閑話① 退学と家出の理由
今回から3.5章に入りますが、最初は閑話です。3章の体育祭のその後など本編では書ききれなかった(というより作者の頭ではどのように組み込めばいいかわからなかった)部分が残っているのでまずはそれを消化していきます。作者の我儘に少し付き合っていただければなと思います。
私と詩のデートが決まったあと、私はイサギくんに退学届を提出しようとした理由を聞いてみた。
「イサギくん、私に退学届を渡そうとしてたよね?」
「まぁ、そうですね」
「どうして退学しようとしたの?」
「あの時は俺が退学すれば全部丸く収まると思ったんですよ。でもよくよく考えたら俺が退学したら撫子の風当たりが強くなるので逆効果でしたね。渡さなくてよかったぁ」
疚無校長は聞き耳を立てているようだ。これは事前に両親に相談することなく独断で決めたみたいなので当然心配しているだろう。
「じゃあ、なんで家出しようとしたの?」
この質問をしたとき、私はなにかやらかしてしまったのではないかと冷や汗をかいた。だって…
「な、な、な、なにぃ!?!?潔!どういうことだ!!」
「次男坊!貴様!何を考えている!!」
「ふふふ…潔くん…いくら私でもそれは聞き捨てならないですよぉ」
「潔くん、家を出るなら是非桔梗家へ」
と、疚無校長、唐草さんのお父様、明石さんのお母様はかなり焦っていたからだ。桔梗さんのお母様は潔くんにお熱なようだけど…
「まぁ、落ち着いてくれよ、あと桔梗さんはスカウトマンか何かなの?」
「潔くんは変なところで落ち着きがあるよね」
水野さんのお母様はそんなに慌ててないみたい。イサギくんとの付き合いが長そうだし…羨ましい…
「俺はもう家出をする気はないよ」
「そう…なんですね…」
「そんなにしゅんとされると思わなかったよ、姐さん」
なるほど、イサギくんは女性の泣き顔に弱いのね。メモしておくわ。
「俺が家出をしようとした理由は、俺に力がなかったからだよ」
「「「というと?」」」
「オッサンや姐さんは俺が戦ってるところ見てないからわからないと思うんだけどさ…」
イサギくん、悔しそう…
「俺の必殺技が通用しなかったんだよ…!!!それが悔しくて…悔しくて…」
イサギくん…
「次男坊…お前の必殺技とやらは正拳突きか?」
「あぁ…成犬突きだよ…あれが効かなかったんだ。だから俺は家を出て修行しようと思ったんだよ…」
「ふむ…それなら無理もないな」
唐草さん…たぶん、間違ってます…誰かツッコんであげてほしいな…
「愚兄…お前のバカみたいな技は修行しても強くならないだろうな」
「やってみないとわかんないだろう!?」
「唐草殿、愚兄が言う技と貴殿が知っている技は全然別物だから気にしない方がいい」
「む、そうか」
「ちっ、納得されたか」
「おい、あわよくばって考えてただろ」
「そりゃ考えるだろ!てめぇがめんどくせぇことしてくれたんだからよ!」
「女付き合いをめんどくせぇことなんて言ってるうちは貴様の女嫌いは治らないだろうな!」
「んだとゴラァ!」
「やんのかオラァ!」
なぜかイサギくんと弟くんの睨み合いが始まってしまった…
でも、そっか…そうだよね…めんどくさい女は嫌だよね…ぐすん
「梅ちゃんせんせーって言ったっけ?あいつはやる時はやる男なんでめんどくせー女は嫌いだよねなんて落ち込まなくても大丈夫っすよ」
「あ、あなたは、お兄さんでしたか?」
「一応あいつの兄貴やってまっせー。やる時はやる男ですけど、据え膳は食わない男なんで間違えないでくださいね」
「え…」
イサギくんのお兄さんは私の心の中を読んでフォローしてくれたんだなって思ったけれど…据え膳を食わないなんて全然やる男じゃない!
次は15時更新です!




