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8話 鑑定魔法!?

 翌日、さっそく2人でギルドに向かうと、受付には既にサラがいた。


「おはようございます。ジローさんフィリアさん」


 サラが、にこにこと微笑みながら挨拶してくる。


「おはよん。サラちゃん今日も犬ミミと尻尾が可愛いね。

 ちょいと聞きたいんだけど、依頼を受ける前に色々買い揃えたいから冒険者御用達の店を教えてくれないかな?」


 挨拶を返しながら、店の情報を訊ねる次郎衛門。

 もちろん視線はモフなパーツにロックオンである。


「他所から来た冒険者さんに配布してる地図がありますので、これ差し上げます。お店の場所に、印付いてますので、分かりやすいと思いますよ」


 どうやら頻繁に聞かれるらしく、説明する手間を省く為に地図を配っているらしい。

 他所の街からやってくる冒険者も少なくはない。

 こういった地図の需要は多いのだろう。


「おー。ありがとん。あとさ、買い物終わった後で訓練所使ってよい?」

「空いてる場所なら自由に使って良いですよ。

 貸しきる場合は有料になっちゃいますけどね。」

「ほーい、了解。んじゃ、また後でねー」


 ギルドを出てさっそく地図を覗いて見る次郎衛門。

 やはり冒険者がよく行く様な店はギルド周辺に多いらしい。


「そういえば、あんた武器持ってきたんじゃないの?」


 フィリアが思い出したように言う。


「持ってきたよ。じゃじゃじゃーん! ピコピコハンマー!」

「……は?」


 呆けた顔で思わず聞き返すフィリア。


「じゃじゃじゃーん!ピコピコハンマー!!」

「聞き取れなかった訳じゃないわよ!

 あんた馬鹿じゃないの?

 そんなオモチャで戦える訳ないじゃない!

 あんた死にたいの?

 死にたいのよね?

 もう死ねば良いんだわ!!」


 地球で例えるなら、実弾飛び交う戦場に水鉄砲で向かうようなものである。

 フィリアの言い分は当然正しいし、怒って当然である。

 別にフィリアがヒステリーな訳ではない…… と、思う。

 しかし、次郎衛門は、至って本気なのである。


「でも、神の爺さんは下級の魔物くらいなら楽勝って言ってたけど?」

「ハァ……それじゃ、一応鑑定魔法掛けてみるけど、ただのオモチャだった日にはあんた今日一日、訓練場で魔法の的にするからね」

「おお! 鑑定魔法かぁ。結果って俺も見れるものなん?」

「自分だけに見えるようにも出来るし、皆に見えるようにも出来るわよ」


 フィリアがそう言った直後。

 突如、2人の前にウインドウが現れる。


「お? いきなり出てきたからちょいと驚いたな。

 呪文とかなくても魔法って使えるんだなぁ」


 初めて見る魔法にはしゃぐ次郎衛門。

 ちょっと興奮気味なのは仕方ないだろう。


「私程になると、無詠唱なんて楽勝だわ。

 よりイメージをハッキリさせる為に、そういったワードを使ったりもするわね。

 それより鑑定結果は……」



ピコピコハンマー

攻撃力   B   

特殊効果  自動修復


次郎衛門特注の通常品より大きいサイズのピコピコハンマー。

次郎衛門の魔力で強化された結果、高い攻撃力を得るに至ったマニア延髄の逸品。

殴るとピコッっと可愛らしい音がなる。

偉大なる神が、適当に付けた加護によって自動修復が付いたんじゃよ。




「…… じゃよ? 

 なんだこれ、鑑定魔法の説明文も爺さんの担当なのか?」

「こういう雑用は、精霊達の担当の筈よ。

 なんでこんな事してるのかしら?」

「まあ、そっちの事情はよく分からんが、適当な割には良い加護付けてくれたっぽいな。

 性能もBってのが、どんなもんか分からんけど、悪くはないんじゃないか?」

「悪くないどころの話しじゃないわ。売り飛ばせば3年は遊んで暮らせるわ」


 フィリアはどうやら納得がいかないようである。

 まあ、気持ちは分からなくもないが。


「魔力で強化って事は俺が着てる作務衣も性能あがってるかもな。

 こっちも鑑定してみてちょ」


 その結果がこれである。



作務衣

防御力   C

特殊効果  全状態異常耐性 自動修復


次郎衛門が好んで身に付けている作務衣うちの一着。

次郎衛門の魔力で強化された結果、高い防御力と状態異常に耐性がついた。

次郎衛門の香りが仄かにする。

次郎衛門がフィリアたんに、くんかくんかして欲しい逸品。

グレイトな神が適当に付けた加護によって、自動修復するようになったんじゃよ。



「なんで鑑定の説明文にあんたの願望が書いてあるのよ!

 お父様もこんな事してる暇ないでしょうにホント何してるのかしら!」


 何だか変な説明文に、若干苛立った様子のフィリアである。


「まあまあ、苛々しても仕方ないだろ。

 くんかくんかしてみるか?

 落ち着くかもしれんぞ?」

「する訳ないでしょ!

 お父様もあんたもホントにイラッとするわね!」


 次郎衛門としては、気を使ったつもりらしいのだが、完全に逆効果である。

 当たり前だ。

 特に好きでもない人間の体臭など、嗅ぎたい方が異常なのだ。



「俺の装備って別に買わなくても良いんじゃないか?

 その分フィリアたんの方に金掛けようぜ」

「あら、あんた一応そういう優しさも持ってるのね。

 意外だったわ。でも仮にも女神なのよ。

 目立ちすぎないように多少質を抑えてるけど、私が身につけてるものはあんたの装備にも引けを取らないわ」


 どうやら、フィリアの装備もかなり良い物らしい。

 しかし、まだファンタジーライフ2日目の時点なのに、次郎衛門に対するフィリアの評価はこれ以上ないってくらいに低い。

 まあ、前日からの次郎衛門の発言や行動を見ていれば、仕方の無い話ではあるが。


「装備買う必要なくなっちまったのか。

 そんじゃさ。俺ってば、ファンタジーなカルチャーに興味深々なんだよな。

 折角商業区まで来たんだから、色々冷やかして周らない?」

「仕方ないわね。午前中はあんたの社会勉強がてら見て周りましょ。」


 次郎衛門の言葉に、溜息混じりに応じるフィリア。

 再び商業区へと、歩きだす2人なのであった。


 

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