場面に出くわしたもんだなぁ。

 卵に何かあって親ドラゴンが激怒したら拙いし、奴等から卵を保護するしかないかな。ハア……」

「そうね。街に被害を出さない為には、卵を保護するべきね。

 ドラゴンは知能も高いし、説得するしか無いわね」

「街を見捨てるには、ちょいと孤児院の子達や、サラちゃんとかと仲良くなり過ぎちまったからなぁ」 


 面倒臭そうに溜息をつく次郎衛門。

 その脳裏には、親しくなった者達の笑顔が浮かんでいるのかも知れない。


「そういえば、鑑定の情報だとゴブリンは独自の言語持ってるってあったけど、フィリアたんはゴブリン語って話せる?」 


 ふと思いついたように、フィリアへと問いかける次郎衛門。



「話せるけど、あんたも御父様の加護があるんだから、言葉は通じるはずよ。」

「そういえばそうだったな。

 んじゃ、卵を保護しつつ情報収集も出来たらベストだな」


 そう言い放つと、次郎衛門はゴブリンの群れへと歩を進めるのであった。



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