78話 無知は気が楽だし愚かなことではない
今回も撫子視点です。
ブックマークが増えてる…!夢をまた見ました。
正夢になってた!どなたか存じませんがありがとう!やる気出ました!これからも頑張ります!
イサギっちが帰らなかった夜、夢を見た…
『撫子、おはよう。顔洗ってこいよ。飯にするぞ』
いつもの光景。大好きな人と一緒にいられる時間。1秒1秒が幸せな…私だけの時間。
『っっっ!!!ふざけんなっ!』
私のせいで…私が全部壊したんだ…折角家族になれたのに、あんなにボロボロになってまで私を助けてくれたのに…
『わりぃ、ちょっと家を空ける』
謝るから…全部謝るから…でも、謝るって何を…?何を謝ればいいの…?私は彼のことを何も知らない。彼の笑顔の裏の、狂気に満ちた顔の裏の、眠そうな顔の裏の、本当の顔を知らない。知ろうともしなかった。知ろうともしなかったくせに私は彼に手を上げてしまった。何様のつもりで?義妹になれたから調子に乗ってしまった?家族になれたのなんてほんの数日前のことなのに?
……あぁ、私はなんて、なんて、悪い義妹なんだろう。
―prrrr prrrrr
イサギっちが置いていった携帯電話に着信があった。私はすぐに起きて相手が誰かも確認せずに出てしまった。
『潔、起きてたか』
声の主は長男の海だった。
『あ、あの、私…です』
『うん?潔は?寝たのか?』
『それが…』
私は正直に理由を話した。咎められてもしかたない。これは私のせいだから。勘当されても…仕方ないと覚悟した。
『出ていった?行先は?』
『わかりません…』
『そうか、まぁ、1日2日帰らないくらいなら大丈夫だと思う。こっちでも捜してみるよ。きちんと話してくれてありがとな』
『いえ、元々私のせいなので…』
『それは違うんじゃないか?あいつ、たまに思い詰めることがあるからな。だからまぁ、気にすんな!それじゃおやすみ!』
切られてしまった。思い詰めることがある…イサギっちは過去に何かあったのかな…自分なりに調べてみよう。
体育祭の日に連絡先を交換していてよかった。水野 百合さんに聞いてみよう。あの人ならイサギっちのことを知っているはず。
翌日、私は百合さんとカフェで会うことにした。
「やぁ、ギャル子ちゃん、じゃなくて撫子ちゃんだっけ。体育祭ぶりね」
「こんにちは、百合さん」
「今日は何か用かな?」
「時間を取らせてしまってすみません。イサギっち…義兄のことで聞きたいことがあって…」
「ほほう?潔くんのことが気になるかね?まぁ、彼は不思議くんだからねー、気にならないわけないよね」
「それもそうなんですけど、実は昨日…」
ここでも私は百合さんに昨日のことを話した。アニっち…海さんは落ち着いた様子で私を励ましてくれたけど、百合さんは…目を見開き驚いていた。
「それは本当なの?」
「え、本当って?」
「出ていったことと手首のこと!」
「どっちも本当です…手首のことをなんとなく聞いたらプリントシールを貼ってただけって言われて…それが頭にきて、つい…」
「あちゃー…両手首のプリントシールを見たの?」
「はい…あの、どうかしましたか?」
「おかしいと思わなかったの?」
「何がですか?」
「両方とも傷痕の残り方が同じじゃなかった?」
「言われてみれば確かに…って、まさか…」
私はここでハッとした。なんでもっと早く気が付かなかったのか。あのシールがなぜあんなにもリアルだったのか、見せてもらった時に違和感はあった。
「あのリアルな感じは…」
「そう、実際の傷痕だよ。それに傷痕が似てたでしょ?」
「言われてみれば確かに…両方とも同じ傷痕で…同じ傷の付き方…」
つまり、利き手(右)で左手を傷つけた時に必ず傷痕はしっかり残る。でも、昨日見せてもらった傷痕は不均等で傷が浅かったり深かったりした。
「つまり…右手に傷痕はなくて、左手にはあるってこと…?」
「まぁ、そういうことになるだろうね」
「そんな…じゃあ、私は…」
「…彼を殴ったのは早計だったね」
少し考えれば…私がもっと冷静なら…
「ごめんなさい、ごめんなさい…」
「ここで私に謝られてもね…そうだ、ちょっと寄り道して行かない?連れていきたい場所があるんだ。もしかしたらそこに潔くんがいるかもしれないよ」
イサギっちがいる。それならどこへでも。たとえ火の中水の中、彼がいるならどこへでも行く。
「連れていってください!お願いします!」
「あい、わかった!任せたまえ!」
次回も撫子視点です。
こんなシリアスな展開、3.5章でやることじゃないだろって思ったあなた!私もそう思います。ですが、4章の内容(ストーリー構成)をざっくり考えてしまったのでここに入れるしかないのです。
次話4時投稿です。




