とある朝
続きそうで続かない、そんなSS。
初のSSなので、これで良いのかは正直わかりません。
もともとSSねらいだったのではなく、
思いつきで書いたものをそのままSSにしてしまった感じです。
もちろん、推敲はしましたが。
それでは、どうぞ。
靴のかかとを踏み、引き摺るように歩く足音。
スカートを必要以上に短くして、五月蠅いほど大きな声で話しながら歩く女子三人組と、すれ違う。
俺はああいう奴らが心底嫌いだ。毎日をなんとなく過ごし、自分は小さな歯車の一つでしかないと決めつけて、意味もなく笑っている奴らが。
今の世の中、そういう人間が多過ぎる。
でもその朝、俺は彼女に出会った。
俺の少し前を歩く女子高生は、一人で無表情に歩いていた。特に飾り気もない、大して目立ちもしない平凡な風体だ。
そのくせ、何か独特の雰囲気がその周りに漂っていると感じた。まるで彼女の周りの空気だけが歪んで渦を巻いているような、ぼんやりと濁った光を放っているような。
人気の少ない通路を通って行く時だ。彼女はついっと横を向いた。正確には窓の方を見たのだが、俺はその時までそこに窓があるなんて気付いてもいなかった。
窓の外には、視界の向こうまで線路が伸びていた。また、無数のケーブルがその上を行き交っている。
人工物ばかりの灰色の景色。
しかし、彼女の瞳にはその奥に広がる淡い空が写っていた。
吸い込まれるようにからっぽの空。
彼女の顔には、透き通るように何の感情もない。
なぜか俺はその光景を、とても美しいと思った。
最後までお読み下さり、ありがとうございました。
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