ダンジョンの守人
さて、到着。
「ユウ!確かここはバカ高い料金を払う必要があるはずだぞ?」
「知ってるよ。マーツ」
「また俺かよ、人使い荒いぜ」
「君は人じゃないよ」
「酷ぇ!」
「君も僕もただのアバター。違ったかな?」
してやった。
思わずニヤリと笑う。
「ただの、じゃねぇよ。動かす、意図があるだろ。それは、人だ。だから俺らも人だ」
笑みが引きつる。
マーツのくせに鋭い事を言う。
「ま、何にせよ、早く行ってきてよ」
誤魔化す。
「ここは固まって行こうぜ。はぐれたら面倒くせぇ」
そんな言葉が引き金になった。
「なぁ、ユウ。ポイントを払っていたら稼げないんじゃないか?」
ヘイルの当然の疑問に
「そうだね」
肯定を返す。
「なら、来る意味がないじゃないか!」
「見てればわかるよ」
そういい、マーツと歩く。
「すみません。このダンジョンを使いたいのですが」
「そうかい。現実時間で一時間10000Pだよ」
「それは困りましたね……。無料でいいと言われたんですが」
「そんなこと誰がいつ言っ………いいっ!?」
「どうしました?」
「『炎』に『水』!?も、申し訳ございませんでしたっ!」
「それで、いいですか?」
「も、もちろんです!何時間でも、ごゆっくりどうぞ!」
なにやら萎縮している様子の門番プレイヤーから許可をもらい、二人を呼びに帰る。
「ユウ、何をした?」
「ちょっとお願いしただけだよ?」
「ちょっとお願い、でなぜあそこまで門番プレイヤーが萎縮しているんだ?」
「わからないよ」
しらばっくれる。
「嘘をつくな、ユウ」
「言わなきゃ、ダメか?マーツ」
「言うべきだ」
「仕方ないなぁ。ここを一番最初にクリアしたのはルーツ・マジシャンと拳聖なんだけど……」
「俺が拳聖でユウがルーツ・マジシャンなんだよ」
マーツが引き継ぐと二人とも呆れた顔をした。
「ユウ……。こんなこと言いたくないけど、魔法が使えて、銃が使えて剣も扱えるってどんなオーバースペックなの?」
「《旧家》のFGBはみんななにかしらのあだ名を持ってるよ。それに、僕以上はいなかったけど、みんななにかしらの『力』を持ってたし」
「『力』?」
「そ。例えば僕は『魔術想造』だし、あのグローリーは『怪物創造』だろ?言ってないけど、ルイも虚空から武器を取り出したのも、『魔具作成』っていう『力』だしな」
「じゃあ、マーツも何か持ってるの?」
「本人に聞いてよ、アークさん。僕は知らないよ」
肩をすくめる。
「教える気はないけどな」
何も変わらない、軽薄な笑いと共に、何ともなさげにマーツは言いきった。




