今度こそ出立
「…実は今回の依頼は首領からなんです。『神級武器を持ってるヤツを狩ってこい』って」
「それで、兄さんと二人で死神と闘神を、って思って」
「RUIにしちゃ珍しいな、ユウ」
「あぁ。またなんか企んでるのか?」
「やっぱ直接会うしかないか」
「…っ。アイツ嫌いなんだよ」
「仮にも元相方に言う台詞じゃねぇな」
マーツにも苦笑された。
だが嫌いなのだから仕方ないのだろう。
でも
「まずは血塗れの魔術師が先だろ」
「わかってるよ。こいつらはどうする?」
「送り返すしかないだろ。そうだな……。名前も知らないけど、RUI…いや、首領とやらに伝えてくれ。それこそ、今度『水』と『炎』が行く、と。それでお互いチャラにしよう」
「それだけでいいのか?」
「あぁ」
「わかった。行くぞ」
「待ってよ、兄さん!」
駆けていく女アバターの姿が被って見えた。
「なんかすごく見たことある気がする。ユウ、知らない?」
「知ってるわけないだろ。馬鹿か」
マーツには絶対教えはしないが。
まずはやるべきことを終わらせよう。
「じゃあ、行こうか」
そうしたら、さっきの女が戻ってきた。
「兄さんはWest、私はWistです」
「……なんで教えるのか、教えてくれないか?」
「なんとなく。女の勘よ」
そういって女、ウィストは今度こそ消えた。




