敵襲
しかし、数多の刃が僕たちを貫くことはなかった。
まるで空間ごと切り取ったかのように武器が消えている。
「ユウ、これは何だ?」
「マーツ、黙って。今、どうすれば逃げれるか考えているから」
冥神の力、空間把握と死神の力を一緒に使った合体技だ。
なんだよ、この力は!
こんなの前はなかったじゃんか!
「いいからさっさと死んじゃえよ!」
そういいながら突き出した槍を引く。
しかし、槍は半ばから消えていた。
まるで、空間ごと刈り取られたかのように。
「ルイ、もうやめよう」
止めろ!
そんな諭すような声で言うな!
「黙れ、ユウ!」
そして、新しい槍をストレージから取り出す。
刹那
震動
そして
轟音
数多の雷が空から、無数の氷が地中から、それぞれ襲い掛かってくる!
何が起きたのか理解できなかった。
咄嗟に認識できた全員を空間内に招き入れる。
周りの氷柱、雷柱が消えた。
消し飛んだのではない。
掻き消えたのでもない。
ただ、消えた。
「ルイ、お前、どんだけ恨みを買ってるんだよ!」
マーツが叫ぶ。
「マーツ、黙って。それにこれ、二人とも見たことあるよね?」
相変わらず冷静な様子。
苛つくが、大事な戦力だ。
「いや、知らない。どうかしたのか?」
「ハァ……。マーツもルイも記憶力悪過ぎ。これはあの時の『土』、GRORYの魔法だよ。僕が伝えたから間違いない。それに、あいつもFGBだ、固有スキルを使ってきてる」
目の前には、三桁に届くかどうかと言う程の怪物達が。
「あぁ、《怪物創造》だっけか?迷惑千番だよ。にしても、なんでこんなことを?」
「多分、昔言っていた『裏切り者の粛正』だよ」
「なら、近くにいるんだろ、ユウ。潰そうぜ」
「わかってるよ。ただ、無関係なヤツが多すぎる。巻き込むわけにはいかない」
「私は問題ない!」
昔の武士のような格好の女が叫ぶ。
「そう言う問題じゃないんだよ。ヘイルはよくても他の人たちがいいとは限らないから」
「一回、これ解除できるならうちの奴らは返せるけど」
「首領!あんまりです!」
「なら返して。後は、アークさんは?」
「大丈夫だよ」
了解。
呟いて、昔の《旧家》参謀が牙を剥く。
「じゃあ、始めるよ。みんな返して」
作戦が始まった。




