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第四刀「巡り廻って回転」

ーー昔から、責任という言葉が嫌いだった。

自分の行動に必ず纏わりついてくる、気持ちの沈む言葉。


大切なのはわかってる。

責任がなければ、皆テキトーになって世界が一瞬で崩壊するだろう。


でも嫌い。

責任なんて取らない、他人に押し付けたい。

今だって、戦うのに手が震えてしまう。

だから私はクズなのだろう。


そんな気持ちでAランク冒険者まで上がった。

ランク上位の人ほど大きな権力を持てるから。

責任を取らなくて済むから。


なのに、どっちつかずな私はスワードを助けようとしてる。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


瞬間、俺の頭を吹っ飛ばす前にゴーレムの腕が止まった。

これは……鎖?


「ぼさっとしてないで、そこから早く逃げなさい!」


イズさんの言葉で我にかえり、すぐさまゴーレムから距離を取る。

数秒後、鎖が引きちぎられて拳が地面に衝突し重い音が響く。

俺たちは再び城の瓦礫に隠れ、作戦を立てることにした。


「まさか一匹のみじゃないなんてね……スワード、あそこ見れる?」


「何ですか」


瓦礫からひょこっと顔だけを出して、さっきのゴーレムを見る。

すると、さっきよりもゴーレムの数が増えていた。

さっきまで一匹だったのが、もう六匹くらいいる。


「……」


ふとイズさんの方を見ると、足が震えていた。

それに気づいた彼女はこちらを見ると、睨むこともせず自虐的な笑みを浮かべた。


「変でしょ?Aランク冒険者になったってのに……モンスターと戦うのが怖いの。あんたが死んで責任を取るのが嫌なの」


幻滅した?

そう言葉を続けるイズさん。


「……幻滅なんかしません。むしろ自信を持って欲しいくらいですよ、私はAランクだぞ、高ランクなんだぞー、って」


俺はイズさんの顔を見ずに続ける。


「あなたがいなきゃ俺はそもそもこのクエスト受けられてないんですから。だから……手伝ってくれませんか?俺に、一つだけ案があります」


「……そう、乗ってあげるわ!」


「OKです。そしたらですね」


作戦はいたってシンプル。

1.俺がゴーレムのとこに単身で突っ込みます。

2.イズさんが鎖で敵を全員止めます。

3.俺が抜刀して倒します。


「どうです?」


「……」


一瞬。

現実時間で約1秒の間、イズ・ミデンズの脳内にさっきの記憶が流れる。

『抜ッ刀』

『まずった、な』

間抜けな顔でそんなことを言うスワード。


「いやどう考えても無理じゃない!?」


「大丈夫です。信じてください」


「どっからその自信が出てくるの!?言っとくけどあなた主人公って顔してないわよ?服もなんていうか、川に洗濯に行きました、って感じだし。途中覚醒は一夜漬けで100点とるって言ってる高校生くらい無理よ!」


「言葉のエクスカリバーを刺さないでください」


そうこうしているうちに、ゴーレムは少しずつ増えている。

もう体育祭の円陣が組めるくらい出てきた。


「新必殺あります!だから、俺のことを信頼してください」


「あのねぇ!あんた死んだら誰が責任を……」


「死にませんよ、俺は」


「!」


「作戦、お願いします!」


「ちょ……」


返答を聞く前に瓦礫から勢いよく飛び出し、円陣を組んでいるゴーレムの群れに突撃する。

スライディングでゴーレムの股をくぐり、円陣の真ん中に突入。

瞬間、周りのゴーレムたちの腕が、一斉に俺に振り下ろされる。


が。


鎖術さじゅつ『多重封鎖』!」


その四肢は外からの鎖に繋がれている。

これにより、数秒の隙が奴らに生じた。

俺は息を吐きその場で腰を低くしてジャンプする。


……抜刀のデメリットは数あれど、今回は『一方向しか狙えない』というのがネックであった。

Q.どうしたら全方角切れるのか?

A.俺が回りながら斬れば解決である!


「抜刀……『めぐり』!!!」


ゴーレムを足場にして、忍者のように壁キック。

クルクル回りながら、斬撃を何周も刻み込む!


「うらぁぁぁぁ!!!!!!!」


3周、4周、5…周!

ゴーレムが全て倒れるのと同時に、遠心力がなくなり俺も地面にぶっ倒れる。

……やばい、酔ってきた。

意識が……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「あ、起きた。あんた無茶しすぎ!」


目覚めて一番、叱られ中のスワードです。

どうやらゴーレムを倒した後意識を失ってしまったみたいだ。

俺が眠っている間、イズさんが全部コアとか取ってくれたらしい。感謝。


「さて、報酬の分け方だけど」


「……ご褒美で膝枕とかしてくれないんですか」


「は、はぁ!?な……何いって」


「いや、頑張ったんで」


赤面している美少女を見るのはとても気分がいい。

例え3秒後に顔面に拳が飛んでくるとしても。


と、いうことで殴ったお詫びとして膝枕してもらった。


「はぁ……倒した時は少しかっこよかったのに」


呆れた、という顔をするイズさん。

……人からかっこいいとか言われたのは初めてだ、少し嬉しい。


「あ、そうだ。イズさん、さっきの責任がどうとかの話に一個だけ追加で」


「何よ?」


「俺を助けてくれたあなたは、クズではありませんよ。ありがとうございます」


作戦前に言いたかったが、言えなかった言葉。

そよ風が頬にあたる。

……何となく、この風が悩みを持って行ってくれる気がした。






「はい、時間終了」


「ふぅ〜。太い太ももをよく味合わせていただきグベェァ」


「次いかがわしい言い方したら鎖で繋いでここにおいて行くわ。後私の太ももは太くない」


「すみません」


イズさんが呼んでくれた馬車に乗り、我がギルド本部へ帰る。

……にしても、剣が壊れる寸前だ。

2回の抜刀でこうなるなんて。

もっと抜刀に耐えれる武器……探してみるか。

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