逢う前に
「マーツ、早く準備して」
相変わらずのルーズさに呆れ果てる。
「わりぃ、いつも」
「早くしろ」
まぁ、今日は仕方ないかとも思うが、それとこれは別だ。
マーツにも思うところがあるのだろう。
「そういえば、RUIってどんな人?」
「RUIは……頭が凄く切れるよ」
「可愛かったし強かった。ホントなんでこんな超人がいるんだよって感じでさ」
マーツが会話に入ってくる。
「マーツは早く準備してよ。っていうか、やっぱりマーツの昔の女?」
何でもないことのように話すんだな、アークさん。
「違うよ、アーク。RUIはユウの昔の女だよ」
「そうなのか、ユウ!?」
その瞬間、こっちを向いたヘイルの表情は正に鬼気迫ると表現できると思う。
「ヘイル、そんな過度に反応しなくても……。間違ってはいないから否定はしないけど、正確にはパートナーな。それにマーツが言えることじゃないだろ」
「そいつぁ悪かった。と、終わったよ」
「んじゃあ行こう!浮ついた噂が何もないユウの昔の女に会いに!」
「止めてよ…。だからパートナーだって」
そんなことで、相変わらず騒がしく、慌しく、進むのだった。
ここか……。
「みんな一回下がって」
そう言った後、力を解放する。
不意討ちを警戒したのだ。
使う力は死神と冥神の力。
そして、入る。
「RUI、入るぞ」
お出迎えは沢山の罠から打ち出された無数の武器だった。




