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Grauen Welt  作者: 桜忠丸
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会話と昔




…やりすぎた。

なにも連絡先まで教えなくてもよかっただろうに。

「起きたことは仕方ない」

そう言い聞かせ、晴美はそわそわとケータイがなりだすのを待った。

勿論、反省しながら。



…どうしよう。

SMSで送ってもいいかな。

「いや、男は度胸だろ!」

自分を叱咤して、おそるおそる番号を打っていく。

その叱咤が間違っているような気がしたのは気のせいだということにした。



ブブブ‥

ブブブ‥


来たっ!

ケータイをおっかなびっくり開き、通話ボタンを押す。

「…はい。もしもし」

「もしもし。こんばんは、ヘイル。ユウです」

思っていたより若い声。


そして


どこかで聞いたような声。

「こんばんは。えっと、あの、その……」

声が尻すぼみになる。

なんとかしなくちゃ、でもどうやって?

「ハハッ。そんな気構えなくてもいいんじゃない?」


どこかで聞いたような声。

何より、あたふたしてるのが電話越しにもわかって思わず笑ってしまう。

「それで、何を話せばいい?」

「あっと……。RUIって人との……関係?」

「いいけど、聞いてて面白い話じゃないよ?」

そう前置きして話しだす。

自分が元々《旧家》の一員だったこと、《旧家》には四つの部隊があること、自分とマーツが《旧家》の部隊長だったこと、RUIも同じ立場だったこと、とても仲が良かったこと、そして…

「ある事件があったんだ」

「それは、どんな事件だったの?」

「《市波事件》。知らない?」

「確か……KGが市内で大規模の水魔法を使って三十五人が死んだ事件だったよね?」

「そう。それの首謀者がRUIの夫……もちろんゲーム内の話だけど。で、そして、RUIが追い掛けた。」

「それで、帰って来たんだよね?」

「いや、そのKG、《紫畑》に入ったよ。これが今日襲ってきた《闇影》の前身」

「そんな……」

「そして、その当時、四人のリーダーは『土』で、リーダーがRUIに責任があるって言ったんだ。でも、どうしてもそう思えなかった僕とマーツはリーダーに反対して、それで《旧家》を追われた。

今の《旧家》のリーダーは残った『土』がやってるよ」

「もう1つ気になってたのはその『土』とかって何?」

「これは《旧家》の部隊長に付けられた呼び名だよ。戦い方から『炎』『水』『風』『土』の4つ」

「そうだったんだ…」

「そういうこと」

「ごめんね、こんな時間まで」見れば短針が11と12の間にあった。

随分と話したようだ。

そして、ちょっと悪戯心が芽生えた。

「気にしてないですよ、晴美先輩」

「えっ、えっ?!」

あたふたした声が聞こえてきて、声に出さずに笑う。

「お休みなさい」

そして、電話を切り、寝た。

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