53/63
動き出した終わり
狼が走るフィールドから、一人の男と一人の女が消えた。
それに気づいたのは、彼らのチームの仲間だけだった。
人が減った。
それ以上にフィールドは壊れていたが。
狼が消えた。
観客も息を呑んだ。
なぜなら、すでに三つ巴の展開になっていたから。
舞台は、早くも大詰めだ。
見渡す限りの荒野。
その一角、瓦礫の山の中腹で、僕は銃を構えた。
狙うのは………名前も知らない《旧家》の魔術師。
引鉄に指をかける。
しかし、銃弾が放たれることはなかった。
魔術師が、すでに死んでいたからだ。
【暗殺】スキルの【闇討ち】だろう。
背後からの急所攻撃に限り、相手を即死させる。
何のことはない。
後ろを確認しなかった相手が悪い。
問題は
(やっぱりルイだよなぁ)
殺した相手が見付からない(・・・・・・)のだ。
(仕方ない)
銃をしまい、鎌を取り出す。
そして、【暗殺】スキルを発動させた。
舞台に、四人の暗殺者と一人の死神が現れた。