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第三刀「This is a sword!」

「と、いうことで!修繕費は金貨100枚になりましたぁ!パチパチー」


「パチパチー……じゃねえですよ!?」


夜。

あの後、リレイに合流・説明をし、帰ってきたオリネちゃんと一緒に昼食を食べた。

そして二人が修理屋に頼みに行き、俺はギルドで結果を待っていると……二人と共に修繕費も帰ってきてしまった。


「ふっ、ごめんね!まあついてこなかったもの悪いと思って!」


「オリネちゃんが『気難しい人だから、私たちだけの方が絶対いいよ』って言ったからついてかなかったのに!?」


「この意気地なし。だから彼女いないんだよ」


「オリネちゃんレスバ強い」


第一ラウンドは俺の負け。

しかし、こちらにはまだリレイがいる!


「オリネさん、あまりスワードさんをいじめないでください」


「ふ、リレイちゃん。男も女も、こうして強くなっていくものさ……」


「SMプレイで強くなれるならこの世に愛はないと思います」


「自覚ないS!?」


雲行きの怪しい口論から目を背け、ギルド内にある掲示板を見る。

明日からクエスト三昧だろうな……なんて思いながら見ていると、面白いクエストを見つけた。


『ギガゴーレム1体:金貨50枚 対象……Aランク冒険者一人を含んだパーティ』


紙を剥がし、いよいよ性癖大博物館をオープンしそうな二人の元へ向かう。

ちなみにオープンされると……このギルドが一ランク下がりEランクになる。


「リレイ、オリネちゃん!明日これ行きたいんですけど、このギルドってAランクの方います?」


一斉に二人が黙ってこっちを向いた。

怖っ。


「ううーん、ギガゴーレム……君ならいけるとは思うけど、うちAランクいたっけなー。これAランクの人いないで行くと承認したギルドが罰金+ランク降格くらうから嫌なんだよなぁ」


「……オリネさん。お言葉ですが、いますよAランクの冒険者。自分のギルドのメンバーくらい把握しておいてください」


「というか、このギルドって何人くらいいるんですか?」


そんな疑問を口に出すと、数秒後にどこからともなくホワイトボードが飛んできた。

かと思えば、リレイが立ち上がって何かを書いている。

……なんで?


「はい、ではこのギルドのメンバーを紹介します。まずリーダーのオリネさん」


「はぁーい!」


「次に副リーダーのトリスさん、こちらBランク冒険者です。あんまり帰ってきません」


キュウキュ、と似顔絵を描いてくれる。

……が、絵柄が独特でよくわかんない。


「そしてメンバーは私、スワードさん、そしてCランクのアラマさん、Aランクのイズさんという方の六人で活動しています」


むふー、と自信満々にこっちを見るリレイ。

やっぱり似顔絵は独特で自分のがどれかすらわからないが、まあ内訳はわかった。


「じゃあイズさんを連れて行けば!」


「はい、大丈夫だと思います」


ようやくゴーレムという修繕費の希望が見えてきた。


「そうと決まったら……そのイズさんはどこにいるの?」


「この拠点の二階にいます。ちょっと複雑ですので、私と一緒に行きましょう!ついでにスワードさんの仮のお部屋も紹介します。オリネさんはここで待機です」


声にならない呻き声を上げているギルドマスターは放っておいて、俺たちはイズさんの部屋にいくことにした。

二階には多くの部屋があり、確かに迷う。

倉庫、なんか実験の部屋、図書館、武器倉庫……。


「つきました、ここがイズさんの部屋です。イズさん、今お時間よろしいですか?」


こんこん、とドアをノックするリレイ。

すると内側から鍵が開く音がして、ドアが開いた。


「……どうしたのかしら」


中から出てきたのは三つ編みで白髪の女性だった。

少し疲れているような雰囲気を纏っている。


「少し手伝って欲しいことがあるんです。この方……新しく加入してくれたスワードさんが、問題を起こしてしまって、それの修理費を稼ぐためにAランクのクエストに出なければなりません。なので、明日彼の付き添いを……」


「いいわよ」


ドア越し(半開きだが)にイズさんはそう答えた。

……どう見ても空元気だ。

目が死んでいる。


「何かしら、えーっと……」


「スワードです、イズさん。明日はよろしくお願いします」


「……ええ」


そう返すと、もう話すことはないと言う風に扉を閉められてしまった。

……帰り際、イズさんのことをそれとなく聞いてみる。


「リレイ」


「はい?」


「イズさんなんか疲れてるように見えたけど、大丈夫?」


「大丈夫だと思います……というのも、いつも副リーダーの代わりに書類仕事を行なっているので通常がああいう感じなんです。私も手伝える時に手伝ってはいるのですが……」


苦労人の方だった。

本当に大丈夫だろうか……。

不安が渦巻くが、明日のことは明日の自分に任せたほうが良い。

仮の部屋をリレイに紹介してもらい、寝ることにした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


次の日の朝。

朝食をいただき、俺は屋敷の前で待ち合わせをしていた。

今日はリレイが用事で付いてこれずイズさんと二人旅である。


「お待たせ、じゃあ付いてきて」


屋敷から出てきたのはイズさん。

白いワイシャツに黒の上着を羽織り、高価そうな杖を持ってやってきた。


「馬車を呼んであるわ。とりあえずそれで指定の場所近くまで行きましょう」


で、できる上司だ……!

もうこの人がギルドマスターでいいんじゃないだろうか?


「イズさんすっげぇ」


「馬車呼んだだけで褒められたの初めてよ……」


こうして、馬車にのってギガゴーレムの発生地点へ。

場所はどうやら普通の平原のようだ。


「ギガゴーレムは耐久・攻撃ともに最高クラスのモンスターよ。Bランク以上の冒険者じゃないと……そういえばあなた何ランク?」


「Dですけど」


「時間の無駄だったわね」


そのまま何も起こらず歩くこと数分。

お城の残骸のような場所にやってきた。

瓦礫があちらこちらに散らばっている……うっ、頭が!


「……いたわ、あそこ」


ささっ、と瓦礫に隠れる。

距離にして約3mといったところか。

超でかいゴーレムが城の瓦礫をバリバリ食べている。


「これなら、不意打ちでできるわね……」


すぅー、はぁー。

何やら深呼吸をしているイズさん。

杖を持つ手も震えている。


「……イズさん、大丈夫ですか?」


彼女はハッとした顔でこちらを見て、睨みつけてくる。

図星のようだ。

……何があったのかは確かに聞きたい。が、ここは曲がりなりにも戦場である。


「イズさん伏せて!!!」


「え!?」


突然の俺の大声に驚いたのか、言う通りに頭を下げる。

そのすぐ後を、大きな岩の拳が横なぎに振り抜いた。


俺はすぐさま腰の剣を構え、ゴーレムの胸のヒビに一点集中する。

構え、ひねり、踏み込み!


「抜ッ刀」


全力の振り抜き。

今回は木の棒や木剣ではなく真剣である。

故に、威力は跳ね上がる!


「GUAAAAAAA!!!!」


バガガガガガガガガガガガガアガガッ!!!!!と大地と岩を削る音が響き、対象は沈黙した。


「さて、あとは倒した証拠のコアを……」


瓦礫から出て、ゴーレムの亡骸へ一歩。


「スワード、危ない!」


油断。

冒険者の死亡理由ランキング堂々の1位。


イズさんの声に従い後ろを振り返ると、反対側の瓦礫から出てきた“もう一体のギガゴーレム“が俺を頭を狙いフルスイングする寸前。

対する俺は油断しててまだ剣を納刀していない。


……まずった、な。

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