死神がついてまわる
「また遅いのかよ、マーツ」
「悪かったな!これでも急いだんだよ、ユウ」
「間に合ってないんだから一緒だ!ほら、働け!」
いつものようにマーツは遅れてきた。
「マーツは何をしてたのさ?」
「ん?いつのこと?」
「今日の朝のこと」
「あぁ。友達んちに行って課題見せてもらってた」
そう言ったら、皆が呆れた顔で俺を見た。
「マーツって、本当に僕の友達に似てるよ……。多分マーツの部屋は汚いよね」
「悪かったな、汚くて!」
そんな雑談をしているうちに片付けも終わり、また『空』に向かう。
「なぁ、ユウ。今日はもっと上まで行かないか?」
「他の二人がいいならいいよ」
話を二人にふる。
「私はかまわないよ。ただ、下の方が簡単じゃない、マーツ?」
「私は反対だな。ボスから貰えるポイントは一緒なんだから下の方が多く倒せるのではないか?」
順にアークさん、ヘイルだ。
「まぁ、そうなんだけどさ、飽きたんだよね」
「やっぱ下の方でいっか。ユウ、さっさと行こ?」
「アーク!?なんで?」
「妥当な判断だな、アーク」
「ヘイルちゃんまで!?俺が何したよ!」
「さて、決まったなら早く行こうか」
「ユウに至ってはシカトですか……。どうせ俺の意見なんか聞いて貰えませんよ〜だ」
「サボりは置いて行こうか」
「いや、行くから!だから待ってよ!」
慌ててついてくるマーツ。
「結局来るなら騒ぐな」
「最近冷たくない?」
「「「うるさい、騒ぐな!」」」
南無三。
特筆することもなく、昨日と同じくらいのポイントを稼いで、マーツとアークさんの防具を強化するために近くの街に戻ってきた。
残ったポイントは、戦闘に使うらしい。
「まぁ、大番狂わせが無い限り勝てるだろうけど、一応持ってなよ」
僕は、マーツとアークさんのために護符を買ってきたところだった。
アークさんには防御力UPの護符を、マーツには……
「なぁ、なんだよこの死神の加護っつう物騒な名前の護符はよ!」
「神の加護が受けられるんだからいいじゃないか」
「……それで、効果は?」
「被ダメージUP」
「ダメじゃん!?」
「かわりに攻撃力が3倍」
「何その肉を切らせて骨を断つみたいな効果?」
「えっと、説明には『体を切らせて魂を切る』だって」
「体を切られたら死ぬよ!?」
「まぁ、いいじゃないか」
「なにが!?」
「だって結局あの無敵化使えばデメリット無しだよ?」
「……確かに」
「ほら、マーツにピッタリじゃん」
「ハァ……。わかったわかった。使えばいいんだろ?」
「激励なんだから素直に受け取りなよ」
そんなやりとりがあったりなかったり。
日本代表決定戦敗者復活戦まであと1日。




