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15話 新メニューの試食依頼!?

 本日もギルドへと、やってきた次郎衛門とフィリア。


「サラちゃん、やっほーい。

 今日は食堂の手伝いってのを、受けてみようと思うんだけど」


 どうやら、本日受ける依頼は子守ではないらしい。

 しかしながら、次郎衛門達が受けるつもりの依頼といえば、雑用の類のものであり、ラノベ等からイメージする冒険者というものとは、若干以上にイメージが違うような気もしなくもない。


「ジローさん、おはようございます。

 食堂の新メニュー作成のお手伝いの依頼ですか……

 沢山食べさせられますけど大丈夫なんですか?

 ジローさん達ってそんなに食べそうには見えませんけど」


 確かにサラの言う通り、次郎衛門の体は引き締まってこそいるものの、体格は普通だし、フィリアもぼんきゅっぼんのナイスバデーなので大食いには見えない。


「大丈夫、大丈夫。

 俺はともかく、フィリアたんは、幾ら食べてもOPPAIが育つだ…… 痛!」

「男の人は、やっぱり胸が大きい女性の方が、好きですよね……」


 案の定、余計な事を口走り、フィリアに叩かれる次郎衛門である。

 そして羨ましそうにフィリアの胸と自分の胸を見比べるサラ。

 そんなサラに次郎衛門がサラの胸を指差しながら言い放つ。


「大丈夫だよ! サラちゃん、大事なのは大きさじゃない感度「グキ!!!」痛ぁぁぁぁ!!」


 全てを言い終わる前に次郎衛門の指を、曲がってはいけない方向にねじ上げるフィリア。

 容赦の欠片も感じられないが、はっきり言って次郎衛門の自業自得である。


「あんたってばホントにゲスね。

 サラもこんな奴の言う事を、真に受けちゃだめよ」

「それではこの依頼も御2人で受けるという事で宜しいですね?」

「そだね」


 サラは、のた打ち回る次郎衛門に苦笑しながら、脱線した話しを本線に戻す事にしたらしい。

 意思の確認をするサラに、次郎衛門がさくっと返事を返す。

 勿論、次郎衛門の指は曲ったままだ。

 

「はい、確認しました。

 それでは頑張って食べてきてくださいね」

「ほーい、んじゃ、行って来るねー」



 次郎衛門達が手を振り、ギルドから出て行くのをにっこりと見送ったサラだったが――――――

 

「大事なのは大きさじゃない…… 大きさじゃない……」


 と、次郎衛門達が見えなくなった頃に、自己暗示を掛けるかの様に呟くのであった。





 ◆◆◆◆


「なぁ、フィリアたん……

 俺達が受けたのは新作メニューの味見だった…… よな?」


 げんなりした様子の次郎衛門。

 今回の依頼内容についてフィリアに確認をする。

 ちなみにこの確認は既に3回目だったりする。


「ええ…… そうね…… 確かに味見だった筈よ」


 フィリアもぐったりとした様子で答える。

 当たり前だが何度確認しても依頼内容は間違っていない。


「何で出てくる料理の全てが、超大盛りなんだよ……

 サラちゃんが心配してたのは、こういう事だったのか……」


 確かにスープ、煮込み料理、デザートそのどれもが優に5人前はある。

 そう、ここは肉体労働者や、冒険者御用達の、デカイ! 安い! 超デカイ! で人気の食堂だ。

 その名も暴飲暴食亭なのである。

 そんな二人の様子を見ていた店主であるドワーフの親父。

 その店主が関心したように口を開く。


「ほう! 中々大した胃袋をしてるな。

 これほどの量を平らげるとは!」

「いやいやいや。

 先ずは味の感想を聞くべきじゃね?」

「ふん。ワシの料理が不味い訳がなかろう?

 ワシが確認したかったのはボリュームだからな。

 客には満腹で帰って貰うのがワシのポリシーだ。

 ただ、量が多ければ良い訳というではないのだ。

 全部を美味しく食べて貰わなければ意味が無い。

 これなら商品として店に出せるだろう。

 助かった、礼を言う」


 どうやら、客が美味しく食べれる量の限界を見極めるのが、店主の拘りらしい。

 食べられる量には当然、個人差がある。

 次郎衛門とフィリアの苦行は、果たして意味があったのかという疑問は残るところだ。


「それって、もう味見じゃないだろ。

 てっきり斬新な異世界ファンタジー料理を食べられるかと思ったのに!

 ちょい残念だな」


 つい次郎衛門が本音を漏らす。

 確かに、未知の料理という響きには、期待と不安が混ぜ込まれる不思議な魅力がある。


「そういば、お前らは異世界人という話だったな。

 この世界にはない料理というのも、料理人として疼くものがある。

 そういった物の中で、この店で使えそうな料理に心当たりはないか?

 何、タダとは言わん報酬も別に用意しよう」


 やはり店主も、未知の料理というのには興味津々らしい。


「ほむ。この世界ってシチューはあるけどカレーは見かけないよな。

 様々な香辛料をブレンドして、色々な具材と煮込む料理で、ライスに掛けて食べるんだ」

「香辛料がメインの料理というのは聞いた事がないな。それは作れるのか?」


 どうやらシチューはあってもカレーはないらしい。


「材料が売ってるのは確認してるから、材料があれば一応作れるぞ。

 ただし素人が作る物だからあまり期待されても困るけどな!」


 次郎衛門はカレーを香辛料の段階から作る事が出来るらしい。

 つくづくよく分からないスペックを持つ男である。


「どういった物か分かればそれで良い。

 材料代はこちらで出す。

 作ってみてくれるか?」


 どうやら店主も乗り気のようだ。

 だが、ここでフィリアが口を挟む。


「ちょっと待ちなさいよ。

 この男はただの雑草ですら、正体不明の謎植物に変異させる男なのよ!

 料理なんてさせた日には、何が起こっても責任取れないわよ!」


 どうやらマンドラゴラの一件は深くフィリアの心にトラウマを刻み付けているようだ。

 だが、店主はそんなフィリアの心配を一蹴する。


「作り方から学ばねばならんからな。

 作っているところを見ていれば、異変が起きてもすぐに対処できるだろう」

「店主は、あの惨状を知らないから、そんな気楽な事が言えるのよ!

 どうなっても私は知らないからね!」

 

 こうして、フィリアの反対を押し切り、次郎衛門のカレー作りが決定したのだった。

 




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