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Grauen Welt  作者: 桜忠丸
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難儀な午前中




ブブブ‥ブブブ‥ブブブ‥ピッ。

「はい、悠人です」

「あ、悠人君?さっきアークから連絡あって、今日アークもマーツも入らないって」

「はぁ…。わかりました」

「君は今日どうするの?」

「そうですね……。本でも買いに行ってゆっくりしてますよ」

そんなもんでいいだろ。

特に用事もないし。

「じゃ、じゃあ、出かけない?」

「いや、だから本を買いに出かけますから」

「そうじゃなくて、私と、出かけない?」

「いや、遠慮しておきます。そういうことでやたらと騒ぐ馬鹿が友人にいますから」

「あぁ、燈真君?彼なら大丈夫だよ」

「それはまた、どういうことですか?」

「だって彼、亜弥とデートしに隣町まで行ってるから」

亜弥って誰だよ!

「はい?亜弥って誰ですか?」

「私の友達。君も会ったことあると思うけど」

「いや、ないですよ。少なくても、現実では」

「あれ。じゃあ今度紹介するよ。ってそんなことはどうでもいいの!どうなの?」

九分九厘諦めながら最後の抵抗を試みる。

「まぁ、やぶさかではないですが、先輩はいいんですか?」

「え?」

「こんなつまらない男と一緒でいいんですか?」

「ダメだったら誘わないでしょ」

一言で切って捨てられた。

ですよねー。



取り敢えず無難な服を着て、集合場所に向かう。

指定された時間の5分前についたのだがそこにはすでに先輩が待っていた。

「遅いよ悠人君!」

「時間前ですし先輩が早すぎただけでは?」

「それはそれ、これはこれ。待ち合わせに先に来るのが男の甲斐性じゃないの?」

「そんなことで養ってはいけませんが」

「もう!こういうときは取り敢えず謝るの!礼儀よ?」

「はぁ……。すみませんでした」

「誠意がこもってない」

どないせーと。

「まず行きません?さっきから騒いでたせいで非常に居心地が悪いのですが」

「あ、ごめん」

逃げ出した先にあった本屋に駆け込む。

「先に本買ってもいいですか?」

「うん……」

さっきからずっとこの感じで、やりにくいったらありゃしない。

静かでいいのだけれども。

気にしないで本を探す。

「先輩はどうしますか?」

「……」

「先輩?」

「…え、なに?」

「先輩はどうしますか?」

「あ、あぁ……。じゃあ、買い物が終わったらメールちょうだい」

「わかりました」

先輩はどうやら参考書の欄に向かうらしい。

「先輩というのも大変だな」

ぼやきながら、買うものを選別していく。



何であんなに唐変木なのかしら?

普通、女子に買い物に誘われたらデートだと思わないのかな?

それとも男子ってそんなものなのかな?

疑問ばかりが頭の中をぐるぐると巡っていく。

そんな中、晴美も自分の志望大学用の参考書を選んでいく。








何でいるんだよ!

こっちには来ないんじゃなかったのか?!

燈真と亜弥さん(?)を見かけてしまった。

「あぁ、もう!」

毒づきながら、先輩にメールする。

『燈真発見。待ち合わせ場所店外に変更。おって連絡しますので、先に出ます』

来る前から買うことを決めていた本を持ってレジに行き、購入。

本当はブックカバーが欲しかったけど今は何よりも早く出ることが先決だ。

「あの、カバーお使

「いらないです、お金、これちょうどなんで、レシートもいらないです」

……ありがとうございました」



「……なんだったの?」

店員も驚いたらしい。



ブブブ‥ブブブ‥。

誰からよ、もう。

携帯を開いて誰何を確認する。

「なんだ、悠人君か」

出口に向かう。

その途中でメールを確認して、驚く。

『燈真発見。待ち合わせ場所店外に変更。おって連絡しますので、先に出ます』

疑問が色々と浮かんだが何よりも先に外にでる。

どうしてこうなったのよっ!

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