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98話 勝者ヒューマンアウターズ!?

読んで頂きありがとうございます。

今回はちょっと長めです。

コンパクトにまとめるセンスが欲しいです。

次は日曜日に投稿しまっす。

 宿屋の次郎衛門の部屋でワンピース姿の少女がその裾に手を掛けていた。

 ドルアーク王国の姫エレオノーラだ。

 そしてそれを見つめる次郎衛門。

 その目だけは至って真剣でとても凛々しい。まぁ、その代わり鼻の下は尋常じゃない程伸び切っているのでプラスマイナスで評価するならばマイナスだが。


 エレオノーラは手を掛けたまま中々動かない。

 いや、動けない。

 前日に一度全裸にされたとはいえ、その時は無理やり脱がされただけだった。

 しかし今回は自分でしなければならない。

 既に羞恥で顔は真っ赤だ。

 

「姉ちゃん! いつまでまたせるんだよ! さっさとめくれ!」

「ひっ、ご、ごめん。でもまだ心の準備が……」

  

 何時までもめくらないエレオノーラにイラついた罵声が浴びせ掛けられる。

 最早ここは宿屋の一室ではなく場末のストリップかの様な雰囲気だ。

 その声の主は意外かも知れないが次郎衛門ではない。

 次郎衛門は羞恥に顔を歪める美少女をもじっくりと楽しむ事が出来る境地にいる男なのだ。

 声の主はアイリィだった。

 まだ幼いアイリィはそういった境地に至れと言う方が無理があるのかも知れない。

 しかしちょいちょいアイリィがおっさん化するのは間違いなく次郎衛門の悪影響だろう。

 竜族の未来がとても心配になるが次郎衛門に懐きまくっているので下手に二人を引き離そうものなら被害が甚大なものになりそうだった。


「落ちつくんだアイリィたん。まぁ、姫さんの気持ちも分からんでもない。慌てなくても良いさ。一気にめくれだなんて言わんよ。ゆっくりで良い。ゆっくりで良いから少しずつまくり上げていこう。な?」

「う、うん。ありがとう?」

 

 これは次郎衛門としては一気にめくるよりも恥じらいに耐えながら徐々に行った方が嬉しいという本当にゲスな理由から発せられた言葉だ。決して優しさから出た言葉ではない。

 しかし励ますような優しい口調の次郎衛門に半疑問形ながら思わず礼を言ってしまうエレオノーラ。

 そして躊躇いながらも羞恥に耐えワンピースの裾を上げていく。


 あらわになる太もも、白い素肌に品のないラクガキ。

 コントラストが絶妙だ。

 まだ12才の少女とは思えない程の艶めかしさを放っている。

 そして遂にパンツ様が御降臨。

 だがこのパンツ様もただの下着という訳ではなかった。

 レースの刺繍が素晴らしい極上の逸品で俗に言う勝負パンツといわれる類のまさにパンツ様と呼ぶに相応しい存在感を放っていた。

 少なくとも前日は普通のパンツを履いていたというのに何故今日は勝負パンツなのかは謎である。だが次郎衛門は恍惚の表情で恭しく跪く。


「お、おお…… パンツ様じゃぁ。パンツ様が御降臨されたぞ!」


 次郎衛門が涙を流しながら拝み始めるとアイリィとピコもそれに続き拝み始める。

 エレオノーラも涙を流しながら真っ赤に染まった顔を俯かせ必死に羞恥に耐える。

 そんな意味不明な光景に耐えきれなくなった者がいた。

 フィリアだ。


「もうイライラするわね! さっさとお腹見せなさいよ!」

「ああっ! フィリアたん! 折角楽しんでたのに!」


 ワンピースを自らめくり上げる少女とそれを拝み倒す3人組という奇妙な光景に耐えきれなくなったフィリアがエレオノーラに歩みよると一気にワンピースをめくり上げた。

 というか、次郎衛門が楽しんでいるのは分かっていた。

 でもエレオノーラの前でそれを言っちゃダメだと思う。


 さて、話を戻そう。

 現在エレオノーラのワンピースはフィリアの右手によって豪快にめくり上げられている。エレオノーラはパンツどころかお腹まで丸出しだ。


 そしてそのお腹には奴がいた。

 次郎衛門の手によって異常にリアルに描かれた中年のおっさんだ。

 当然おっさんに全員の視線が集まる。

 おっさんは待ち構えていたのだろう。

 ほんのりと頬を染めながら言ったのだ。


「見つめちゃいや~ん。はずかしっ」



 次の瞬間


「死になさい!」


 フィリアの左拳がおっさんの顔面に、いや、エレオノーラのボディに突き刺さる。

 どうやらフィリアの溜まりまくっていたストレスがおっさんの一言によって限界を突破してしまったらしい。本当に殺しかねない程の容赦ない一撃だった。


「ゴバッ!!!」


 強烈なボディを叩きこまれたエレオノーラはフィリアに掴まれていたワンピースを引きちぎり吐瀉物を撒き散らしながら吹き飛んだ。

 その先に居たのはアイリィだ。

 

「えい!」


 可愛らしい掛け声とは裏腹に凄まじい威力が込められた正拳突をエレオノーラに叩きこむ。

 ピンポン玉のように再び吹き飛ばされるエレオノーラ。

 その先にはピコが待ち構えておりエレオノーラを受け止めると床に叩きつけそのまま抑え込んだ。

 すかさず次郎衛門が傍に回り込みカウントを取る。


「ワン! ツー! スリー! 勝者ヒューマンアウターズ! って、フィリアたんやり過ぎじゃね? 姫さんピクリとも動かないんだけど」


 次郎衛門の言葉通りピクリとも動かないエレオノーラ。

 ワンピースが引きちぎられ、パンツ丸出しの半裸状態、吐瀉物に塗れ、ちょっと漏らし、白目で微動だにしない様子はとてもお姫様だと思えない程に哀れな姿だった。

 これが漫画やアニメならば確実にモザイクを掛けられているところだろう。

 お腹のおっさんにもダメージがあったのか目がぐるぐるの渦巻き状に変化しており気を失っているような感じになっている。

 しかしフィリア、アイリィ、ピコ三人とも人外だからってヒューマンアウターズってネーミングはどうなんだと思わなくもないが次郎衛門が三十路過ぎだと言う事考えると安易なネーミングでも仕方ないのかも知れない。


「う、五月蠅いわね! 何かイラっとしたのよ! 治療すれば良いんでしょうが!」


 フィリアもやり過ぎた自覚はあったらしく直ぐにエレオノーラの治療し始める。


「…… ここは?」

「な、何て無茶苦茶な連中だぁ」


 あっさりと傷は癒え目覚めるエレオノーラとラクガキのおっさん。


「姫さん気が付いたか。んで、これが問題のおっさんか…… 自分で描いといてあれだけど小汚いおっさんだなぁ」

「んあぁ? 小汚いとは失礼だなぁ。元はと言えばあんたがイケメンに描かなかった所為だぁ」

「いや、イケメンだったとしてもお前充分キモいからな?」

「くそぅ。こうなったら下剋上だぁ。あんたらもボンッキュッボンにしてやるだぁ」

「あ。やめてよ! 勝手に私の体操るな!」


 必死に抵抗するエレオノーラの体を操り魔眼を発動するおっさん。


「ぐへへへ。これであんたらもボンッキュッボンだぁ!」


 魔眼を発動し勝ち誇るおっさん。しかしどれだけ待っても次郎衛門達の誰一人ボンッキュッボン化する気配はない。


 「…… 何で何も起きないんだぁ!?」


 焦るおっさん。

 次郎衛門の魔力から生み出されたであろうおっさんの魔眼が次郎衛門に通用する訳はない。

 次郎衛門と魔力的な繋がりのあるアイリィにも効かないし、フィリアの魔力耐性は冗談抜きで神級だ。

 ピコに至っては見た目が少女っぽいだけで実際は金属の塊な訳で魔眼自体が無意味だったりする。

 普段ならここでパンダロンがボンッキュッボンになってしまうところであるが今回は別室で待機しているので難を逃れた感じだ。


「どうやら俺達には魔眼は通じないっぽいな。まぁ、通じていたとしてもボンッキュッボンになったからといってそれで活路が開けるとも思えんけどな」


 確かに言われてみればその通りだ。

 ボンッキュッボンになったとしても別に次郎衛門達が弱体化する訳でもないので特に意味はない。

 次郎衛門達からすればふーんそれで? ってなもんである。

 

「あああ!? 確かにその通りだぁ! …… ハッ!? これはジローの旦那! 今日も良い男っぷりだぁ」


 己の状況を理解したおっさんは慌てて露骨にゴマをすり始めた。

 中々現金な性格をしてるらしい。


「お? お前実は良い奴だったのか?」

「ジロー!? ラクガキ何とかしてくれるんだよね?」


 ラクガキにゴマすられて上機嫌に成り始めた次郎衛門。

 エロゲーヒロインもびっくりのチョロさにエレオノーラは不安そうに縋りつく。

 そんなエレオノーラに次郎衛門は申し訳なさそうに口を開く。


「実はこのインクって20年は消えないように作ったインクなんだよなぁ」

「そ、そんなぁ! 20年もこのままだって言うの!?」

 

 20年も消えないという絶望的な事実を突き付けられて崩れ落ちるエレオノーラ。

 というか、消せないと最初から分かっていたのならここまでの展開の大部分は茶番だったと言う事になる。散々な目にあったエレオノーラが報われなさすぎだ。

 逆に消えなくても済むと分かったおっさんは一気にデカイ態度に変わる。


「ぐへへへ。悪人面野郎が焦らせやがってぇ。これで恐れるものは何もないだぁ。片っ端からボンッキュッボンにしまくってやるだぁ」

「でもそのインクを分解する薬は作ってあったりするんだな」


 そう言うとアイテムボックスから何やら霧吹きを取り出す次郎衛門。


「や、これは旦那ぁ! そんな物を隠し持っているだなんて人が悪いだぁ」

「うるせえよ! 誰が悪人面野郎だっての!」


 再び掌を返すおっさんに問答無用で薬品を吹きかける次郎衛門。


「ぎゃぁぁ! 騙すなんて汚いだぁ! き、消えるだぁ。嫌だぁ…… 消え……」


 ラクガキのおっさんがあっさり消えさる。

 次郎衛門はエレオノーラの他のラクガキも消していく。

 その様子を呆気にとられた様子で見ていたエレオノーラだったが、全てのラクガキが消えると全身を紅潮させ小刻みに震えだした。


「お? タコの形態模写か? 姫さんも中々マニアックだな」

「ちがーう! そんな薬があったんだったらパンツ見られる必要なかったんじゃないの!?」


 次郎衛門に詰め寄るエレオノーラ。

 ずっとパンツ丸出しでさっきまでの恥じらいは既にない。

 おまけに吐瀉物吐いた所為で吐息がちょっぴりスパイシーだ。


「ん? ああ。確かにそうかも知れん。でもな、俺が見たかったんだよ。姫さんのパンツって奴を! お陰様で余は満足じゃ。今夜のオカズもばっちりだぜ!」


 凛々しい表情で堂々とゲスい台詞を言い放つ次郎衛門。

 その態度に悪びれた様子は全くない。


「ふ、ふ、ふ…… ふざけるなぁ!」


 エレオノーラの魂の咆哮が宿屋の一室で響き渡り、その後、次郎衛門達は宿屋の女将さんからあんた等五月蠅過ぎるとお説教を受ける事になったのだった。

 

 


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