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2-8 ミイラ男



 王家ダンジョンの地下二階だった。


 部屋の中心にはミイラ男のモンスターがいる。部屋にはかすかだが腐敗臭が漂っており、鼻についた。ミイラ男はあたしたちの侵入を認めると右手を上げて奇声を上げる。


「ぼああぁぁぁぁぁあああう!」


 ミイラ男の周りの地面が盛り上がり、何匹ものゾンビのモンスターが立ち上がった。


「や、やべえ、やべえってあいつ」


 パミュの持つ剣が震えている。


「ぎゅぎゅぎゅぅ……」


「パミュ、あたしとヒューイが周りのゾンビを引き受けるわ。貴方は真ん中のミイラだけ倒しなさい」


 あたしは双短剣を抜いた。ゾンビたちはすでにこちらへと歩いている。あたしは囲まれる前に攻撃をしかけた。踊るようなステップを踏んで、ゾンビの首をかっきって行く。


 ザクッ、ズバッ、ドスッ。


「ヒューイ!」


「がうわう!」


 ヒューイもゾンビに攻撃を開始した。ジャンプしてその喉元に噛みつき、トルネードする。


「あぎゃあぁぁぁぁあああ!」


 ゾンビが気持ち悪い悲鳴を上げてその場に倒れた。噴出する血液と共に首が地面に転がる。


「あわわわわ、あわわわわわ!」


 パミュはびびったような声を上げて、両足をぷるぷるとさせている。


「パミュ! 早く行きなさい」


 あたしは次々とゾンビの首をはね飛ばす。しかしゾンビは次から次へと地面から顔を出して立ち上がった。いくら倒してもこれではきりが無い。



 ……まずいわね。



 あたしは指示する相手を変えた。


「ボルフレア、行きなさい!」


「ぎゅっ?」


「貴方の主人は敵に怯えて戦意喪失しているわ。主人を守るために、ミイラを倒してきなさい!」


「ぎゅ、ぎゅっ!」


 スライムの方は勇気があるようだった。ぴょんぴょんと跳ねてミイラ男に向かっていく。


「お、おいっ、待てよ。ボルフレア!」


 スライムの背中をパミュが追いかけて走った。その間にもあたしはヒューイの特訓をしようと思った。緑色のドラゴンに指示する。


「ヒューイ! 部屋のいるゾンビの一匹一匹に攻撃をしかけて、あたしのところに連れきて! 遠くにいる敵にはエアロストライクを使っていいわ」


「がう? がうあるう!」


 ヒューイが走って行く。ゾンビにタックルをかましては走り、引っかいては通り抜け、遠くいるゾンビにはエアロストライクでその頭を割った。ゾンビたちが次々にヒューイを追いかけ始める。おかげでミイラ男のそばにはゾンビがいなくなった。


 ヒューイが帰ってくる。ゾンビの群れが後ろから追いかけてきていた。あたしは踊るようにステップを踏み、そして歌った。


「いーくさいくさー、斬れや斬れやで、猛者の体を踏んでは踊れ~」


 四肢に力が漲る、ゾンビの首を次々に薙ぎ払って行く。


 ザスッ、ズバッ、バシュッ!


 パミュは剣を構えてミイラ男と対峙していた。


「お前! オイラが、オイラが討伐してやるんだからな!」


「ぼああぁぁぁおおおおっ」


 ミイラ男が右手を薙ぐ。そのブローにパミュは真っ向から剣を交差させた。


「ルティオル流剣術王家の秘術、逆襲劇」


 ミイラのブローとパミュの剣がぶつかり合う。剣が弾かれると思ったのだが、なんと剣はミイラ男の拳を切り裂いていた。


「ぶおぉぉぉぉおおおおお!」


 ミイラが痛みに声を上げる。一歩二歩と後ずさった。


「ボルフレア!」


「ぎゅぎゅっ!」


 ボルフレアがその柔らかい体を利用してミイラ男の足に巻き付いた。動きを封じたようだ。


 パミュが唱える。


「ルティオル流剣術、三段突き!」


 ザクザクザクッ。


 ミイラ男の臀部、心臓、首に剣の突きが刺さる。


「ばおおぉぉぉぉおおおおお!」


 血を噴出させて断末魔を上げ、ミイラ男が倒れた。その頃にはあたしもゾンビを全部斬り殺したところだった。多くの返り血を浴びたせいで服が真っ赤になっちゃったよ。ああ、この緑の服気に入っていたのに。


 あたしとヒューイはパミュに近づいていく。


「よくやったわ、パミュ」


「がうるう」


「ふうっ、ふうっ、当然だろ? オイラは強いんだ」


「ぎゅぎゅっ」


 スライムが勝ち誇ったように二度跳ねた。


「ねえ、まだ行くの?」


「当然だろ? まだ二階だぜ。五階まで行かないといけないけんだから」


「ぎゅぎゅぎゅ」


「そう。なら行きましょう」


 そして、あたしたちはまた下への階段を見つけて、降りて行く。




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