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「きっと山口さんならうまくいきますよ。あなたを見ていても、特に不安を感じないのでそう思うんです」


「相沢くんにそう言ってもらえると、ほんとうに気が楽になるから不思議だな。どうだい、よかったらきみもいっしょにくるかい?」


 ぼくは驚いて顔を上げた。「ぼくがいっしょに?」


「そうだ。きみなら安心してぼくの留守を任せられる。売り上げをちょろまかしたりしないだろうし、問題が発生したら、いっしょに解決策を考えてくれそうだ。信頼できるパートナーはなににも代えがたい」


「ぼくは英語を話せないですよ」


「そんなことは問題じゃない。必要なら新たにひとを雇えばいい。ぼくはこれでもひとを見る目はあるつもりだよ。ぼくがこのホテルで安心して自分の背中を任せられると思えたのは、きみと乾さんくらいのものだ」


「はあ。なぜでしょう?」


「理由はいくつかあるけどね。一番は、きみたちがまったくお金に興味がなさそうに見えるからだ。ぼくにとってはそれだけで信頼するに充分なんだよ。お金にがめつい人間を見ろ。いつ寝首をかかれるか、わかったもんじゃない」


「ぼくはお金に興味がないわけじゃありませんよ。いつもたまたま持ちあわせがないだけです」


「お金持ちになって豪遊したいという望みがきみにもあるのかい?」


「もちろんありますよ」


「もし道端に五百円玉が落ちていたらどうする?」


 ぼくは想像した。「だれも見ていないのを確認してからちょろまかします」


「それじゃあ、道端に五千円札が落ちていたら?」


 ぼくはしばらく黙ったあと、しぶしぶこたえた。「面倒に巻きこまれないよう、見なかった振りをして通りすぎるでしょうね」


「ぼくが言いたいのはそういうことさ」

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