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Grauen Welt  作者: 桜忠丸
35/63

事実



無事に鍛練も終わり、帰ろうとした時にまだ先輩がいたことに驚いた。

「……先輩、まだいたんですか」

「用件が終わってないもの」

「その用件って誰にすか?」

「君だけど?」

「…なんなんすか?」

「心当たりはあると思うけど?」

「いや、すいません。さっぱりです」

ここら辺は嘘だ。

バッチリありまくる。

「昨日の電話のことなんだけど」

「何かあったんですか?」

「私も結構ゲームする人なんだけど、昨日仲がいい、と思う人に電話番号を教えたのよ」

「へぇ。危ないですね。もう少し自分が女子高生だってこと、自覚したらどうすか?」

「それで、その人、ユウって言うんだけど、最後に『晴美先輩』っていったの。心当たりない?」

「ないです。それこそ後輩なんじゃないすか?部活とか」

自分でも驚くくらいすらすらと嘘をつく。

「私、部活入ってないし、下級生と仲が良い訳じゃないの」

「じゃあ、道場の人とか」

「道場では、二番めに年下よ、私?」

「なら、一番年下の人じゃないすか?」

「違うわ。燈真君だもの」

「そんなら、先輩の後に入ってきた人とか」

「いないわ、そんな人。ねぇ、あなたでしょう?」

「そんなに気になるなら電話したらいいじゃないですか」

「その人、非通知でかけてきたの」

「手の込んだ人ですね」

「そうね。でも、私、そもそも先輩って呼ばれるの、あなたにだけ、なんだけど」

さて、どうしよう。

八方塞がり、手詰まりのようだ。

「燈真と同じ道場なんですか?」

「話をそらさないでちょうだい。どうなの?」

認めるしかないのだろうか。

ちょっと調子に乗り過ぎたらしい。

贖罪のつもりで話してしまおうか。

「えぇ、そうですよ、ヘイル。僕がユウです」

自分で聞いておいて驚くってどうなのよそれ?

「…やっぱり、悠人君だったのね?」

「そうですね。話が戻りますけど、燈真と同じ道場なんすか?」

「そうよ。知らなかったの?」

「知らなかったです」

知らなかったことが聞けた。

から満足。

「それじゃ、時間も時間なんで帰ります。さよなら」

「あ、うん、またね」



結局、最後は逃げたが。

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