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160話 目覚めそうですよ!?

本日3話目。

ラスト6話です。

 結局封印の遺跡攻防戦は防衛側が戦力をエンドレスに供給され続けるという理不尽さに、僅か数時間で大勢は決する事となったようだ。

 ダメージで行動不能となった信徒達は数体のゴーレム達に乗っかられて身動き自体を封じられている。

 そんな様子を遥か彼方で魔族領とドルアーク王国の国境付近から見つめる者達がいた。

 この一連の事件の黒幕である魔王パックとその配下達だ。

 邪竜が復活すれば真っ先にドルアーク王国は蹂躙されるだろう。

 そこに颯爽と魔王パックとその配下である6666魔将が現れて邪竜を討伐して見せるのだ。

 確かに邪竜は危険な存在だ。

 600年前は討伐する事は叶わず、各種族が協力して辛うじて封印出来た存在だ。

 だが、今なら。

 600年もの間、研鑽を積み続けてきた今なら邪竜にでも勝てる。

 そんな自信があったからこそ、魔王パックは十年もの間、邪竜復活の準備をしてきたのだ。


「馬鹿な! ここまで一方的に蹂躙されるだと!?」


 それがこの様だ。

 遠見の魔道具越しに見える状況は最悪と言っても良い状況だった。

 少数であった筈の防衛側が一方的に攻撃側である筈の信徒達を蹂躙しているのである。

 紛れこませていた魔将達も程良く焼かれる有様である。

 十年以上の時を掛け、万全に準備していた筈の策が無残に打ち破られていた。

 

 ドサリ

 

 信じ難い光景に打ちのめされている魔王パックの背後で物音がした。


「な!? 貴様は!」


 そこには今まで遺跡で防衛側の指揮に当っていた筈の次郎衛門の姿があった。

 その足元にはオリマとジールイが転がっていた。

 どうやら次郎衛門はオリマとジールイがパックの手先だと言う事は看破していたようだ。

 オリマとジールイの目は虚ろになっており虚空を彷徨っている。

 そのお尻からは大量に出血をし、それによる激痛の為か全身をガタガタと震わせていた。

 そして次郎衛門の手に武器として握られたピコからはポタポタと血が滴り落ちている。

 どうやら、彼等はケツの穴にピコを突っ込っこまれて奥歯ガタガタ言わされたようだ。

 本来ならば耳の穴に手を突っ込むところではあるのだが流石にそれをすると死んでしまう。

 ならば突っ込んでも平気そうなのはと言えば――――


 ずばり口か尻となる。

 そんな訳で○喜劇に敬意を表してお尻にしたっぽい。

 流石の次郎衛門も男のお尻に直に手を突っ込むのは嫌だったのだろう。

 ピコを金属バット状に変化させ、更にその先端部分を握り拳に変化させる事で妥協したらしい。

 ジールイの「ばっちこーい!」という要求を金属バットで満たし且つ拳にする事で奥歯ガタガタ言わせる事にも成功させるという意外と芸の細やかさが見てとれる。

 ちなみに男のお尻に捻じ込まれるなどピコは嫌がらなかったのかと思うかも知れない。

 普通なら嫌がりそうなものであるがむしろノリノリだったりする。

 ピコ曰く。


「貫く快感に目覚めそうですよ」


 との事だ。

 次郎衛門は途轍もない化物を目覚めさせてしまったのかも知れない。

 まぁ、一番の化物は次郎衛門であるような気もしなくもないので大した問題ではないと思いたい。

 だが事態はそれだけでは納まらない。

 良く見てみれば奥歯ガタガタ言わされたのはオリマとジールイだけではなかった。

 パックに付き従って来ていた側近の者達は見事に頭から地面に突き刺さっていたのだ。 

 魔王パックがほんの数十秒の間、遠見の魔道具に意識を集中している間にだ。

 それが何時の間にやら所謂ところの犬神家状態。

 何を言ってるか分からない方はググれば多分出て来ると思う。

 出て来なかったらごめんなさい。

 この場に連れて来た者達はパックに仕える6666魔将の中でも側近中の側近だ。

 その者達がほんの一瞬でブラックユーモアたっぷりなオブジェに変わり果てていた。

 漏れなくケツからの大量出ケツというオプション付きである。

 パックが気配すら察知出来ずにこの有様。

 この現実は次郎衛門とパックとの実力差を明確に物語っていると言えよう。


「クハ! クハハハ! 次はお前の番だな。

 奥歯ガタガタ鳴らす準備は出来てんだろうなぁ?」

 

 お尻ブレイカーと化したピコをカラカラと引きずり、不敵な笑みを浮かべパックへと歩み寄る次郎衛門。

 そんな次郎衛門に気圧されたのか僅かに半歩後ずさるパック。

 だがパックとて歴戦の猛者である。


「舐めるな! 小僧がああああ!」

「おお!?」


 パックは裂帛の気合と共に炎を生み出し次郎衛門へと叩きつける。

 パックから生み出された炎は次郎衛門を呑みこみ天高く火柱を上げる。

 しかも一発だけではない、二発、三発と炎を撃ち込み続ける。

 その熱量は凄まじく、火柱の周囲の大地は融けガラス化どころかマグマ化し始めている。

 尚も炎を撃ち込続けるパック。


「ふん。口ほどにもない。

 この程度の者に我等が目的を妨げられたのか」

「まぁ、俺は行動で語るタイプだしな」


 ぜーぜーと呼吸を荒げながら呟くパック。

 そんなパックの隣で普通に方を並べて返事をする次郎衛門。

 確かに次郎衛門はどちらかと言えば行動で語るタイプではある。

 もしも次郎衛門が口先だけの男であったのなら今頃次郎衛門は地球で暮らしていただろう。

 少なくともパンダロンは白熊化はしていなかった筈である。

 まぁ、次郎衛門がこっちの世界に来たからこそ、アイリィは無事に生まれる事が出来たし、ピコやエージェント達、タコさんや人魚ちゃんも人の中で暮らす事が出来る様になったと言えるので一概に次郎衛門が悪いも言い切れない面もあったりはする。


「うおおおおお!?

 貴様一体どうやってあの炎の中から?」

「どうやってって空間転移だけど? 俺が転移出来るって事くらいは簡単に調べられるだろうに。

 むしろ、何でこんな在り来たりの攻撃で俺をどうにか出来ると思えたのかこっちが知りたいわ」


 次郎衛門が極自然な感じに隣に居た事に驚くパック。

 そんなパックを尻目に呆れた表情を受かべる次郎衛門。

 確かに次郎衛門の言う通り事は一理ある。

 その程度の情報は知っていて当然だろうし、突如この場に出現した事が次郎衛門が空間転移を扱えるという何よりの証拠でもあるのだから。


 そして次郎衛門は淀みのない滑らかな動きで構える。

 その体勢は突き。

 半身でバットを持っていない左手を前にだし、バットを隠すように右手は奥に引いている。

 その構えは某剣客浪漫譚に出て来る○突っぽく見えなくもない。

 まぁ、本家が悪即斬の正義を貫く高き侍であるならば、次郎衛門は悪人面のお尻を貫く変態である。


「さて、奥歯ガタガタ鳴らす準備は出来てるか?」

「ほざけ! 今度こそ我が炎で焼き尽くしてくれるわ!」 

 

 次郎衛門と魔王パック。

 この二人の因縁は次郎衛門がこの世界に来たと同時に始まったとも言えるだろう。

 その因縁に蹴りを着ける決戦の火蓋が今ここに落とされるのであった。

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