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23話 サラちゃん争奪バトル勃発!?

 何故か勃発したサラへの告白大会。

 あっけなく玉砕した3人組はカウンター付近で真っ白に燃え尽きており、周囲の冒険者も非常に邪魔そうだ。


「なぁ、この燃え尽きてる3人、どうしたら良いんだ?」

「ゴミ捨て場にでも、廃棄しとけば良いでしょ」

「やっぱ分類としては、燃えるゴミになるんかね?」

「流石にそれは可哀そうですよ」



 などと、次郎衛門とフィリアとサラが、あーでもない、こーでもないと、その処分方法を検討していたのだが。


「だああああ!

 人を生ゴミ扱いしてんじゃねえええ!」


 唐突に暴れ出す3人組。

 どうやら、やっと復活したらしい。

 振られたてにしては、彼らは思いのほか元気そうである。


「おいガキ!

 テメーのせいで最悪じゃねーか!

 どうしてくれるんだ!」


 筋骨隆々な男が、次郎衛門に若干涙目で迫る。


「おいおい。

 ムキ男達がモテないのを俺のせいにするなよ。

 大体、あんなふざけた雰囲気の中で告白して、どうして上手く行くと思えたんだ?

 無謀にも程があるぞ」


 確かにきっかけは次郎衛門が作ったのかも知れない。

 だが、振られた事は次郎衛門の責任では無い筈である。

 あと、次郎衛門の中では彼はムキ男になったらしい。


「誰がムキ男だ!!

 まだEランクになったばかりの分際で!

 Cランクの俺に舐めた態度とりやがって!

 痛い目に遭わないと分らないらしいな?」


 次郎衛門の胸倉を掴みながら凄むムキ男。

 それに対してサラが、ギルド職員として止めに入る。


「ちょっとムキ男さん!

 やめて下さい!

 ギルドホール内の暴力沙汰は禁止ですよ!」

「「「え?」」」


 しかし。

 そんなサラに対して、3人組どころか次郎衛門やフィリアまで、異口同音に疑問の声をあげたのだった。

 サラの正確な年齢は不明であるが、サラとムキ男達は数年間は冒険者とギルド職員としての付き合いがあった筈だ。

 それにも関わらず、名前で呼ばずに、まさかのムキ男呼ばわりである。


「まさか…… サラちゃん……

 3人組の名前を覚えてないんじゃ……」


 恐る恐るサラに問いかける次郎衛門。

 ついっと視線を逸らすサラ。

 サラの目は、デフォルメされた可愛いサラが溺れそうになりながらも、必死に犬掻きで泳いでいる姿を連想させる位に、泳ぎまくっていたのだ。


「そ、そんな……

 サラ……

 嘘だろ……?」


 愕然として崩れ落ちるムキ男達。

 彼らが本当にロリコンだったかどうかは謎であるが、サラが10歳の頃から見守ってきたつもりであり、彼等としてはそれなりに好感度を上げてきた筈なのである。

 それ故に、勢いで告白に踏み切ったのであるが、意中の女性であるサラと言えば、彼等の名前すら覚えてないという有様だ。

 その事実は、サラにとって彼らは完全に眼中になかったという事を示しており、むしろ振られて当然だったのだ。

 


「アハハハ!

 あんたら、名前すら覚えて貰ってないのに、親しげに呼び捨てにしてたの?  お、俺は! お前の事が!!

 とか、勝手に盛り上がって告白して振られたりして、もう憐れとしか言いようが無いわね!」


 またもや燃え尽きそうになっているムキ男達を見て大爆笑するフィリア。

 その表情は心底楽しそうである。

 この女は、本当に女神であるのか疑わしくすらある。

 悪魔のような女神が哄笑する中。


「…… だ……」


 ムキ男達はゆらりと立ち上がり何事かを呟く。

 しかし、その呟きはあまりにも小さく聞き取れない。


「ん? 何だって?」

「決闘だって言ってんだよ!

 全部テメーらが悪いんだ!

 サラを賭けて俺と決闘をしろ!!」


 ムキ男がヤケクソ気味に叫び次郎衛門に決闘を持ちかける。

 さり気なくサラに振られているにも関わらず、サラをちゃっかり賭けの対象にしちゃってる辺り、諦めは相当に悪いようだ。


「ほほう。面白い提案だな……

 勝てば…… 

 何時でもサラちゃんにあーんなモフや、こーんなモフが、可能になるって訳か」


 ムキ男達の条件に、禄でもない事を考えてるのが丸分りの表情になる次郎衛門。

 しかし、サラが慌てて否定に入る。


「可能になりません!

 勝手に私を賭けないでくださいよ!!

 それにムキ男さんも無謀な事はやめて下さい!

 ジローさんは新人なのでランクこそ低いですが、パンダロンさんに圧勝する位強いんですよ!」


 それを聞いたムキ男達の表情は一気に凍りついた。


「……まじ?」

「まじです。パンダロンさんをして、化物と言わしめる程に強いです」


 サラの言葉を聞き、緊急会議を始めるムキ男達。

 何やら3人で輪を作ってゴニョゴニョと相談している。

 それを待つこと20分。

 ようやく結論が出たらしい。

 またもや、ヤケクソ気味に声を張り上げるムキ男。


「正々堂々!

 我らが3人でその男を叩き潰してやるわ!!」


 まさかの3人がかり宣言である。

 3人がかりで正々堂々も何もあったものではないが、ここまで開き直るといっそ清々しい。

 だが、しかし。


「断る。

 サラちゃんをいつでもモフれるならまだしも、勝っても何のメリットもないんじゃ、やるだけ無駄だしな」


 確かにその通りだ。

 うっかり大怪我なんて負ってしまった日には、無駄どころか損であり、次郎衛門には何の旨みもない。

 だが、ここでフィリアが口を挟む。


「元々サラが原因で拗れてるんだし、ムキ男達が勝ったらサラと付き合える。

 負けたら二度とサラやこっちにちょっかいを出さない。

 ジローが勝ったら、1日1回だけモフって良し。

 負けたら二度とモフらせないって位が妥当なんじゃない?」


 この話題に最も関係ない筈のフィリア。

 そんな彼女からのまさかの折衷案である。


「ちょっとフィリアさん!」

「「その勝負乗った!!」」


 思わぬフィリアの提案に焦るサラ。

 だが、次郎衛門とムキ達がここぞとばかりに食いつく。

 その表情にはやる気、いや、下心満載の顔から察するに、犯る気満々といった感じっぽい。

 ちなみに何故フィリアがこんな提案をしたかといえば。

 次郎衛門の目が本格的にサラの方に向けば、フィリアの部屋に侵入を試みる事も減るだろう。

 という、自分勝手な打算があった為である。

 とても女神&メインヒロインキャラの行いとは思えない所業である。

 かくして、次郎衛門と3人組冒険者との間にて、サラの都合を一切省みないにも関わらず、サラを賭けた決闘が行われる事になったのであった。



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