意表
「じゃ、あの時と同じように俺とローリが前張るよ」
「そんであたしがヒーラーやって」
「マーツがその護衛をする、と」
「何とかならーな。後ろから刺すなよ?」
「さしものあたしでもそんなことはしないよ」
「ね、ねぇヘイル」
「どうした?」
「さっきからユウ、自分のこと、俺って言ってない?」
そうなのだ。
違和感しかないが。
「あれはマーツ曰く『ロールプレイ』なんだと」
そして、戦闘が始まった。
「って、あの武器、《秘剣ダイアモンド》に《秘盾アメジスト》!?」
「うーわ、見せ付けてくるね」
俺は一番近くにいた壁役の女に切り掛かる。
もちろん盾で防がれる。
そこで、【片手剣】スキルの【横払い】を使用。
ライトエフェクトが一瞬俺の体を隠す。
そして、剣を放す。
その瞬間に剣は物理法則を無視した急停止を行い、地面に落ちた。
カラン……。
敵が驚いているのが分かる。
雰囲気的に。
その隙にそいつの後ろに回り、左太腿に附けていた《秘短剣ルビー》を抜き、首を撥ねる。
【短剣】スキルの【首撥ね】
敵の死角から襲い掛かり、敵の首の肌に当たった場合に限り、敵を即死させるのだ。
ポリゴン片になった敵を無視し、《秘剣ダイアモンド》を拾う。
そして、嗤う。
「ステータスマックスがなんだって?」




