魔狼との戦闘
今度はさして時間もかからず、10分程度で【冥神の洞穴】についた。
「……。ユウ。何もいねぇぞ?」
「あぁ。どういうことだ?」
「もう狩られた、とか?」
「いや、それなら神殿の扉が閉まっているはずだけど…」
扉は開いたままだった。
「考えても仕方ねぇから進もうぜ」
「武器を構えたままな」
注意しながら、
じり、
じり
と扉との距離を詰めていく。
残り十歩というところで不意にメッセージが。
『汝ら、力を得ようとするものか?』
「いかにも。冥界の女神に用がある。そこを通してくれないか?」
『笑止。進みたければ我を超えていけ』
目の前に巨大な黒い狼が突然現れた。
【護手:魔狼フェンリルが湧出しました】
そうして、僕たちとフェンリルの戦いが始まった。
フェンリルの特殊攻撃は全属性の狼を召喚することだけだった。
しかし、速さが異常だった。
「アーク!アイスケイジ頼む!」
「わかった!大地に眠る水流よ!地表に出できて敵を戒めよ!アイスケイジ!」
『愚かな…』
フェンリルの嘲弄の声。
フェンリルの姿が消え失せる。
フェンリルの属性は水と風。
だから
「アークさん!檻魔法はこれを使って!」
そういい、魔法をデータ化して送る。
「……っ、わかった!怒れる大地よ!怒りの炎を表土に流し、土とともに敵を追い詰める檻と枷となれ!ロックフレイム!」
大地が、一帯火山に成ったかのように膨れ、破裂する。
『小賢しい人間めが!!』
…捕えた!
「マーツ!複合魔法、いくよ!電光石火!」
「了解!」
「唸れ!雷よ!」
雷が奔る。
「猛ろ!炎よ!」
火炎が渦巻く。
「全ての敵を凪ぎ払え!」
一帯が光る。
「全ての敵を焼き払え!」
一帯が熱を持つ。
「迅雷の速さよ!」
雷が形取る。
「烈火の威力よ!」
炎が揺らめく。
「「重なりて敵を討て!」」
「これならっ!」
「どうだっ!」
なんて威力だ!
フェンリルを捕まえていたモノさえも消し飛んだ!
この威力ならあるいは……。
「……っ!ヘイル!アークさんを守れ!まだ終わってない!」
「何?!…聖なる籠よ。我が身辺を覆い給え。界!」
ガッ!
刹那で発動が間に合った結界に衝撃が走る。
フェンリルの魔法で呼び出された炎と闇の複合型の狼が飛びかかってきていた。
そして、喰らい付いた先から赤黒く染まる。
「ユウ!こいつ、侵蝕型だ!あまり長く持たないっ……!」
「アークさん!さっきの!マーツ、疾風迅雷、いくよ!」
「わかったよ!」
「怒れる大地よ!怒りの炎を表土に流し、土とともに敵を追い詰める檻と枷となれ!ロックフレイム!」
続きは明日




