無限の悪夢
ボスは十の腕を持ち、四つの顔を持った巨人だった。
攻撃パターンは、殴る、蹴る、腕を叩きつける、天井から岩を落とす、殴る……、と繰り返し続けるタイプだったので、意外と簡単に見切れた。
腕の叩きつけの後、懐に入れば岩がボスに当たり、追加ダメージを与えることもできた。
見切った敵を倒すのも簡単で、戦闘はすぐに終わった。
「よしっ!約束通りノーダメクリアだ!」
「みんな、お疲れ様」
「またシカト!?」
「労ってるじゃん」
そして、みんなが次の層に続く階段に向かう。
「あ、ちょっと待って」
まだ上に行く予定はなかったので引き留める。
「どうした、ユウ?」
「それは、お楽しみ」
そう言って、ニヤリと笑う。
ユウに言われて、待ってからそろそろ10分ほど経つ。
「ユウ、一体何だと言う……ん……だ」
ゴアァァァァァァァァァァ!!
目の前にモンスターが湧出した。
そいつは
―――先ほど倒したボスだった。
「さ、みんな。第二ラウンドだよ」
「さ、みんな。第二ラウンドだよ」
そう言って、銃を構える。
「ほら、みんな。さっきと同じようにやればノーダメだよ!大丈夫でしょ?」
「……ハァー。ユウ!後でしっかりと説明してもらうからな!」
マーツが真っ先に飛び出す。
ヘイルも追従し、アークさんも詠唱に入る。
そして、先ほどよりも早く終わった。
「おい、ユウ!一体どういうことだ、今のは!」
「知ったのは最近だよ。ここのボス倒した後、友達からメールが来て、返してたら復活したんだ、ここのボス。だから、ここなら効率よく、ポイントを稼げるのさ」
呆然とする三人。
当たり前だ。
ボスが何度も湧出するなんて、悪夢にも程がある。
「だから、なのか?だから、ノーダメージでクリアしろと?」
ヘイルに聞かれる。
「そうだよ。そうすればアイテムを無駄に使わないし、その分の費用も浮くし、いいことずくめじゃん?」
そんなことを話しているうちに、また先ほどのボスが湧出した。
その後も、この層に留まり、このボスをフルボッコに。
「いやぁ、こりゃ楽だ」
調子よく、マーツが言う。
「そうだろ?待ってりゃ勝手に来てくれるし、普通のモンスターの十倍くらいのポイントが手に入るんだから」
「よく、誰にも見付からなかったな」
ヘイルの感嘆の声。
「普通はボスを倒したあと、ボス部屋に残る奴はいないから」
苦笑しながら答える。
そうして、22時までにおよそ三桁のボスを倒し、一人頭およそ2000000Pを稼いで、今日は解散となった。